年収600万円の適正住宅ローンを解説!3,000万円は借りても大丈夫?
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- 年収600万円の場合、どのくらいの住宅ローンを借りられるの?
- よく『年収の5倍が目安』なんて聞くけど、3,000万円くらいまでなら借りても大丈夫?
家を購入する際、自分がどのくらいの住宅ローンを組めるのかは気になるポイントですよね。
この記事では、年収600万円の場合の理想的な住宅ローン借入額や、借りられる上限はいくらなのかを解説していきます。
記事を参考に、自分がいくらの住宅を購入できるのか、月々の返済額はどの程度になるのかをイメージしてみてくださいね。
※当記事内での「年収」とは、税金や社会保険料を含めた「額面年収」を指しています。
簡単にまとめると
- 年収600万円の場合、借入上限は約5,900万円
- ただし、「借りられる額」と「返せる額」は違うので要注意!
- 上限ギリギリまで借りると、返済負担が重く「住宅ローン破綻」してしまう可能性も……
- 年収600万円の人の理想的な借入額は、金利タイプにもよるが3,230万円以内が適正
金利タイプや借入先で
返済額が変わる!
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年収600万円で理想的な住宅ローンは約2,700万円~3,200万円
住宅ローンの借入額は、一般的に手取り収入に対して20%~25%以下になるのが理想とされています。
POINT
前年の年収に対する年間返済額の割合のことを「返済負担率」や「返済比率」と言います。
年収600万円の場合、手取り収入は460万円程度となりますので、住宅ローンの理想的な返済額・借入額は以下のようになります。
理想的な住宅ローン借入額 | 約2,900万円 ~3,230万円 |
---|---|
住宅ローンの理想的な 年間返済額 | 約92万円 ~115万円 |
住宅ローンの理想的な 月々の返済額 | 約7.7万円 ~9.6万円 |
※金利年1.3%、返済期間35年、元利均等返済の場合。
※月々の返済額はボーナス払いなしの場合で試算。
※住宅保証機構株式会社の住宅ローンシミュレーションを使用して算出。
理想的な借入額に幅があるのは、借り入れる金利タイプによって理想的な借入額が異なるからです。
金利タイプ別にみると、理想的な借入額はそれぞれ以下のようになっています。
【金利タイプ別】理想的な借入額
それぞれのシミュレーションを見てみましょう。
変動金利での理想的な住宅ローン:2,900万円以下
年収600万円で、変動金利の住宅ローンを組む場合、借入金額は2,900万円以下に抑えるのが理想です。
※金利年0.525%/返済期間35年/元利均等返済の場合
変動金利は他の金利タイプと比較して低い金利で住宅ローンを組むことができますが、将来的に金利が上がってしまうリスクがあります。
そのため、金利が上昇しても返済負担率が25%を超えないように住宅ローンを組むことが大切です。
借入から10年後に金利が2%上昇したと仮定した場合、返済負担率がどのように変化するのか見てみましょう。
借入金額 | 毎月の返済額 | 手取り38.3万円に対する 返済負担率 |
---|---|---|
2,800万円 | 当初10年間…72,993円 11年目以降…92,304円 | 当初10年間…19.0% 11年目以降…24.1% |
2,900万円 | 当初10年間…75,600円 11年目以降…95,601円 | 当初10年間…19.7% 11年目以降…24.9% |
3,000万円 | 当初10年間…78,207円 11年目以降…98,897円 | 当初10年間…20.4% 11年目以降…25.8% |
※10年後時点以外に金利変動がなかった場合として算出。
※手取り金額38.3万円 / 返済期間35年 / 借り入れ当初の金利年0.525% / 元利均等返済の場合。
※住宅保証機構株式会社の住宅ローンシミュレーションを使用して算出。
金利上場を踏まえると、借入金額が3,000万円の場合には、返済負担率が25.8%になってしまいます。
将来的にどのように金利が変動するのかはわかりませんが、変動金利で住宅ローンを組む場合には「金利が上昇した場合でも余裕をもって返済ができるか」を意識して検討してくださいね。
10年固定金利での理想的な住宅ローン:2,700万円以下
年収600万円で10年固定金利を利用する場合、借入金額は2,700万円以下にするのが理想です。
※当初10年金利年0.60%/金利上昇がなかった場合の固定期間終了後の金利1.025%/返済期間35年/元利均等返済の場合
固定期間選択タイプは、借り入れ当初の固定期間だけ金利が固定されますが、利用にあたっては以下の点に注意が必要です。
固定期間選択型の注意点
- 当初固定期間が終わるタイミングで金利が上昇していると、住宅ローンの返済額が大きく跳ね上がってしまう可能性がある
- 1の際に変動金利の125%ルールが適用されない
- 多くの金融機関では固定期間終了後は金利の優遇幅が小さくなるため、金利上昇がなかった場合でも返済額が増える
そのため、固定期間終了時点で金利が上がっているリスクと、固定期間終了時点で優遇幅が小さくなることを考慮して、借入時の返済負担率は20%以下程度に抑えておくのがおすすめです。
もし10年間で金利が2.0%上昇した場合のシミュレーションは以下の通りです。
借入金額 | 毎月の返済額 | 手取り38.3万円に対する 返済負担率 |
---|---|---|
2,700万円 | 当初10年間…71,287円 11年目以降…94,413円 | 当初10年間…18.6% 11年目以降…24.6% |
2,800万円 | 当初10年間…73,928円 11年目以降…97,909円 | 当初10年間…19.3% 11年目以降…25.5% |
2,900万円 | 当初10年間…76,568円 11年目以降…101,406円 | 当初10年間…19.9% 11年目以降…26.4% |
※10年後時点以外に金利変動がなかった場合として算出。
※借り入れ当初の金利年0.60% / 金利上昇がなかった場合の11年目以降の金利年1.025%
※手取り金額43万6,798円 / 返済期間35年 / 元利均等返済の場合。
※住宅保証機構株式会社の住宅ローンシミュレーションを使用して算出。
今回のシミュレーションでは、固定期間終了後に金利優遇幅が小さくなるため、市場金利が上昇していない場合でも11年目以降の住宅ローン金利は1.025%になります。
さらに、市場金利が2.0%上昇していたと仮定すると、借入額が2,800万円でも返済負担率が25%を超えてしまうのです。
このように、固定期間選択型の住宅ローンを選ぶ場合は、「固定期間終了後の金利優遇幅」と「金利上昇による影響」を考慮し、固定期間終了後も無理なく返済していけるのかを検討しましょう。
全期間固定金利の理想的な住宅ローン:3,200万円以下
年収600万円で全期間固定金利の住宅ローンを借り入れる場合、借入額は3,200万円以内に抑えるのが理想です。
全期間固定金利の場合、金利変動のリスクを考慮する必要がないため、借入時点で手取り収入の25%に収まっていれば問題ありません。
借入金額 | 毎月の 返済額 | 手取り38.3万円に対する返済負担率 |
---|---|---|
2,900万円 | 85,979円 | 22.4% |
3,200万円 | 94,874円 | 24.7% |
3,300万円 | 97,839円 | 25.5% |
※手取り金額43万6,798円 / 金利年1.3% / 返済期間35年 / 元利均等返済の場合。
※住宅保証機構株式会社の住宅ローンシミュレーションを使用して算出。
ただし、全期間固定金利はほかの金利タイプと比べて借入時の金利が高いため、借入時の月々の返済額や、結果的に金利が上昇しなかった場合には総返済額は高くなってしまいます。
金利が上昇しなかった場合、総返済額に数百万円近くの差が出てしまうこともあるため、事前に十分シミュレーションをしたうえで自分に合った金利タイプを検討してくださいね。
金利タイプや借入先で
返済額が変わる!
たった
1分
まずはシミュレーションで
住宅ローンを一括比較
世帯年収600万円の借入限度額は約5,900万円だがおすすめできない
年収600万円で安心して返済できるローン借入額は、約2,600万円~3,230万円とお伝えしました。
では逆に、借りられる金額の上限はいくらでしょうか。
先ほどと同様に計算すると、年収600万円で借りられる上限金額は約5,900万円となります。
借り入れ可能な住宅ローン | 約5,900万円 |
---|---|
月々の返済額 | 約17.5万円 |
※金利年1.3%、返済期間35年、元利均等返済の場合。
※ボーナス返済なしの場合で試算。
※住宅保証機構株式会社の住宅ローンシミュレーションを使用して算出。
ただし、借り入れできるからといって、上限ギリギリの住宅ローンを組むのはおすすめできません。
なぜならこの金額はあくまで「借りられる上限金額」であり、「無理なく返せる金額」ではないからです。
「借入上限=返せる金額」ではない!
年収600万円で借入上限となる5,900万円の住宅ローンを組んだ場合、月々の返済額は以下のようになります。
月々の手取り収入 | 約38万円 |
---|---|
月々の返済額 | 約17.5万円 |
返済負担率 | 約46% |
現実的に考えて、手取り収入の半分近くを住宅ローンの返済に充てるのは厳しいですよね。
身の丈を超えて住宅ローンを組むと返済が苦しくなり、最悪の場合は「住宅ローン破綻」してしまう可能性もあります。
住宅ローンを組む場合は、「いくら借りられるか」ではなく、「毎月無理なく返済できるか」を考えて検討するようにしましょう。
他に借り入れがあれば、それも返済負担率に含まれるので注意
もし、住宅ローン以外にも借り入れがある場合には、それもすべて返済負担率の計算に含まれます。
借り入れの例としては、以下のようなものが代表的です。
- 自動車ローン
- 奨学金
- スマホの分割購入代金
- クレジットカードのリボ払い
上記のような借り入れがある場合、その分、借りられる住宅ローンの額は少なくなります。
また、返済負担率が高い場合、住宅ローンの審査に影響が出てしまう場合もあるので、審査の前にできるだけ他の借り入れを完済しておくことをおすすめします。
住宅ローンの借入額を決める4つのポイント
住宅ローンを無理なく返済するには、自分に合った借入額で返済の計画をたてる必要があります。
借入額の目安はこれまでの章で解説しましたが、ここからは借入額を決める際に気を付けておきたい以下の4つのポイントを解説します。
住宅ローンを無理なく返済するためのポイント
後々、住宅ローンで後悔をしないためにも、それぞれのポイントをしっかりチェックしておいてくださいね。
ポイント①家賃=住宅ローンの返済額と考えるのは危険!
これまでの章で、月々の住宅ローン返済額を見て、「今払っている家賃を考えると、もっとたくさん返済できるはずだ」と思われた人もいるかもしれません。
しかし、賃貸の場合と異なり、住宅を購入すると固定資産税やメンテナンス費などの費用がかかります。
そのため、賃貸の家賃として払っていたのと同額の返済額の住宅ローンを借りるのは、かなり危険なのです。
持ち家にかかる費用としては、主に以下のようなものがあります。
固定資産税(※1) | 年間10万円 ~数十万円 |
---|---|
火災保険料・地震保険料 (※2) | 年間数千円 ~数万円 |
住宅のメンテナンス費(※3) | 年間数十万円 |
マンションの管理費 | 年間数十万円 |
マンションの駐車場代など | 年間数万円 ~数十万円 (※4) |
※上記費用はあくまで目安です。
※1:新築住宅の場合、最初の数年は減額制度があるので、数年後に税金が高くなる
※2:木造戸建は高くなる傾向。物件の構造や所在地によっても異なる
※3:マンションであれば修繕積立金、戸建ては自身で積み立てておく必要がある。
一般的には戸建てのほうが、メンテナンス費用は高くなる傾向。
※4:マンションの所在地、駐車場の位置によって異なる。
もし家賃と返済額を同額にしてローンを組んでしまうと、持ち家を所有するだけで上記のような費用が加算され、負担が大きくなってしまいます。
借入額を決める際には、上記のような支出と、住宅ローンの返済額などを考慮して検討するようにしましょう。
返済額の考え方
- 現在の家賃・管理費が10.5万円/月の場合、年間で住宅にかかっている費用は126万円
- ローン返済以外の支出が40万円(※)とすると、126-40=86万円を住宅ローン返済に充てられる
- つまり、負担を増やさずに返済できるのは、約7.2万円/月となる
「何年で返済するか」によって返済額は変わる
住宅ローンの返済額は、借り入れの期間によって異なります。
同じ額を借りた場合でも、35年返済の場合と20年返済の場合では月々の返済額は変わるのです。
つまり、年収に占める返済負担率を考える際には、返済の期間を考慮に入れる必要があります。
以下の表は、金利1.3%の全期間固定金利で3000万円の住宅ローンを借りた場合の、借入期間別に見た返済額の一覧です。
月々の返済額 | 手取りに占める返済負担率 | |
---|---|---|
借入期間20年 | 142,021円 | 37.2% |
借入期間30年 | 100,681円 | 26.4% |
借入期間35年 | 88,945円 | 23.3% |
この表で見ると、借入期間35年であれば返済負担率が23.3%となり、25%以内に収まっています。
しかし、借入期間を短くすればその分返済額が上がり、返済負担率も高くなってしまうことがわかりますね。
借り入れの期間は、現時点での年齢や、いつまでに住宅ローンを完済したいのかなども考慮する必要があります。
定年退職後にも住宅ローンの返済を続けていくのは厳しいですよね。自分のライフプランを考えて、無理のない返済期間を選択するようにしましょう。
住宅金融支援機構が行っている「民間住宅ローン貸出動向調査」によると、住宅ローンの平均貸出期間は26.7年*となっています。(*2019年度時点)
変動金利の場合は毎月返済額の25%を目安に貯蓄をする
変動金利で借入する場合、万一金利が上昇したとしても無理なく返済できるよう、ある程度余裕を持った返済額にしなければいけません。
わかりやすい目安は、毎月の返済額の25%を目安に、上乗せして貯蓄をしておくことです。
変動金利は「金利が上昇しても毎月の返済額は、直前の返済額の125%までしか上がらない」というルールがあります。
つまり、毎月の返済額が125%を超えて急増することはないので、返済額の25%程度の余裕をもって貯蓄をしておけば、急な金利上昇で返済ができなくなる事態を防げるのです。
そのため変動金利を利用する際は、以下2点を押さえておくことで余裕のある返済計画を立てやすくなりますよ。
変動金利を利用する際のポイント
- 通常の貯蓄にローン返済額の25%相当を上乗せして貯蓄をしておくこと
- 1の貯蓄をしても問題なく返済できる返済額にすること
長期的なライフプランを考える
住宅ローンは、長期間にわたって返済が続いていきます。
現時点では問題ないと思われる返済額であっても、今後の家族のライフプランによっては返済が厳しくなってしまうかもしれません。
そうならないためにも、長期的な視点でライフプランを考え、予期せぬ出費をできるだけ少なくすることが大切です。
例えば以下のような点から、今後どのタイミングでどの程度の費用がかかりそうか、あらかじめチェックしておくようにしましょう。
- 子どもは何人授かる予定なのか
- 子どもの学費はどのタイミングでいくら必要になりそうか
- 旅行に行く頻度はどの程度か
- 自動車の購入予定は何年後か
この記事では、理想的な住宅ローンの返済額について解説していますが、あくまでこれは一般的な例となります。
ライフプランによっては、住宅ローンにかけられる費用が多い人もいれば、少ない人もいるのです。
自分たちのライフプランをしっかりイメージし、無理のない返済額がいくらになるのかをかならず確認してくださいね。
資産に余裕があれば資産運用も検討する
ライフプランを立てた際には、資産運用を行うことも検討しましょう。
NISA口座を使って運用すれば、一定の投資枠までは利益にかかる税金をゼロにすることができます。
中でもつみたてNISAは、老後の資金を形成するのにちょうどよい制度です。
まだNISAを始めていなかった人は、ライフプランを考える際に口座開設することをおすすめします。
詳しくは下記の関連記事で解説しているので、チェックしてくださいね。
まとめ
世帯年収が600万円の場合、理想的な借入額は以下のようになっています。
【金利タイプ別】理想的な借入額
「思ったより少ない」と感じる方もいるかもしれませんが、無事に住宅ローンを完済するためにも、無理のない返済額がいくらなのかを理解して返済の計画をたてることが大切です。
また、上記の借入額はあくまで一般的な例として試算した場合の額となります。
実際の借り入れの前には、以下のポイントを意識して、しっかりシミュレーションをしてくださいね。
住宅ローンを無理なく返済するためのポイント
借入先や金利プランによっても総返済額が異なりますので、ぜひ自分に合った住宅ローンを見つけ、マイホームを手に入れてください。
千日太郎 / オフィス千日合同会社 代表社員 公認会計士
【専門家の解説】
住宅ローンの借入額は住宅ローン控除の恩恵も加味して考える必要があります。
令和4年度の税制改正では控除率は0.7%となっており、購入する住宅の環境又は省エネ性能によって1年間に控除される税額に21万円から35万円の上限が設定されています。
この控除の上限額を控除率の0.7%で割り戻すと、住宅ローンの上限を求めることができるのですが、それを一覧すると下記のようになります。
・新築の認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅:5,000万円
・新築のZEH(ネットゼロエネルギーハウス)水準省エネ住宅:4,500万円
・新築の省エネ基準適合住宅:4,000万円
・新築のその他の住宅:3,000万円
本文に書いている年収600万円の人の理想的な借入額(変動~2,900万円、10年固定~2,700万円、全期間固定~3,200万円程度)を当てはめてみると、省エネ基準適合住宅以上の環境性能を備えた新築住宅を選び、その上限まで住宅ローンを組むと借りすぎになってしまうということになります。
そのため、年収600万円で適正金額の住宅ローンを組む計画であるなら、必要以上に省エネ基準にこだわり、住宅ローン控除の上限を意識する必要は無いということになります。