お金を上手に使うための家計簿の使い方(寄稿・らくからちゃ)
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日々の生活だけでなく、将来の不安に備え「お金」をどう使うか、管理していくといいのか頭を悩ませる方は多いのではないでしょうか。でも、まずは毎月の支出をちゃんと可視化してみよう……と思っても、ただ記録をつけるだけになってしまって、改善につながらないと感じることも少なくないはず。
自身のブログをはじめ「お金」に関する情報を発信するらくからちゃさんは、「先のことを考えるために現状をしっかり把握する」ことが大事だと語ります。そして、そんなときに役立つのが「家計簿」なのだそう。
そこで今回は、らくからちゃさんにお金と正しく付き合うための「家計簿」の使い方と、家計簿をつけるときに知っておくと便利な「減価償却」の考え方や取り入れ方について紹介していただきました。
はじめまして、らくからちゃと申します。
普段は、はてなブログにて、お金に関するニュースやアレコレに関して自分なりに思ったことをまとめた「ゆとりずむ」というブログを書かせていただいております。
わが家には、2歳の男の子と1歳の女の子の元気な年子キッズがいます。
子どもたちと街に出かけると、美味しそうなお菓子や、面白そうな玩具、可愛いお洋服がいたるところに溢れています。
「このお洋服は来シーズンは着れないよなあ。そう考えると勿体ないなあ」と思いつつも「でもこのお洋服をこの子が着られるのは今年だけだよなあ」などと悩む毎日です。
そんな中、ちょうどイーデスさんから「普段から実践している家計管理法と、お子さんが産まれてからお金に関する考え方や管理の仕方で変わったことを紹介してほしい」という面白そうなお題をいただきました。
せっかくの機会なので、自分の中での考えの整理も兼ねて、まとめてみたいと思います。
もしどこかで、誰かのお役に立てば幸いです。
ブロガー
監修者らくからちゃ
株式会社エイチームライフデザイン
編集者イーデス編集部
「ユーザーが信頼して利用できるWEBメディア」を目指す編集部チーム。実際のユーザーの声や業界知識の豊富な専門家の協力を得ながら、コンテンツポリシーに沿ったコンテンツを制作しています。暮らしに関するトピックを中心に、読者の「まよい」を解消し、最適な選択を支援するためのコンテンツを制作中です。
■書籍
初心者でもわかる!お金に関するアレコレの選び方BOOK
■保有資格
KTAA団体シルバー認証マーク(2023.12.20~)
■許認可
有料職業紹介事業(厚生労働大臣許可・許可番号:23-ユ-302788)
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お金と正しく付き合うために、先のことを考えすぎないのも大事
私はありがたいことに職場の理解もあり、長男が産まれたときに半年間、長女が産まれたときに1年間の育児休業を取得しました。
子どもと過ごした時間は、それはもうかけがえのないものでしたが、一日中赤ちゃんと過ごしていると「職場に戻ったあとまともに仕事できるかな」と不安を覚え、ボケ防止も兼ねて(?)ファイナンシャル・プランニング技能検定の3級を長男のときに、2級を長女のときに取得しました。
ファイナンシャル・プランニングとは、依頼者の夢や目標を達成するため、さまざまな金融商品や社会制度の知識をもとに、助言や資産設計を行いその実行を援助するというものです。
ファイナンシャル・プランニングの基本は、家計の収支をしっかりと把握した上で、今後数十年に渡って起こり得るであろう出産や住宅購入、子供の進学といったライフイベントにかかる支出を整理したキャッシュフロー表を作るところからとされています。(日本FP協会のWebサイトでキャッシュフロー表ほか家計の収支確認表なども公開されていて、ダウンロードもできます:こちら)
この表をしっかり埋めさえすれば、お金の心配なんて立ちどころになくなり、悩みも消え去ります!
なんて簡単に出来たら誰も苦労しませんよね笑
「結婚は?」「子どもは?」「家はいつ買うんだ?」みたいに聞かれても「こっちが知りたいわ!」という人も多いでしょう。
私自身、家を買って子どもも産まれた後なら、もう少しは見通しが経つかなあと思いましたが、子どもの将来の学費や生活費がどの程度かかるようになるかを見積もるのは中々難しい作業です。
社会の制度はどんどん変わりますし(私が入社したころは父親が1年も育休を取れるようになるなんて思いもしませんでしたしね)、子どもがもし「将来オリンピックに出たい!」なんて言い始めたときにはどれくらいのお金がかかるのかもとんと検討がつきません。
「◯◯年後には××が出来たら良いなあ」とか「××をするためにはどれくらい貯金が必要かな」と考えて整理した"マスタープラン"を持つことは非常に有用です。基準となる計画があって初めて、何か起きたときに将来の人生設計にどの程度の影響を生み出すかがわかります。
ただ、子どもが産まれた今ですら、5年先の家計の状況を考えるのも正直難しいなあというのが本音です。
いや、むしろ子どもが産まれる前よりも見通しが立たなくなったかもしれません。
そんな中で、より良くお金と付き合っていくためには、考えても答えの出ない先のことを考えすぎるよりも、先のことを考えるために現状をしっかり把握する。
つまり「将来の計画はざっくり立てる」「直近の現状はしっかり把握する」ことが大事なのかなあと思うんですよね。これは、どんな人にも当てはまるのではないかなと。
そこで役に立つのが「家計簿」です。
家計簿は「いま」出来ることは何かを知る材料になる
クレジットカードの明細が取り込めるウェブ家計簿や、スマホでも入力できる家計簿アプリが普及したこともあって、家計簿をつけている人の数は非常に多くなったように思います。
ところで家計簿ってなんのためにつけるんでしょうね。
「無駄遣いしてないかチェックするため」とか「節約してお金を貯めるため」なんて答える人が多いんじゃないでしょうか。
私自身ずっと「老後までに◯◯万円資産形成をしようとしたら、今年は××万円の貯蓄が必要」「逆算すると毎月の支出は△△万円までに抑えなえればならないな」ということを考えながら家計簿のデータとにらめっこしてきましたし、教科書通り、給料から先に貯金、みたいなこともよくやってきました。
それは子どもが産まれた今でも続けていますし、基本的な家計の管理は何も変わりありません。ただ「予算の中に収める」ことよりも「必要なものにはお金を使いながら、しっかり統制する」ことに重点を置くようになりました。
誰にとってもそうですが「いま」という時間は人生の中で一度きりしかありません。そしてまだ自分の言葉で伝えられない子どもの「いま」を預かる責任は重大です。
その一方で、将来必要になるお金を貯めるのは必ずしも「いま」でなくともよいはずです。
もちろんお金が底をつくと、色んなことに支障を来たすため、「最低限これくらいは貯蓄しよう」「これ以上は諦めなきゃならないな」というラインはありますが「計画に現実を合わせる」よりも「現実に計画を合わせる」ことを意識するようにしました。
不確実な未来のための貯蓄のためにアレも削ってコレもやめてとするのではなく、直近のデータや欲しい物リストに入れたものをしっかり考えつつ、使い過ぎないように家計簿を活用してチェックしていくイメージですね。
将来のお金に対する不安は誰しもあると思いますし、だからこそ「いま」無理したり我慢したりしたほうがいいのでは……と思うこともあるかもしれません。ですが、不安自体は受け入れつつも、現状の把握や変化を察知できるようになるということがまず大切ではないかと思います。
その上で、家計簿は「いま」必要なこと・できることが何かを知るための材料となるのです。
「お金を上手く使うことを考える」ということは、「何も考えずに貯める」よりもしんどいこともありますが、子どもの成長を見据えながらアレコレ想像を巡らせるのもまた楽しい時間でもあります。
お金を安心して使う技術として「減価償却」を家計簿に取り入れる
さて、より良いお金の使い方を考えるにあたって、私が「家計簿に導入しておいて良かった」と思うのが「減価償却(げんかしょうきゃく)」という考え方です。
家計簿をつけていると、1円残らずすべての支出を管理するぞ! という気分になってしまいますが、重要なのは細かな支出を取りこぼさないようにすることよりも、大きな支出をしっかり管理することだと思います。
ところが、家具や家電などの普段発生しない大きな支出ほど管理が難しい。
例えば毎月の収入が30万円くらいで、支出が25万円の世帯において10万円のテレビを買った場合、家計簿にはどういう風に記録するのが正しいでしょうか。
まずは単純に買った月の支出として捉える方法です。買った月は5万円の赤字になり、それからあとの月には支出の影響は含まれなくなります。
実際には、何ヶ月にも渡って使われるものなのに、その費用が1ヶ月だけで集中して計上されてしまうと、その月だけ「特に悪かった」ものの、その後の月は「上手くいっている」という見え方となる。喉元過ぎれば熱さを忘れる、でお金を出して買ったことを忘れてしまい、その支出分を考慮せず、翌月以降余計なお金を使ってしまう可能性があります。
次に家具や家具や家電の購入予算を毎月別の口座などに積み立てておき、その金額を費用として計上する。そして購入時、実際にかかった支出は家計簿から外し、出ていった分を決済用口座に振り戻す。という方法も考えられます。
これなら特定の月に費用が集中せず平準化されますし、買い替えのための資金も別管理にすることができます。最近は、普通預金口座の中に目的別口座を作れる銀行も増えてきましたので、それを上手く使う手段もあります。
悪くない方法だと思いますが、事前に金額をしっかり見積もる必要がありますし、購入して実際に使っている期間と積立による費用が生じる期間がズレてしまうため、少しチグハグした感じになってしまいます。
そこでわが家で採用しているのは「減価償却」という考え方です。
会計や経理の知識のある人にはなじみの深い言葉ですが、そうでない人には聞き慣れない言葉かもしれません。
一時的な出費として払ったお金を、払った月にまとめて費用として計上するのではなく、利用する期間で割って、使った月にそれぞれ費用として計上する。
簡単にいうと「セルフ分割払い」をするイメージです。
例えば、わが家ではココネルエアーというベビーベッドを買いました。
赤ちゃんが寝っ転がってぶつかっても痛くない! という商品で、お値段は3万円ほど。
大体1年位使うかな? と思いましたので、12分割で毎月2,500円ずつ費用として計上するように家計簿システム(マネーフォワード ME)に設定しました。
(実際には、予想以上に早く第二子を授かったため、そのまま2年使うことになりましたが)
具体的にはベビーベッドの購入情報を費用ではなく資産として「償却資産」という項目に振り替えた上で、毎月2,500円を12ヶ月後まで費用(減価償却費)として繰り返し発生させる感じです(マネーフォワードMEはPCから繰り返し入力機能が使えます)。
手間もかかるので、わが家の運用ルールとしては、1万円を超えるか、サブスクの前払い(年間利用料)に限って行っていますが、ベビーカーやチャイルドシートなど、特に育児関連の支出を管理するにあたって非常に役に立ちました。
ベビーカーの場合でも、しっかり使う期間ベースで考えると「1ヶ月あたり2,500円」という金額が出てくるので、その他の支出と並べて比較しやすくなり「ちょっと高い気がする」のか「なんならもう少しお金をかけても良い」のかが見えやすくなります。(比較することで、食費を少し削る? とかの判断もしやすい)
また、1ヶ月分の費用がまとめて計上されるわけではないので「先月は赤字になっちゃったから、しばらくはその分を取り返すためにより黒字にしないと」といったことを考える必要なく、ズバッと「毎月2,500円分の費用」として見える上、「その内訳が何なのか、いま何にお金をかけているのか」が見えるのも安心感があります。
さらに償却資産という科目の残高が増えることで、株や投資信託などの金融資産の他にも、「生活に必要なものへの投資」をしている実感が湧きます。「しばらく生活改善のための投資を絞ってたなー」などと支出のタイミングを練ることも出来ます。
加えて、月々の費用がかかるぶん、同じだけの家計を維持しようとするとそれだけ貯蓄が増えることになりますので、将来の買い替え原資を確保する効果もあります(専門的にいうと自己金融効果ってやつですね)。ベビーカーの例でいえば、減価償却費として毎月2,500円の出費が「あるもの」として過ごすため、その分のお金が自然と蓄えられていくイメージです。
実際にこういう家計簿の付け方をしていて感じるのは、迷ったならば少し高いものを選んだほうがあとで後悔しないケースが多いなあということです。
結局、1ヶ月あたりの金額にすれば大したことない差なのに、それを惜しんだためにずっと後悔したり、場合によって買い直したりする場合は大きな痛手になります。お金だけでなく、古いものの処分に掛かる手間も大変です。
結果として、安物買いの銭失いになることが減り、満足度の高いお金の使い方が出来ているように思います。
こうして全体の支出をコントロールすることによって、家計簿は「お金を使わずに済む」だけでなく「お金を安心して使う」ための有用なツールとなります。
不確実で多様な社会を楽しむために
子どもが産まれてから、お金について考える時間はずっと増えました。
それまでは無印NISA満額を埋めるために毎月10万円貯蓄するぞ!!足らない?? どうせ後で増えて返ってくるだろうし、もう少し切り詰めて突っ込むぞ!! といった割りとシンプルな生き方(?)をしてきました。
悩んだら節約&貯蓄!!というのは、慣れさえすれば楽な生き方です。節約や貯蓄に関しては、書店に行けば沢山の本が並んでいますし、他の人のマネをしていれば上手くいくことも多々あるでしょう。
一方で、お金をどう使うのかについての正解は、ひとそれぞれです。「これが鉄板!」「これさえやっておけばOK!」そんな話は殆どないでしょう。
子どもたちも世の中も日々変わっていきますし、それに合わせて将来の計画が変わっていくのも当然です。やってみて初めて気がつくことも多く、あとになって「失敗したなあ」「こうすればよかったなあ」と気がつくことも多々あります。
何事も、リスクを取って試してみないと得られないリターンがあります。
そこで求められるのは、どれだけリスクを取れるのかをファクトを整理したデータです。
いまいちど、家計簿に集まっているデータを、どう活かせばこの不確実で多様な社会を楽しめるのかを考えてみるのもまた良いんじゃないでしょうか。
ではでは、今日はこの辺で。
編集:はてな編集部
家計の見直しを考えるようになったら
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