
2025年4月までの住宅ローンの金利推移を金利タイプごとに振り返り!今もっともおトクな住宅ローンの金利タイプを毎月更新
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こんにちは公認会計士の千日太郎です。イーデスでは、金利タイプ別の来月の金利予想を毎月公表しています。
そして前月の予想に対して実績の金利がどうなったか?また、過去から今月までの金利推移を分析しています。
下表は前月と今月のオススメ度を5段階評価で評価したものです。米国のトランプ大統領が4月に発令した「相互関税」によって景気悪化への不安が世界中に広がっており、これを反映して5月のオススメ度に調整を加えています。
金利タイプ | オススメ度 (5段階評価) | コメント |
---|---|---|
変動金利 | 4月:3.5点 5月:3.6点 | 利上げ継続が既定路線であったがトランプ相互関税により利上げ可能性は後退しつつある。 |
30年超の固定金利 | 【フラット35】 4月:5.0点 5月:5.0点 | フラット35はほぼ横ばいで推移。加えて子育てプラス、4月からは中古プラスで金利が下がる。 |
【民間】 4月:3.5点 5月:3.6点 | トランプ相互関税により長期金利が低下傾向に転じており、下がる期待が出てきた | |
20年固定金利 | 4月:2.5点 5月:2.5点 | 下がっても固定期間の長い30年固定やフラット35の方が低金利 |
10年固定金利 | 4月:3.9点 5月:3.8点 | 下がる期待が出てきたが、それ以前に上がり過ぎたか? |
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編集者イーデス編集部
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金利タイプ別2025年4月までの金利推移
では、直近2025年4月までの、住宅ローン金利タイプごとの前月予想の答え合わせとこれまでの金利推移、おススメ度について詳しくお話します。
変動金利
変動金利は日銀の政策金利の影響を受けます。その政策金利は1月に0.25%引き上げられて0.5%となっており、メガバンクをはじめとする民間銀行は住宅ローンの変動金利の基準金利を同じ幅の0.25%引き上げました。
ただし、基準金利からの引下げ幅について、銀行によって対応に差が生じることがあり、新規の借入金利では0.15%~0.35%の引き上げで分布しています。
4月から多数の銀行が変動金利を引き上げた
2025年1月 | 2月 | 3月 | 4月 | |
---|---|---|---|---|
千日予想 | 横ばい、 新規向けに下げる傾向が波及 | 横ばい | 横ばい | 0.25%上昇 |
実績 | 横ばい ほぼ的中!! | 横ばい 的中!! | 横ばい、 ほぼ的中!! | 基準金利0.25%上昇したが引下げ幅で対応に差がついた ほぼ的中!! |
銀行では規程によって特定の月に変動金利の引き上げを行うこととしており、一番多いのが4月と10月で、その次に多いのが5月と11月です。
1月の日銀の金融政策決定会合で政策金利が0.25%引き上げられたことで、4月の変動金利の基準金利を0.25%上げる銀行が多数となりました。
ただし基準金利からの引下げ幅を下げる銀行が出てきており、これによりauじぶん銀行の新規客向けの変動金利は0.35%の引き上げとなり、三井住友銀行では0.3%の引き上げとなっています。
この点、変動金利の低金利競争に潮目の変化が表れているようですね。これまでであれば、新規向けに他行より多く金利を引き上げることはあり得ない対応でした。
ただし、依然として新規向けの変動金利の引き上げを小さく見せようとする銀行はあります。代表的な銀行はみずほ銀行です。
同行では、新規客向けの金利引き上げのルールと既存客向けの金利引き上げのルールをそれぞれ独立して設定することで、新規客向けの変動金利の上昇は他行よりも約6か月遅れるような運用をしています。
そのため、みずほ銀行の4月の変動金利は0.525%で4月に金利を引き上げた主要銀行の中では最低金利をマークしているのですが、ただ金利の引き上げタイミングが約6か月遅れるだけなので、ずっと0.525%が続くわけではなく、半年後に0.25%上がることが予定されている点に注意が必要です。
リーマンショックからトランプ相互関税ショックまでの推移とおススメ度
主な銀行の変動型の住宅ローン金利は短期プライムレート(短プラ)に連動するものです。単プラは中央銀行(日銀)が民間銀行に融資する政策金利の影響を受けます。
そこでリーマンショックから2025年3月までの日米の政策金利の動向をグラフにしました。

リーマンショックのときには、日米ともに政策金利を引き下げ(ゼロ金利政策)、2016年から米国では金利が引き上げられてきたのに対して、日本は2024年3月までの長きにわたって金融緩和政策が続きました。
米国では2024年9月から利下げに転じましたが2025年1月のFOMCではトランプ大統領の関税政策によるインフレ再燃に備えて利下げを停めました。
日本では2024年7月に0.25%の追加利上げ、2025年1月にはさらに0.25%の追加利上げを決定して現在の政策金利は0.5%となっています。
直近では2025年4月に米国のトランプ大統領が発令した「相互関税」によって景気悪化への不安が世界中に広がっており、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は4日の講演で、関税引き上げ幅は「想定よりも著しく大きい」とショックを表明しています。
これを受けて市場では、年末まで少なくとも2回とされていた利下げの回数を3回に修正しました。
背景にあるのは、トランプ氏による高関税が消費者物価を押し上げるより、景気後退を招く影響の方が大きいとの見方です。
また、日銀の今後の利上げについてもペースが鈍化するものと考えられ、今後日銀の想定どおりに政策金利が上げられないシナリオも真実味を帯びつつあるため、前月のお勧め度から若干プラスして3.6としています。
- 5.0点満点の3.6点(先月:3.5点)
30年超の超長期固定金利
30年超の超長期固定金利の代表はフラット35です。
住宅金融支援機構の証券化支援事業をもとに民間金融機関と共同で2003年から提供されている住宅ローンであり、民間銀行が金利を決める際にも参考になっています。
フラット35の金利予想と実績
2025年1月 | 2月 | 3月 | 4月 | |
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千日予想 | 横ばい | 横ばい | 上昇は抑えられる | 上昇は抑えられる |
実績 | 1.86% 的中!! | 1.89% | 1.94% | 1.94% 的中!! |
2025年4月のフラット35は、日銀追加利上げに加え、今後も利上げを継続していくことを織り込んで長期金利が17年ぶりの1.5%という高水準であったときに、政策的に上昇を抑えて1.94%となっています。
トランプ相互関税のショックから長期金利は急低下していますが、それ以前の長期金利上昇に対してフラット35の上昇を抑えた分、あまり下がらないであろうと予想しています。
詳しくは2025年5月金利予想を読んでみてください。
2025年4月までの推移とおススメ度

2024年2月に子育て世帯を対象として金利を引き下げる「子育てプラス」が開始されてから特に顕著なのですが、日銀の利上げに伴う長期金利の急激な上昇に対してフラット35の金利はほとんど横ばいで推移しています。
むろん少しは上がっているのですが、グラフのように長期金利の上げ幅と比較すると明らかに政策的な意図を感じます。
さらに2025年4月からは一定の基準を満たした中古住宅を購入する際に、フラット35の借入金利を一定期間引き下げる「中古プラス」が開始されています。
年々の制度改正によって金利の引下げが新設されたり、金利引下げを受ける条件が緩和されたりしています。
このようなことが出来る背景には、フラット35を取り扱う住宅金融支援機構が、国の出資によって設立された独立行政法人であるためです。
明らかにお得な商品なのですが、融資事務を代行する民間銀行は自行の変動金利の利用を勧める傾向が強いこともあって、あまり利用されていないのが残念でなりません。
金利上昇後の変動金利よりも低金利で固定できる可能性が高いことを踏まえてお勧め度はMAXの5を維持しています。
- 5.0点満点の5.0点(先月:5.0点)
民間住宅ローンの超長期固定金利については、みずほ銀行、りそな銀行、三菱UFJ銀行というメガバンクのほか、住信SBIネット銀行も比較的低金利な商品を出しています。
これら民間の超長期固定金利は、トランプ相互関税ショックの直前まで、長期金利の上昇に伴って急激な上昇傾向となっています。
現時点で、同じ全期間固定金利のフラット35と比較しても明らかに高い水準ですが、頭金ゼロのフルローンで利用できることや住宅性能の基準がフラット35よりも緩いことなどから、金利を固定したいがフラット35で借りられないケースで選ばれることもあります。
また、トランプ相互関税ショックにより長期金利が低下し今後下がる期待もあるため、お勧め度は前月からプラスして3.6としています。
- 5.0点満点の3.6点(先月:3.5点)
20年固定金利
主要銀行の20年固定金利は主力商品から外れる傾向が続いています。
20年固定の金利予想と実績
2025年1月 | 2月 | 3月 | 4月 | |
---|---|---|---|---|
千日予想 | 上昇傾向 | 上昇傾向 | 上昇傾向 | 上昇傾向 |
実績 | 銀行により対応が分かれた | 上がった 的中!! | 上がった 的中!! | 上がった 的中!! |
直近では長期金利の上昇に伴い上昇傾向が続き、2024年12月にはこれまで横ばいとしていたSBI新生銀行も金利を上昇させました。
1月の日銀会合での利上げ後は4月まで主要銀行が金利を上げ続けています。
今後の予想については2025年5月金利予想を読んでみてください。
2025年4月までの推移とおススメ度

20年固定金利は、35年全期間固定のフラット35(買取型)よりも低金利を維持してはいるのですが、2025年4月には逆転して20年固定金利の方が高くなってしまいました。
さらにフラット35には「子育てプラス」や「中古プラス」で当初の期間の金利引き下げがあることを鑑みると、お勧めできる人はかなり限定されます。
あえて20年固定金利タイプを選ぶ合理的な理由がほとんどなくなっていることから、最も低いおススメ度の2.5を維持しています。
- 5.0満点の2.5点(先月:2.5点)
10年前後の中期固定金利
主要銀行の10年固定金利もまた長期金利の上昇に伴って上昇傾向になっていますが、各行が変動金利に次ぐ主力商品としていること、金利の固定期間が相対的に短めであることから、固定タイプとしては低金利となっています。
10年固定金利の金利予想と実績
2025年1月 | 2月 | 3月 | 4月 | |
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千日予想 | 上がる又は 横ばい | 上がる又は 日銀が利上げを見送れば横ばい又は下がる | 上がるが上昇は抑えられる | 上がるが上昇は抑えられる |
実績 | 銀行により対応が分かれた | SBI新生を含め上昇した 的中!! | 普通に上がった ほぼ的中!! | 普通に上がった ほぼ的中!! |
最近の10年固定金利は銀行ごとの営業方針を反映して、銀行によって対応のバラツキがみられることもありましたが、2月から4月まで、ほぼすべての主要銀行で金利を引き上げています。
今後の予想については2025年5月金利予想を読んでみてください。
2025年4月までの推移とおススメ度

10年固定金利は日銀総裁が黒田氏から植田氏に交代した2023年から金融政策の正常化が意識され、上がり始めて今に至ります。
昨年まではSBI新生銀行が頭一つ抜けて1%未満としていたのですが、日銀の利上げ継続が市場に織り込まれてきた2月から4月で急激に金利を引き上げており1.6%台まで上昇しています。
ただし、4月にはトランプ相互関税ショックによって長期金利が急降下してきたため、これを反映して10年固定金利が下がる可能性もあります。
民間銀行の固定タイプとしてはまだ低金利ですが、ここ最近の上昇が大きいことから、前月よりも0.1ポイント下げて3.8とします。
今のところはトランプ相互関税ショックによって長期金利が低下傾向にありますが、今後の不確定要素が大きく、10年固定1本でいくのは危険です。
安定して金利上昇を抑える傾向のあるフラット35でも審査を通しておくことをお勧めします。
まとめ~トランプ「相互関税」ショックで損しない住宅ローンの組み方
前月の記事では、今後日銀が政策金利を1%程度まで上げることを前提として、オススメ度のポイントを付けましたが、これはあくまで現時点での優劣をつけるための仮定にすぎないという「但し書き」も付け加えておりました。
理由としてはトランプ関税の不確実性を無視できなかったためです。
それが、思いのほか早いタイミングで顕在化したのが4月のトランプ大統領の「相互関税」でした。
これが大きなショックになった要因としては関税率の高さもさることながら、その算出方法が常識では考えられないような方法であったことに対する衝撃でもあると見ています。
今回のトランプ相互関税ショックに伴うオススメ度の調整は小幅なものにとどめています。その理由は、今回発令された「相互関税」がトランプ氏お得意の交渉カードであり、修正の可能性もあると見ているためです。
ただ、いずれにしても先行きが不透明であることに変わりはありませんし、過度に楽観的になることもお勧めはできません。
一つの住宅ローンだけで審査を通し契約した状態では、機動的な対応ができません。
フラット35や10年固定金利、変動金利など、おすすめ上位の複数の金利タイプでシミュレーションして返済計画を立て、本審査まで通し、最終的にベストな選択ができる対応をとっておくことをお勧めします。