ふるさと納税後の控除額の確認方法!住民税と所得税別に確認方法を解説
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ふるさと納税では、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」または「確定申告」で控除を申し込みますが、どちらを選ぶかによって次の点が異なります。
- 控除される税金の種類
- 控除される金額
- 申し込み方法
そのため、下記のような疑問をお持ちの方も多いと思います。
- ふるさと納税の控除額がいくらか確認する方法ってあるの?
- ふるさと納税の控除が行われたかどうかの確認ってどうすればいいの?
- ふるさと納税で住民税はどれくらい安くなるの?
そこで今回、ふるさと納税の控除の確認方法について、じっくり解説していきます。
この記事を読めば、ふるさと納税ワンストップ特例制度と確定申告、両方の控除確認の方法が理解できます。
また、控除額がおかしいと感じた方のために、考えられるケースと対処法も詳しく解説しているので、ぜひご覧になってください。
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あなたはどっち?ふるさと納税で控除される税金の種類を確認
ふるさと納税で控除される税金の種類は、控除の申し込み方法によって次のように異なります。
控除される税金の種類に応じて控除を受けるタイミングが異なるので注意しましょう。
ふるさと納税ワンストップ特例制度なら「住民税」
ふるさと納税ワンストップ特例制度を利用した場合は、「住民税」から税金の控除を受けられます。
住民税は前年の課税所得金額に税率をかけて計算され、納税時期は翌年になる仕組みです。
そのため、住民税が控除されるふるさと納税ワンストップ特例制度では、翌年の住民税が控除されます。
会社員の方は翌年6月以降の給与明細から住民税額の控除が確認できるのでチェックしましょう。
住民税のみの控除額について確認したい方は、こちらもご覧ください。
確定申告なら「住民税」と「所得税」
確定申告を利用した場合は、「住民税」と「所得税」から税金の控除・還付を受けることが可能です。
1月1日から12月31日までの所得をまとめ、納める税金を計算して税務署に申告と納税を行います。
所得税はふるさと納税を行った時点ですでに納めているため、控除された分(還付分)は指定した銀行口座に一括で振り込みが行われます。
ふるさと納税で控除される金額の確認方法
ふるさと納税で控除された金額の確認方法は住民税と所得税によって異なります。
それぞれの確認方法とどの項目を見れば良いかを解説しますので、見ていきましょう。
住民税なら住民税決定通知書で確認
※引用:「総務省」より
住民税の場合、住民税決定通知書の「寄附金控除」の項目から、ふるさと納税の控除額を確認できます。
この住民税決定通知書は、本年度に支払う住民税の金額が決定したことを知らせる通知です。
受け取るタイミングは以下の通りです。
- 会社員:毎年5〜6月頃に会社に届く
- 個人事業主、前年度に転職した方など:6月頃に自宅へ郵送
住民税決定通知書では、ふるさと納税の控除(寄附金控除)の他にも次の控除額を確認できます。
- 住宅ローン控除
- 配当控除
- 調整控除 など
もし前年度にふるさと納税を行っていたにもかかわらず、「寄附金控除」の項目に金額が記載されていない場合や、寄附金額が異なっていたなどの場合は、控除の手続きがうまく行われていない可能性があります。
その際は、お住まいの地域の役所で確認しましょう。
住民税が控除されるのは6月から1年間
住民税が控除されるタイミングは、ふるさと納税で寄附を行った翌年の6月から1年間続きます。
会社員の場合、住民税は毎月天引きの形で引かれているはずです。
この金額が減額されていれば、控除されていることがわかります。
前年度にふるさと納税を行った方は、6月以降の給与明細をチェックしてみましょう。
また、自営業などの方であれば一括払いか分割払いかを選択できます。もちろん、どちらを選択しても控除される総額は変わりません。
所得税なら確定申告書で確認
※引用:「国税庁」より
所得税を確認したい方は、確定申告書の書類作成時に確認することが可能です。上の画像の赤枠部分から控除額がチェックできます。
近年広く使われている国税庁の「確定申告書等作成コーナー」では、オンラインで確定申告の書類作成が可能です。
もちろん、手書きで作成することもできるので、お好きな方を選ぶことができます。
書き終えた確定申告書にふるさと納税による所得税控除が正しく記載されていることを、忘れずに確認しましょう。
所得税が還付されるのは4〜5月頃
実際に所得税の控除が行われるのは、4〜5月頃が一般的です。所得税の控除額が決定次第、寄附者が指定した銀行口座などに直接振り込まれます。
振り込まれる金額が寄附金額から自己負担分を差し引いた金額よりも少ない場合は、うまく確定申告できていない可能性があるため、お住まいの地域の税務署へ問い合わせましょう。
控除される金額のアバウトな計算方法
ここからは、ふるさと納税後に確定申告書やふるさと納税ワンストップ特例制度を利用した際に、所得税と住民税がどのくらい控除されるのか計算する方法を解説します。
まず所得税の控除額は、次の式で計算することが可能です。
計算式:所得税からの控除(還付)=(ふるさと納税の寄附金額 - 2,000円)×「所得税の税率(5~45%)」 |
ふるさと納税を行った金額から2,000円を差し引いた金額に、所得税率の割合をかけることで、所得税分の控除金額がわかります。
所得税率の割合は所得金額によって変わります。次のように5%〜最大45%です。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円から1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円から3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円から6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円から8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円から17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円から39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
※引用:国税庁「No.2260 所得税の税率」(平成27年分以降)より
この計算式を元に、課税所得金額が450万円、5万円のふるさと納税をした場合の例をご紹介します。
控除額合計=(寄附金額-2,000円)×税率
9,600円=(50,000円-2,000円)×20%
このように、計算式に当てはめて計算すると、9,600円の控除を受けられることがわかります。
所得税は寄附を行った年度にすでに納付済みですので、指定した銀行口座に還付金として振り込まれます。
次に住民税分の控除金額の計算方法ですが、こちらは次の式でチェックすることが可能です。
基本分と特例分の2つを計算し合算すること、特例分は条件により計算式が2つに分かれる点に注意してください。
計算式(基本分):住民税からの控除(還付)=(ふるさと納税額-2,000円)×10% ※控除の対象となるふるさと納税額は、総所得金額等の30%が上限 |
計算式(特例分):(ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%(基本分)-所得税の税率) ※特例分が住民税所得割額の2割を超えない場合 |
計算式(特例分):(住民税所得割額)×20% ※特例分が住民税所得割額の2割を超える場合 |
先の「課税所得金額450万円、ふるさと納税5万円」の方がワンストップ特例制度を使用し、住民税のみ控除されるとしましょう。
その場合
基本分=(ふるさと納税額-2,000円)×10%
4,800円=(50,000円-2,000円)×10%
となります。
一方で、特例分の区分決定、および特例分が住民税所得割額の2割を超える場合の金額算定に必要となる住民税所得割額は「住民税所得割額=課税所得金額×税率-税額控除額」で計算されます。
仮に住民税所得割額が特例分の2割を超えなかったと仮定すると
特例分=(ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%(基本分)-所得税の税率)
33,600円=(50,000円-2,000円)×(100%-10%-20%)
となり、控除額の総計は
控除額合計=基本分+特例分
38,400円=4,800円+33,600円
となります。
上記からもおわかりになられる通り、住民税の控除は所得税の控除に比べ複雑です。
さらにここでは所得税の税率を上に記載した表から単純に引用していますが、実際は「個人住民税の課税所得金額から人的控除差調整額を差し引いた金額により求めた所得税の税率」が対象となります。
また、上記計算では令和19年まで加算されている「復興特別所得税」も含めておりません。
そのため、あくまでこちらで紹介した金額は概算だと考えてください。
控除額が少ない、されていない場合と対応方法
ふるさと納税の控除額を確認した際に、想定よりも控除額が少ない場合や全く控除されていない場合は、何らかの原因で控除の手続きができなかった可能性が高いです。
この控除の有無に気づかないと、せっかく寄附した分が全額自己負担になってしまうため、忘れずにチェックしてください。
控除の手続きに失敗した原因として考えられるケースを5つご紹介するので、ひとつでも当てはまりそうな項目があった場合は、市役所などに問い合わせましょう。
なお、ワンストップ特例制度もしくは確定申告の手続きを忘れていた場合でも、後日の申請は可能です。確定申告の提出期限から5年以内なら、「更正の請求」を行うことで寄附金控除が受けられます。
該当する方は最寄りの税務署に問い合わせてみてください。
ケース①:寄附金受領証明書の添付漏れ
確定申告でふるさと納税の控除を申し込む場合、お礼の品に同封されるか別の封筒で送られてくる寄附金受領証明書を添付する必要があります。
※ふるさと納税ワンストップ特例制度の場合は、添付の必要がありません。
確定申告の際にこの寄附金受領証明書の添付を忘れてしまった場合、書類の不備で寄附金の控除がされていない可能性があります。
不備があっても自治体から連絡が来ないケースもあるので、ご自身でこまめに確認してください。
寄附金受領証明書の添付漏れには還付申告で対応
寄附金受領証明書の添付漏れが発生した場合は、還付申告を行うことで再度控除の申し込みが可能です。
還付申告は、確定申告と異なり翌年1月1日から5年間提出できます。
手続きに不安がある方は必要書類を揃えたうえで、税務署に出向き申請を行うか、郵送やインターネットによる申し込みでも大丈夫です。
ケース②:限度額の計算を間違って上限を超えてしまっていた
よくある間違いのひとつに、限度額を誤り多めに寄附してしまったケースも耳にします。
この場合寄附の取り下げは原則不可能、払いすぎた分は自己負担となってしまうので注意が必要です。
③支払うときなどの名義人を間違えている場合
ふるさと納税を支払うときに利用したクレジットカードの名義人が、申込者と異なっていたケースについて考えてみます。
ふるさと納税では、原則的に寄附の申込者と決済者の名義が同一人物である必要があります。
自分の名前で寄附の申し込みを行い、支払い時に家族名義のクレジットカードで寄附するのは禁止です。
ただし、自治体側では支払いに利用したクレジットカードの名義人の確認ができないため、これが原因で控除ができていない可能性は少ないです。
他に原因がある可能性が高いので、ご紹介している他のケースを再度確認してみましょう。
名義人を間違えたら、地方自治体に直接問い合わせ!
支払い時の名義人の間違いに気付いた場合、寄附金控除の有無に関わらず、寄附をした地方自治体に直接事情を話しておく必要があります。
ふるさと納税をする際の名義が間違っているケースは少なくないので、事情を話せば本人の寄附として扱ってくれるケースがあるようです。
寄附をした各自治体に確認を行いたいときは、下でご紹介している総務省の「市区町村 連絡先一覧」にて連絡先を確認し、電話による問い合わせを早めに実行しましょう。
ケース④:前年から給与所得が上がった
職位が上がった、昇給した、より給与の良い勤め先に転職したなどで前年にくらべ給与所得が増加した場合も注意が必要です。
この場合、前年の年収をベースにふるさと納税を行うと、寄附できる控除枠が必然余ってしまいます。
もったいないので追加で寄附したいところですが、寄附年度が過ぎてしまうと翌年分扱いとなってしまい、せっかくの控除枠を遊ばせてしまうことに。
お住まいの市役所や寄附を行う地方自治体に問い合わせても、遡って納付することはできないため、注意してください。
ケース⑤:医療費や住宅ローン控除が適用されている
医療費控除や住宅ローン控除を申請する方は、ふるさと納税と合わせて確定申告による控除の申し込みが可能です。
とくに、住宅ローン控除の1年目や医療費控除については、確定申告による申し込みが必須となっています。
ただし、ここで注意すべき点が1点。それは、住宅ローン控除や医療費控除を利用することで課税所得が減り、ふるさと納税の寄附上限額が低くなる可能性がある、ということです。
シミュレーションなどを活用しながら、どの寄附を活用すればお得なのかをチェックした上で、各種申し込みを行いましょう。
まとめ
ここまで、ふるさと納税を行った後金額は正しく控除されているか、確認するための方法についてご説明しました。
ふるさと納税の申し込み自体は比較的簡単ですが、適切に処理されているかどうかはわかりづらいため、本記事も参考にしながら自分でチェックするようにしましょう。
控除される金額は所得金額に応じて変わるほか、控除の申請方法により控除を受けられる税金の種類が異なる点も注意が必要です。
最後に、控除額が合っていないと感じた方、諦めるのはまだ早いです。寄附の翌年から5年間は再び還付申告を行うことができる、ということを覚えておきましょう。