ウクライナ侵攻が金利に与える影響は?2022年4月住宅ローン金利動向を予想します

ナビナビ
住宅ローンニュース

2022-04-21

こんにちはブロガーの千日太郎です。

米欧からの金利上昇圧力が日本に波及したことで、2022年3月の住宅ローン金利は5年から6年ぶりの大幅上昇となりました。

しかし、2月24日のロシアによるウクライナ侵攻によって長期金利が大幅に下がる局面も出てきています。

この記事では、執筆時点で公開されている「金融市場の動向」と千日太郎が公認会計士として培ってきた金融ビジネスに対する知見をもって推理する「銀行の営業方針」から2022年4月の住宅ローン金利動向を金利タイプごとに予想します。

※当記事の金利や情報は2022年3月6日時点のものを記載しております。
最新の金利情報は、必ず金融機関等の公式サイトをご確認ください。

目次

金融市場の動向:利上げ観測からウクライナ侵攻までの日経平均株価と国内長期金利の動向

こちらは2021年12月1日~2022年3月4日までの日経平均株価と長期金利の推移をグラフにしたものです。

2022年4月住宅ローンの金利予想(日経平均と日本の長期金利

長期金利(青の折れ線グラフ)は上昇しているのに対して、日経平均株価(オレンジの折れ線グラフ)は下降しており、アルファベットのXのように交差する形になっています。

長期金利の上昇は、米長期金利の急上昇が波及したためです。これに対して日経平均株価の下降はコロナ環境下に米中央銀行が早期利上げを行うことに投資家が懸念し株式を売ったためです。

そして、2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻を境として、長期金利も日経平均株価も低下傾向となっています。特に長期金利の低下が著しいですね。

ウクライナ侵攻による地政学リスクの高まりとロシアへの経済制裁による景気悪化の見通しから、投資家がリスク資産である株式を売り、安全資産である国債が買われたためです。

債券価格と金利(利回り)の間には負の相関関係があり、逆方向に動きます。

債券価格が上がると利回りが下がり、債券価格が下がると利回りが上がります。つまり国債価格が上がったことによって、長期金利が下がったのです。

これまでは、米欧に続いて日銀にも利上げが予想されており、それが金利を押し上げていたのですが、ウクライナ侵攻によってこの観測が大きく後退し、その反動が金利の大幅な低下に現れているのです。

米中央銀行の金融政策への影響は?

こちらは2021年12月1日~2022年3月4日までのダウ平均株価と米長期金利の推移をグラフにしたものです。

2022年4月住宅ローンの金利予想(ダウ平均株価と米国の長期金利)

長期金利(青の折れ線グラフ)は上昇しているのに対して、ダウ平均株価(オレンジの折れ線グラフ)は下降しており、アルファベットのXのように交差する形になっています。

さらにウクライナ侵攻を境とした金利と株価の低下傾向も同じです。米中央銀行の利上げ観測とロシアによるウクライナ侵攻に対する投資家の反応は、ほぼ同じ傾向にあると言ってよいと思います。

これまでは好調な米雇用統計に後押しされ、米中央銀行はインフレ抑止に向けて金融の引き締めと利上げペースを速めるとの見方が強まっていました。

しかしウクライナ侵攻によって原油高が高騰しインフレ予想は上振れしつつも、ロシア制裁による景気後退が懸念されています。

インフレによる物価高と景気停滞が併存する「スタグフレーション」への警戒感が高まっています。

しかし、もともとコロナ環境下で物価高は進んできていたため、スタグフレーションのリスクは潜在していたと考えています。

拙速な利上げはこれに拍車をかける恐れもあったのです。

しかし今回のウクライナ侵攻によってこのスタグフレーションリスクが顕在化し、市場で強く意識されたことで米中央銀行もそれにあわせて緩和方面への動きも見せる必要が出てきています。

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は3月2~3日の議会証言で3月の利上げを明言していますが、利上げ幅を0.25%と特定することで市場に対して配慮を見せていますね。

銀行の営業方針:「便乗利上げ」後の4月の金利はどうなる?

民間銀行の住宅ローン(長期の固定金利)は2022年2月から2022年3月にかけて0.05から0.15ポイントの大幅上昇となりました。

固定型10年の基準金利は約6年半ぶりの高水準となりました。

建前としては米利上げ観測の波及に伴う長期金利の上昇です。しかしロシアによるウクライナ侵攻は2月24日であり、民間銀行が住宅ローンの金利を決めたタイミングでは既に長期金利は下がり始めていました。

米中央銀行もスタグフレーションリスクに配慮している状況下で、果たして6年半ぶりの高水準に上昇させることが合理的な判断だったのかについては疑問符がつきますね。

いわゆる「便乗利上げ」だったのではないかと思います。

前月までの記事でも書いているように、3月は決算月であり新築マンションの完成引き渡しが集中します。

金利が上がったからといって翌月に変更することが難しいタイミングなので、金利を上げても逃げられることがありません。

そのため3月には金利を上げる大義名分さえあれば、大きく金利を上げやすい傾向があるのですね。

これに対して4月は3月の反動で完成引き渡しが少なくなる傾向があります。

高い金利をつけていてもローン実行になる人は少ないですし、再び金利を下げて低金利をアピールした方が得策となります。

また、長期金利はウクライナ侵攻の影響から大きく下がっていますので、金利を下げる合理的な理由もあるのです。

こうした民間銀行の営業方針に鑑みると4月の住宅ローン金利は下がる可能性があります。

金利タイプ別2022年3月の金利予想

では、金利タイプ別に2022年4月の金利がどうなっていくのか予想していきます。

3月6日までの公開情報を前提とした予想になります。

【金利タイプ別】2022年4月の金利予想

公的融資フラット35の金利動向

こちらは、公的融資で30年超の超長期固定金利であるフラット35(買取型)の金利と長期金の推移を2022年1月から2022年3月までとったものです。

2022年1月から3月にかけて大幅に長期金利が上昇しており、フラット35の金利も上昇していますが、公的融資であることからその上昇は抑えられています。

2022年4月住宅ローンの金利予想(フラット35(買取型)と長期金利)

フラット35の金利は前月の中旬に決まります。

その時点に青い棒グラフのフラット35(買取型)金利を立てています。

2月と3月は青い棒グラフとオレンジの折れ線グラフの間にギャップが広がっていますが、これがフラット35の上昇が抑えられていることの現れです。

(機構債発表日)1月金利
(2021年12月16日)
2月金利
(2022年1月21日)
3月金利
(2022年2月17日)
長期金利0.04%0.13%0.21%
機構債の
表面利率
0.32%0.40%0.48%
フラット351.30%1.35%1.43%

2022年1月から3月にかけて長期金利は0.17ポイント上昇し、機構債の表面利率も0.16ポイント上昇しているので、普通であればフラット35の金利も0.16ポイント上昇させたいのですが、0.13ポイントの上昇に抑えているため、0.03ポイントの損を被ってわたしたちに住宅ローンを貸しているのです。

こうした場合、翌月以降に長期金利が下がって機構債の表面利率が下がっても、フラット35の金利が下がらないケースがあります。

つまり3月までに0.03ポイント上昇を抑えた分、下がるときには0.03下がりにくくなっているということです。

そのため、今月の半ばあたりに発表される機構債の表面利率が下がったとしても、4月のフラット35の金利は下がらずに横ばいという可能性があります。

今月の機構債発表のタイミングに長期金利がどのあたりになるのか?今後のウクライナ情勢によっても変わってきますが、フラット35(買取型)の金利は概ね1.37%~1.43%の水準に落ち着くのではないかと予想しています。

民間の超長期固定金利の動向

なお、民間住宅ローンの30年以上の超長期固定金利については、2月から3月にかけては便乗利上げで長期金利の上昇以上に金利を上げています。

4月については3月に大きく上げた銀行ほどその反動で金利が下がる可能性があると見ています。

20年前後の長期固定金利の動向

主要銀行の20年固定は2022年2月から3月にかけて適用金利を0.1~0.15ポイント程度上げる銀行が多数派でした。

長期金利の上昇幅以上に上げる銀行が多かったです。

20年固定金利は1%弱の金利水準としている銀行が多く、令和4年度の税制改正によって住宅ローン控除の恩恵が無くなることとなりました。

これによって、20年固定を主力商品から外す可能性もあります。

長期金利が下がって適用金利を下げる銀行とそれほど下がらない銀行が混在すると見ています。

10年前後の中期固定金利の動向

ここ数年の10年固定金利は概ね下がり続けてきたものの、2021年10月から11月にかけては珍しく上昇に転じました。

さらに、2022年3月は6年半ぶりの高水準になっています。

金利予想が的中したことになるのですが、当たってほしくはなかったですね。

令和4年度の税制改正によっても住宅ローン控除の控除率が0.7%に下がったことで、その控除率に合わせた0.7%前後にそろってきているためです。

この予想が正しければ、4月に長期金利が下がっても10年固定はそれほど下がらない可能性があります。

変動金利の動向

変動金利は、長期金利ではなく中央銀行の政策金利に影響を受けます。

政策金利とは、中央銀行が民間銀行に融資するときの金利です。

景気後退時には政策金利を下げ、好景気時には政策金利を上げます。

前述したようにウクライナ侵攻によって米国の利上げ観測は後退しており、来月に日銀が政策金利を上げる可能性は無いと思います。

2022年4月の主要銀行の変動金利は横ばいで推移するでしょう。

まとめ~先行き不透明なウクライナ情勢下では無理のない返済計画を

図らずも3月に住宅ローン金利が上がる可能性があるという予想が的中してしまいました。

しかし基本的に金融市場の金利動向は誰にもコントロールできませんし、それによって決まるとされる住宅ローンの金利は債権者である金融機関が決めるものです。

現時点でウクライナ情勢は長期戦の様相を呈していますが、まだ流動的であって短期的に動きがある可能性があり、それによって金利がどう動くのかも不安定です。

そのため、実際の金利の動きは私の予想から大きくずれていくことも大いにあり得ます。

金利が想定外の動きになったとしてもある程度吸収できる、無理のない資金計画を立て、実行していく必要があります。

住宅ローンの返済計画は無理せず、出来るだけゆとりのあるものにするようにしてください。

関連記事