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住宅ローン「つなぎ融資」の3つの注意点!利用の流れと銀行ごとの違い比較

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住宅ローン「つなぎ融資」の3つの注意点!利用の流れと銀行ごとの違い比較
住宅ローンの選び方
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注文住宅の資金を補うために必要な「つなぎ融資」。

つなぎ融資の仕組みは少し複雑なので、「必要なのは分かっているけど、どういうものかは正直よく分からない」とお悩みではないでしょうか。

つなぎ融資とは、かんたんに説明すると注文住宅が完成するまでの土地購入代金などの支払いに利用する一時的なローンです

1,000万円を超える土地購入代金を、現金で用意する必要がなくなるため一見すると非常に便利な商品です。

しかし、つなぎ融資を利用することで十数万ほど負担が大きくなる点には注意が必要です。

この記事では、つなぎ融資の仕組みや注意点、利用の流れについて解説しています。

注文住宅の購入をスムーズに進めるために、ぜひ参考になさってください。

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住宅ローンの「つなぎ融資」とは

「つなぎ融資」は、住宅の完成前に資金を借りる手段のひとつで、主に注文住宅で利用されます

前提として、住宅ローンは注文住宅が完成してからでなければ借りられません。

しかし、注文住宅を購入する場合は、住宅ローン以外にも下記のまとまった費用の支払いが必要です。

注文住宅の土地取得・工事に関する費用

  • 土地購入代金
  • 工事着工金
    (工事代金の約3割)
  • 中間金
    (工事代金の約3割)

「工事着工金」と「着工金」は工事代金に対してそれぞれ約3割が必要になるため、工事代金が1,500万円の場合で約900万円かかります。

とはいえ、このような大金をすぐに用意するのは難しいですよね。

そこで注文住宅が完成するまでの間、一時的に資金を用意するために「つなぎ融資」を利用するのです

※住宅の買い替え時、新住宅の購入と旧住宅の売却タイミングがずれた際に利用する融資もつなぎ融資と言います。
同じ呼び名ですが買い替えと注文住宅建築とでは利用の流れが異なります。
当記事では注文住宅建築を前提につなぎ融資の解説をしておりますのでご留意ください。

つなぎ融資の仕組み

つなぎ融資の流れ

つなぎ融資は住宅ローンが実行されるまでは利息のみを支払い、住宅引き渡しのタイミングで住宅ローンを利用して清算するというのが一般的な仕組みです。

融資を受けられるタイミングは金融機関によって異なりますが、3~4回と決まっているところがほとんどです。

また、利用できる金額の上限は住宅ローンの借入金額の3~4割と決まっている場合もあります。

希望通りのつなぎ融資を受けられるかどうかは、事前に金融機関へ確認しておきましょう。

つなぎ融資を利用する際の流れ

注文住宅を購入する際には、

  1. 土地を購入する
    不動産会社」
  2. 建物建築を依頼する
    建築請負業者」
  3. つなぎ融資&住宅ローンを扱う
    金融機関」

という3者間でのやりとりがあります。

円滑に手続きを進められるよう、必要書類や自己資金は早めに準備しておきましょう。

土地購入からつなぎ融資完済までの詳細な流れは、下記表の通りです。

1.土地購入の申し込み~土地購入代金の支払い

  1. ステップ1

    土地購入の仮申し込み

    不動産会社に買付申込書などを提出

  2. ステップ2

    建物工事費用の見積りを複数社に依頼

    工事費用の見積りをもとに工事請負会社を絞り込む

  3. ステップ3

    住宅ローン、つなぎ融資の事前審査

    住宅ローンとつなぎ融資の事前審査を申し込み、審査に通ればSTEP4へ進む

  4. ステップ4

    住宅ローン、つなぎ融資の本審査&ローン契約

    住宅ローンとつなぎ融資の本審査を申し込み、審査に通れば契約を結ぶ

  5. ステップ5

    土地の購入契約を結ぶ

    不動産会社と土地購入契約を結ぶ。
    併せて土地購入代金の5%~20%の範囲で自己資金から手付金を支払う

  6. ステップ6

    土地購入代金の残金を支払い
    【つなぎ融資1回目】

    手付金を差し引いた土地購入代金の残りをつなぎ融資にて支払う。
    つなぎ融資の利息返済開始

2.工事請負契約~中間金の支払い

    1. ステップ7

      工事請負契約を結ぶ

      工事請負会社を決め、工事請負契約を結ぶ。
      このとき工事費用の一部を契約金として自己資金から支払う
      ※工事費用が見積り以上になる場合はつなぎ融資の増額審査が必要

    2. ステップ8

      着工金の支払い
      【つなぎ融資2回目】

      工事着工金の支払いをつなぎ融資にて支払う

    3. ステップ9

      住宅建築工事開始

      建築工事を開始

    4. ステップ10

      中間金の支払い
      【つなぎ融資3回目】

      住宅の骨組みができたら、上棟金(中間金)の支払いをつなぎ融資にて行う

3.住宅完成~つなぎ融資の完済

  1. ステップ11

    住宅完成/引き渡し&住宅ローン融資実行
    (建物残代金の支払い) 

    住宅竣工日に住宅ローン融資が実行され、建物の残代金が支払われる

  2. ステップ12

    つなぎ融資完済

    住宅ローンの融資実行時に、つなぎ融資を完済する

  3. ステップ13

    不動産登記手続き

    所定の司法書士と登記手続きを行う

つなぎ融資の3つの注意点

つなぎ融資を利用する際の注意点は、下記の3つです。

つなぎ融資の注意点

いずれも重要なポイントなので、1つずつわかりやすく説明していきますね。

注意点1.つなぎ融資は金利が高い

住宅ローンと比べると、つなぎ融資の金利は高めに設定されています

下記は楽天銀行の『つなぎローン』と『フラット35』の金利を比較した表です。

つなぎ融資とフラット35の金利の違い
フラット35の金利

1.820%

2024年04月適用金利

フラット35

自己資金10%以上

借入期間21年~35年の場合

一般団信加入

つなぎローンの金利年2~3%

どの金融機関でも、つなぎ融資の金利は高めです。

つなぎ融資の借入期間は1年ほどですが、借り入れ金額によっては思っていた以上の利息がかかってしまうケースもあります。

必ず事前に利息額のシミュレーションをしておきましょう。

利息額のシミュレーション

ここでは土地購入残金のつなぎ融資を受けてから、6ヵ月で住宅が完成した場合を例として、

  • 土地購入の残金
  • 着工金
  • 中間金

上記の費用に対して、つなぎ融資を3回利用した場合の利息と手数料を計算しています。

シミュレーション前提条件
土地購入
価格
1,000万円
(手付金として100万円支払い)
建物建築
価格
2,000万円
つなぎ融資の
利用額
2,100万円
(①土地購入残金900万円
②着工金600万円
③中間金600万円)
つなぎ融資
の利息
年3%
つなぎ融資
の手数料*
合計13万円
(①融資事務手数料11万円
②収入印紙代2万円)

※手数料は概算値です。実際は金融機関によって手数料額も異なります。

前提条件をもとに試算すると、以下のシミュレーション結果になります。

今回の条件では、手数料と利息だけで約36万7,000円かかる計算になりました

つなぎ融資は一見すると便利な商品ですが、このように住宅ローンとは別で大きな費用がかかります

また、利息は日割り計算なので、仕様変更や天候不順などの事情によって工事に遅れが出れば、必要になる金額は膨らみます。

住宅完成の遅れで利息がかかる事態も想定したうえで、余裕を持った資金計画を立てましょう。

注意点2.つなぎ融資の利用には事務手数料がかかる

つなぎ融資を利用する際は、住宅ローンとは別で『融資事務手数料』や『収入印紙代』などの費用が必要になります

融資事務手数料は、金融機関によって数万円~10万円ほど。
収入印紙代は、つなぎ融資で借りる金額に応じて2,000円~6万円となっています。

つなぎ融資の手数料の例*
融資事務手数料11万円
収入印紙代2万円

*手数料は概算値です。実際は金融機関によって手数料額も異なります。

どちらも住宅ローンの諸費用ほど高額になるわけではありませんが、直前になって慌てないように余裕をもって準備をしておきましょう。

注意点3.つなぎ融資だけの利用はできない

つなぎ融資は住宅ローンとセットでの借り入れが条件のため、つなぎ融資単体での利用は出来ません。

「住宅ローンはA銀行から借りて、つなぎ融資は金利の低いB銀行を利用する……」という事は出来ないのです。

また、つなぎ融資自体を取り扱っていない金融機関もあります。

つなぎ融資の利用を考えている方は、住宅ローンを選びのタイミングから金融機関に確認しておきましょう。

融資回数や上限金額に注意

つなぎ融資の利用条件には、融資回数や上限金額が設定されています。

注文住宅では、工事の進捗状況などの影響によって、当初の契約金額よりも工事費が膨らんでしまうケースがあります。

この場合、もちろん追加で資金を用意する必要がありますが、つなぎ融資の上限に達していると追加の融資を受けられない可能性もあります

「注文住宅は予想以上に費用がかかるもの」ということを念頭において、柔軟な条件が定められている金融機関を選んでおくと安心です

主要銀行のつなぎ融資の条件比較表

主要銀行のつなぎ融資の条件一覧
金融機関融資回数取扱手数料(税込)
イオン銀行
(つなぎローン)
最大2回
①着工時②上棟時
11万円
SBI新生銀行最大1回
①土地購入代金のみ
0円
楽天銀行
(つなぎローン)
最大3回
①土地購入代金②着工金③中間金
11万円
ARUHI最大4回
①土地購入代金②着工金③上棟金④竣工金
11万円*
ソニー銀行
(アプラスブリッジローン)
最大3回
①土地購入代金②着工金③中間金
11万円

*Aタイプの場合

auじぶん銀行住信SBIネット銀行みずほ銀行については取扱いありません。

つなぎ融資以外で資金を用意する方法

つなぎ融資以外で、土地購入代金や中間金を用意する方法も存在します。

つなぎ融資の利息や手数料が気になる方は、次に紹介する2つの方法も検討してみましょう。

つなぎ融資以外で資金を用意する方法

住宅ローンの分割融資を利用する

住宅ローンの分割融資とは、住宅ローンの融資を複数回に分けられる商品です

つなぎ融資と同じように、「土地の引き渡し時」や「建物の完成時」などのタイミングで融資を受けられるため、まとまった現金を用意する必要がありません。

また、分割融資は住宅ローンと同じ金利が適用されるため、つなぎ融資と比べて利息の負担を抑えることが可能です

上記の理由から、つなぎ融資の利息が気になる方でも分割融資であれば検討しやすいと言えます。

分割融資の注意点は支払い開始のタイミング

金利の低さが魅力の分割融資ですが、分割融資にも注意点があります。

つなぎ融資では住宅が完成するまで利息のみを支払うのに対して、分割融資では住宅完成前でも元金を含めた返済が必要になります

住宅が完成するまでは、賃貸住宅の家賃も支払わなければならないため、

  1. 分割融資の返済
  2. 現在の賃貸住宅の家賃

という2つの支払いが発生します。

つなぎ融資を比べて毎月の返済負担が大きくなってしまうため、住宅完成までの支払いを滞りなく行えるのかを必ず確認しておきましょう

分割融資を利用する際の流れ

土地の購入から、分割融資終了までのおもな流れは下記のとおりです。

  1. ステップ1

    土地購入の仮申し込み

    不動産会社に買付申込書などを提出

  2. ステップ2

    建物工事費用の見積りを複数社に依頼

    工事費用の見積りを元に依頼する工事請負会社を絞り込む

  3. ステップ3

    住宅ローン、つなぎ融資の事前審査

    住宅ローンとあわせて分割融資の事前審査を申し込み、審査に通れば4へ進む

  4. ステップ4

    住宅ローン(分割融資)の本審査&ローン契約

    住宅ローン(分割融資)の本審査を申し込み、審査に通ればローンの契約を結ぶ

  5. ステップ5

    土地の購入契約を結ぶ

    不動産会社と土地の購入契約を結ぶ。
    このとき、土地購入代金の5%~20%の範囲で自己資金から手付金を支払う

  6. ステップ6

    土地購入代金の残金を支払う&諸費用を支払う
    【分割融資1回目】

    手付金を差し引いた土地購入代の残金を分割融資にて支払う。
    同時に住宅ローンの諸費用を金融機関に支払う

  7. ステップ7

    工事請負契約を結ぶ

    工事請負会社を決めて工事請負契約を結ぶ。
    このとき工事費用の一部を契約金として自己資金より支払う

  8. ステップ8

    着工金の支払い
    【分割融資2回目】

    工事着工金の支払いを分割融資にて支払う

  9. ステップ9

    住宅建築工事開始

    建築工事を開始

  10. ステップ10

    中間金の支払い
    【分割融資3回目】

    住宅の骨組みができたら上棟金(中間金)の支払いを分割融資にて行う

  11. ステップ11

    住宅完成/引き渡し&建物残金の支払い
    【分割融資4回目】

    住宅完成後、建物代の残金を分割融資にて支払う

  12. ステップ12

    不動産登記手続き

    所定の司法書士と登記手続きを行う

※分割融資は金融機関によって利用条件や手続きの流れが異なります。
実際に利用する際はご利用の金融機関にお尋ねください。

両親や祖父母からの贈与を受ける

融資を受けるのではなく、両親や祖父母などから贈与を受け、その資金を利用するという方法もあります。

110万円以上の贈与を受ける際には贈与税がかかりますが、実は住宅の新築や取得のために利用する資金であれば、500万円まで(※)贈与税が非課税になる制度があるのです

※省エネ等住宅の場合には1,000万円まで

出典:「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」(国税庁)

贈与税を非課税にするための要件と非課税限度額は下記のとおりです。

住宅取得等資金の贈与が非課税になるおもな要件

  • 両親や祖父母など、直系尊属からの贈与であること
    (配偶者の親からの贈与は対象外)
  • 配偶者や親族など、特別の関係がある人から住宅取得をしたものではないこと。
    またこれらの方との請負契約等により新築や増改築等をしたものではないこと

将来的に贈与の予定があるのなら、早めに親や祖父母と話し合って利用を検討してみましょう。

まとめ

住宅ローンのつなぎ融資は注文住宅が完成する前のまとまった費用を支払える、便利な融資です。

ただし無担保融資なので金利が高く、対応していない金融機関も多く存在します。

つなぎ融資を利用する際の注意点をまとめると、下記の通りです。

つなぎ融資の注意点

  • つなぎ融資は金利が高い
  • つなぎ融資の利用には事務手数料がかかる
  • つなぎ融資だけの利用はできない

いずれも重要なポイントなので、つなぎ融資を検討する際は必ずチェックしてくださいね。

また、天候が悪く工事が長引いたり、工事資金が追加で必要になったりといった事態も十分あり得ます。

つなぎ融資や分割融資を賢く活用しつつ、不測の事態に備えて自己資金を用意しておくことも大切です。

千日太郎

千日太郎 / オフィス千日合同会社 代表社員 公認会計士

【専門家の解説】

つなぎ融資は、住宅が完成するまでの短期間の借り入れであるという大前提があります。

住宅ローンよりも高金利である代わりに、早期に完済することを想定しているわけですね。

そのため、つなぎ融資の実行から住宅完成までの期間が長期間になりそうな場合は、つなぎ融資を利用するべきではなく、本文で解説している分割融資を取り扱う金融機関の利用を検討すべきでしょう。

また、つなぎ融資では当初予定の工期どおりに完成可能か、建築計画と実際の進捗を突き合わせてしっかりと把握することが重要です。

建築中に問題が発生した場合は追加融資が必要になる可能性があるため、追加融資の手続きや金利については、不動産会社の営業マンに任せきりにせず、自ら金融機関の担当者に事前に確認しておく必要があります。

さらに、つなぎ融資は原則として無担保融資ですが、その金融機関や審査の結果によっては抵当権設定や担保が必要となる場合もあります。

担保の設定には司法書士報酬が別途必要となり追加費用がかかりますので、事前に担保の要否についても金融機関に確認しておくことが重要です。

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