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会社の辞め方完全マニュアル!円満に辞める5つの手順を丁寧に解説

会社の辞め方完全マニュアル!円満に辞める5つの手順を丁寧に解説

最終更新日:

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もう会社辞めたいけど、何をすればいいのか全くわからない。
細かい手順も含めて辞め方をわかりやすく教えて欲しい!

こんな悩みを抱えていませんか?

会社を辞めたいと思っても、初めてだと何から手をつけたら良いのかわかりませんよね。

会社を辞めようと考えている人は、本記事でご紹介する「会社を辞める5つの手順」をご確認いただければ、退職までの全体像を把握できます。

具体的には、以下の流れで進めていけば大丈夫です。

【会社を辞める手順】

やる事時期
1退職プランを立てる3ヶ月〜半年前
2退職を切り出す1〜2ヶ月前
3 退職交渉1ヶ月半〜1ヶ月前
4退職願・退職届を出す1ヶ月前
5引き継ぎ・有給休暇の消化や挨拶1ヶ月前〜当日

この記事では、会社を円満に辞めるためのポイントも詳しく紹介しているので、退職時にトラブルにならないように、ぜひ事前にご確認ください。

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特定社会保険労務士・キャリアコンサルタント 岡 佳伸さん

社労士 岡さん

退職後すぐに転職する人は、社会保険や税金関係の切替手続きはほぼ必要ありません。
しかし、転職先が決まっていない人や転職までに期間を要する人は、社会保険や税金関係の手続きは原則、自身で行わなければいけません。
そのため退職前に準備できることはしておきましょう。

気になる内容をタップ

会社の辞め方【5つの手順別に解説】

法律では、会社に退職を申し出てから2週間経てば退職できることになっています。(参考元:民法627条|e-Gov法令検索

しかし、それは民法上のルールであり、会社に迷惑をかけないように退職するためには、計画的に退職手続きを進める必要があります。

会社を辞めるなら、2〜3ヶ月は余裕をもって計画を立てましょう。

会社を辞めるまでの手順は、以下の通りです。

会社を辞める手順

それぞれ、詳しく確認していきましょう。

【手順1】退職プランを立てる(3ヶ月〜半年前)

まずは、退職までのスケジュールを立てるために就業規則をチェックしましょう。

退職までのプランを立てておけば、気持ちに余裕を持って転職活動を進めることができます。

退職までの参考プランは、以下の通りです。

【退職までの参考プラン】

やる事時期備考
1退職プランを立てる3ヶ月〜半年前転職先探しを始める
2退職を切り出す1〜2ヶ月前まず直属の上司に伝える
3 退職交渉1ヶ月半〜1ヶ月前交渉後も2~3日に一度進捗を確認
4退職願・退職届を出す1ヶ月前円満退職を目指すなら「退職願」
5引き継ぎ・有給休暇の消化や挨拶1ヶ月前〜当日必要に応じて後任者も連れて挨拶

確実に退職するために、余裕を持って3ヶ月前には退職に向けて動き始めておきましょう。

退職前に転職先を決めておく

退職を切り出すと、会社側から引き止められる可能性があります。

引き止められてもブレない意志を持ち、円満退職するためには、退職前に転職先を決めておくことが大切です。

転職先が決まっていれば、前向きな理由で退職できる上、経済的・精神的にも安定できるでしょう。

「まだ転職先が決まっていない…」という方は、「doda」を利用してみてください。

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【手順2】退職を切り出す(1〜2ヶ月前)

退職予定日が決まったら、直属の上司に退職の意思を口頭で伝えましょう。

最適なタイミングは会社の就業規則によって異なりますが、目安は退職の1〜2ヶ月前です。

アポをとる相手は、直属の上司であることが重要です。

直属の上司以外に伝えると、「自分の部下の大事な話なのに、自分には報告がなかった」と直属の上司に疑問を抱かれてしまう可能性があります。

やむを得ず他の上司に伝えるケースもあると思いますが、その場合でも直属の上司へできる限りの配慮を行いましょう。

【手順3】退職交渉(1ヶ月半〜1ヶ月前)

退職交渉(1ヶ月半〜1ヶ月前)

直属の上司に退職を切り出した後、上司の上司や人事担当者も交えて退職交渉に入ります。

退職交渉とは、退職する意思を伝えてOKをもらうことです。

退職交渉では「君がいなくなったら困る」「後任が見つかる◯月まで待ってほしい」と言われて引き止めにあう可能性があります。

もしこのような言葉で引き止められても引き下がらず、以下の点に注意しましょう。

退職交渉時の注意点

  • 退職理由は説明しすぎない:変に説明しようとすると引き止められる恐れがあるから
  • 次の会社名は明かさない:次の会社が「引き抜き」をしたと思われて、辞めた会社からクレームが行く可能性があるから。最悪の場合内定取り消しも起こり得る
  • 退職日と最終出社日をはっきり伝える:いつまでに引き継ぎをするかなど。あなたも会社も今後の計画が立てやすくなるから
  • 口頭で伝えた内容はメールでも送付:「言った言わない」をなくすため。口約束はあてにせず、証拠を残す

次の会社(転職先)の予定が決まっているならそちらを優先するべきです。

ここで説得に負けて会社に残っても、「あの人は会社を辞めたがっている」と周りから見られて居づらくなります。

一度「辞める」と口に出したら、特別な理由が無い限り後に引き下がらないようにしましょう。

また、退職日を忘れられていたり、期間を勝手に引き延ばされたりすると、いつの間にか次の職場の入社日が近づいてきてしまいます。

そのため、交渉中は2〜3日に1度は状況を確認してみてください。

なお、退職交渉は1日で終わる訳では無く、直属の上司の次は上司の上司、更にはその上と続く場合もあるので認識しておきましょう。

※ 退職交渉は基本的には自分で行うべきですが、上司や同僚の顔も見たくない、簡単に辞めさせてもらえない、という場合には退職代行を利用する方法もあります。

退職代行については、本記事後半の「上司と話したくないなら退職代行サービスがおすすめ」にて解説しています。

【手順4】退職願・退職届を提出(1ヶ月前)

退職交渉が無事終了(退職の1ヶ月前が目安)したら、直属の上司に退職願を提出します。

この際、必ず就業規則を確認し、退職希望日の何ヶ月前までに提出しなければいけないかをチェックしておきましょう。

退職するときに上司に提出する書類には、「退職願」「退職届」「辞表」がありますが、それぞれ違いがあります。

【退職に関する書類の特徴】

特徴
退職願
  • 合意のもとに「会社を辞めさせて頂きたい」と願い出る書式
  • 会社に承諾されたら退職が決定する
退職届
  • 「会社を辞めます」と通告する書式
  • 提出後は最短2週間での退職が可能
  • いきなり提出するのはトラブルの元になる
辞表
  • 社長や取締役などが辞める意思を表明するための書式
  • 辞表の提出後、一般社員として勤務する場合もある
  • 一般社員の退職の場合は提出する必要なし

会社を退職したい場合は、まずは合意のもとに「退職願」を提出します。

退職願には、退職希望日を記載しましょう。

ただし、会社によっては、口頭で申し出るだけでもOK(退職願は不要)という場合もあるので、上司に確認してください。

退職が承認されたら、業務内容を考慮した上で上司と話し合い、正式な退職日を決めます。

そして、退職日の2週間前までに「退職届」を提出しましょう。

万が一、提出後に受理されなかった場合でも、提出から2週間経過すれば民法627条の定めにより退職することは可能です。

ただし、「退職届を出して2週間で辞める」というのはかなり強引な方法のため、最終手段として取っておきましょう。

備考:退職願・退職届の書き方

会社に退職願(届)を書くためのフォーマットが用意されているなら、フォーマットに沿って記入していけばOKです。

フォーマットが用意されていない場合は、白地の用紙(封筒も白地)に縦書きで以下の内容を記載します。

【退職願・退職届の書き方】

退職願退職届
書き出し私儀(わたくしぎ)
退職理由自己都合退職なら「一身上の都合」
  • 自己都合退職なら「一身上の都合」
  • 会社都合退職なら「具体的な退職理由(事業所閉鎖のため」「事業部門縮小のため」「早期退職のため」など)」
退職日退職希望日(西暦でも元号でもOK)上司と話し合って決めた日(西暦でも元号でもOK)
文末「お願い申し上げます」など願い出る内容「退職いたします」と事実報告の内容(退職確定後に出すから)
届出
年月日
提出する日付
所属部署
氏名
宛名より下の位置に所属と氏名を記入。名前の下に捺印
宛名最高責任者の役職と氏名(敬称は殿)自分の名前より上に書く

黒のボールペンか、万年筆で記入します。修正ペン・テープの使用は不可なので、間違えたら書き直してください。

万が一紛失した場合に備えて、退職願のコピーを取っておきましょう。

【手順5】引き継ぎ・有給休暇の消化や挨拶(1ヶ月前〜当日)

無事に退職することが決まれば、業務の引き継ぎと有給休暇の消化を行います。

引き継ぎのポイント

  • 後任者が決まっていて一緒に仕事ができるなら退職1〜2週間前から一緒に作業をしておくのがおすすめ
    引き継ぎ書だけでは、初めて作業する人にはわからないことが出てくる可能性があるため。
  • 社内・社外の関係者への挨拶には、必要に応じて後任者を連れて行く
    社外の場合は、自分が辞めた後も問題なく仕事が進むことを伝えて安心させる。時間が厳しい場合は、挨拶のメールを送る。

有給休暇を消化するのは、引き継ぎと挨拶回りが完了してからにしましょう。

有給休暇については、本記事後半で詳しく説明しています。

勤務最終日は早めに出勤して、以下のことを行いましょう。

最終日に行うこと

  • 机やロッカーの清掃
  • 忘れ物がないかチェック
  • 当日まで使用している会社の備品(携帯、パソコン、カードキー)などの返却

最終日は、社内でお世話になった方々に挨拶回りをします。

退職したとしても、またどこかで一緒に仕事をする可能性もあるので、良好な人間関係を保つためにもしっかり挨拶しましょう。

挨拶時には、お菓子など手土産を持参すると挨拶のきっかけを作りやすいです。

特定社会保険労務士・キャリアコンサルタント 岡 佳伸さん

社労士 岡さん

退職が決まった時点で、必ず有給休暇の残日数を確認しておきましょう。
労働基準法上付与される年次有給休暇は2年の時効があります。退職した後は当然取得できません。
年次有給休暇は辞める前に消化しておきましょう。
その際に、会社が有給休暇の取得を拒否する場合は労働基準監督署に相談することができます。

備考:引き継ぎ書の内容

引き継ぎ書には、以下の6つの内容を入れましょう。

引き継ぎ書の内容

  • 業務目的:業務の目的、意図
  • 作業手順:フローチャートなどを活用する
  • 作業期間:いつから行う作業か、締切の期日はいつかなど
  • 報告先・相談先:業務完了の報告先や相談先
  • 仕事に関わる関係者:部署・名前・連絡先まで書いておくと丁寧
  • トラブルの事例:トラブルへの対処法・注意のポイントなど経験から分かること

引き継ぎ書の作成を始めるタイミングは、あなたが退職を決意した時です。

退職前に慌てて作成し、後任者や会社に迷惑をかけることがないように、引き継ぎ書は時間をかけて内容をまとめておきましょう。

退職の交渉ができない状況なら退職代行サービスがおすすめ

「上司と話したくない」「辞めたいのに辞められない」というあなたには、退職代行サービスの「退職代行ガーディアン」がおすすめです。

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「もう職場には行きたくない…」「上司・同僚と顔を合わせたくない…」など、退職理由はどんな内容でも構いません。

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失敗しない!会社を辞める時に大事な4つのポイント

会社を辞めるための手順を紹介しましたが、手順通りに進めていく中で、つまずくポイントが出てくるかもしれません。

ここでは、多くの人が会社を辞める際に悩みがちな4つのポイントを解説します。

上記のポイントを押さえておくと、円満に会社を辞められるのはもちろん、受け取れるはずのお金を貰えずに損をすることも避けられます。

退職年月日

会社を辞める日(退職年月日)は、まずは「退職希望日」として自分で決めます。

この際に注意したいのが、退職年月日によって「退職金」「ボーナス」「保険料」の金額が変わる可能性があることです。

以下3つについて、詳しく解説していきます。

退職金

退職金については法律の定めがないため、会社の就業規則を確認しましょう。

多くの日本企業は在籍年数に応じた「年功型」の算出方法を採用していますが、その方法は在籍年数を基準としながらも退職理由や役職によって金額が変わってきます。

「あと何日か待てば金額が上がる」というケースもあるので、必ず確認してから退職年月日を決めましょう。

また、会社によっては退職金規定がないという場合もあるため、退職金が支給されるかどうかも併せて確認しておくことをおすすめします。

ボーナス

ボーナスに合わせて退職日を決めるなら、まずは会社の「ボーナス支給規定」で賞与算定期間・賞与支給時期を確認しましょう。

ボーナスを確実にもらって退職するためには、ボーナス支給後に退職願いを提出することをおすすめします。

社会保険料

社会保険の資格喪失日は、退職日の翌日です。

そのため、月末の前日までに退職する場合と、月末に退職する場合では、保険料の支払いが大きく変わります

ここでは、それぞれのメリットとデメリットをまとめました。

【退職の際の社会保険料】

メリットデメリット
月初~月末の前日に
退職する場合
退職した月の分の保険料は徴収されない保険を切り替える必要があるため、保険料を納めなくて良い月が発生する訳でははない
月末に退職する場合社会保険料を納めている期間が増えるため、その分老齢厚生年金と老齢基礎年金の両者を受給できる期間が増える退職した月の当月分の保険料も徴収されてしまう

(参考元:日本年金機構

月末退職の場合は社会保険料の支払期間が増えますが、そのぶん受給期間も増えるため、結果的にメリットのほうが多いです。

退職日の設定は、長期的な観点から判断した上で、慎重に行ってください。

会社内での手続き

退職手続きには、会社内での手続きと公的な手続きの2種類があります。

ここではまず、会社内での手続きで「受け取るもの」と「返却するもの」をリストアップしていきます。

退職時に会社から受け取るもの

会社から受け取るもののリストの一例と、その後に必要な行動は以下の通りです。

受け取るもの役割転職先が決定済みの場合転職先が未定の場合
離職票退職した事実を証明確認だけでOK失業保険(雇用保険の基本手当)を申請するために
ハローワークに提出
雇用保険
被保険者証
(預けていた場合)
雇用保険への加入を証明転職先に提出確認だけでOK
年金手帳
(預けていた場合)
厚生年金への加入を証明転職先に提出国民年金の加入手続きのために
居住区の市区町村役場に提出
源泉徴収票所得税の年末調整転職先に提出所得税の確定申告のために
居住区の税務署に提出

すぐに転職しない場合、自分で国民年金・国民健康保険に加入する必要があります。

退職に伴い社会保険の資格が失われたことを証明するために、以下の書類も忘れずにもらっておきましょう。

すぐに転職しない人のみ

  • 退職証明書
  • 健康保険・厚生年金被保険者資格喪失証明書

退職時に会社に返却するもの

退職時に会社に返却するもののリストは、以下の通りです。

  • 健康保険証(保険証)
    ⇒ 会社を通じて加入しているので、退職すると脱退。無効になる保険証は返却
  • 身分証明書(社員証、カードキー)
    ⇒ その会社の社員である証明書になるものは全て返却
  • 自分の名刺、取引先の名刺
    ⇒ 基本は全て返却。人脈作りのためにとっておきたい場合は、必ず会社に確認する
  • 書類やデータ
    ⇒ 業務機密を持ち帰ってしまう恐れがあるので、自分で作ったものも返却
  • 会社の費用で購入したもの
    ⇒ 社費で購入したものは会社の所有物なので持ち帰らない
  • 制服・作業着
    ⇒ 洗濯・クリーニングしてから返却

特定社会保険労務士・キャリアコンサルタント 岡 佳伸さん

社労士 岡さん

会社を辞める際、在職時に取得した情報は持ち出さないようにしましょう
例えば、営業上の秘密や資料、営業先の名刺であっても会社に在職したことにより得ることができたものですので、速やかに会社に返却してください。
もし不当に持ち出してしまった場合は、損害賠償等の民事上の責任が発生する以外にも、不正競争防止法等の刑事上の罰則を受けるおそれもありますので注意しましょう。

公的手続き(保険・年金・税金)

公的な手続きが必要になるのは、 退職してから転職活動を始める人です。

会社を退職すると健康保険や厚生年金保険の被保険者ではなくなるため、自分で加入手続きをする必要があります。

やるべきことは、以下の4つです。

失業保険(雇用保険の基本手当)の給付手続き

会社を辞めた人は、失業保険(雇用保険の基本手当)を受け取ることができるので、そのための手続きを忘れずに行ってください。

失業給付金を受け取るには、 以下の3つの条件を満たしている必要があります。

  • 失業状態である
  • 退職日以前の2年間に通算12ヶ月以上、雇用保険に加入している
  • ハローワークに求職の申し込みをしている

提出期間日・提出先・準備するものは以下の通りです。

失業保険(雇用保険の基本手当)の給付手続き
提出日離職票が交付されたら出来るだけ早めに
提出先居住区を管轄するハローワーク
準備するもの
  • 雇用保険被保険者証
  • 離職票1
  • 離職票2
  • 身分証明書(運転免許証、マイナンバーカードなど)
  • 印鑑
  • 写真2枚(直近3ヶ月以内、縦3cm×横2.5cm
  • 本人名義の普通預金通帳

失業保険(雇用保険の基本手当)の給付額は、退職理由(自己都合or会社都合)・退職前の6ヶ月の賃金によって異なります。

手続きの手順は、以下の通りです。

  • ハローワークに行き、求職申し込み&離職票の提出
  • 7日間待つ
  • 雇用保険受給説明会&失業認定日に出席
  • 1週間程度で初給付される(自己都合の場合は原則2ヶ月間の給付制限期間経過後)
  • 以降4週間に1度、書類申請&面談。その後1週間程度で給付

健康保険の変更手続き

退職後の健康保険は、以下の3つの中から1つ選びます(いずれも医療の一部費負担金は3割)。

  • それまで加入していた健康保険の任意継続被保険者制度を利用
    退職後も在職中と同じ健康保険の被保険者資格を継続できる制度。退職前の被保険者期間が2ヶ月以上あれば最長2年利用可能です。
  • 国民健康保険に加入
    市区町村が保険者となる健康保険。保険料は前の所得、世帯資産、家族人数などをもとに決定されます。算出方法は自治体によって異なるので、所得が同じでも住んでいる市区町村によって支払い保険料が異なります。
  • 家族の扶養に入る
    あなたの年収が130万円未満の場合、家族が健康保険の被保険者になっている&あなたの年収の倍以上であれば、要件を満たすことで家族の被扶養者になれる可能性があります。家族の健康保険の保険者(健康保険組合or全国健康協会)に問い合わせをすることで確認できます。

それぞれ提出期間日・提出先(場所)・準備するものが異なるので注意してください。

手続き選択肢提出日提出先・場所準備するもの
健康保険の変更手続きそれまで加入していた健康保険の任意継続被保険者制度を利用退職してから20日以内退職前に加入していた健康保険組合、または全国健康保険協会(退職後の住所地を管轄する支部)
  • 健康保険任意継続被保険者資格取得申出書
  • 住民票
  • 1ヶ月分の保険料
  • 印鑑
国民健康保険に加入退職してから14日以内居住地の市区町村役所の健康保険窓口
  • 健康保険資格喪失証明書
  • 各市町村で定められた届出書
  • 身分証明書(運転免許証・マイナンバーカードなど)
  • 印鑑
家族の扶養に入るできるだけ早く家族の勤務先
  • 世帯全員の住民票(被保険者と別姓の場合)
  • 源泉徴収票
  • 退職証明書or離職票のコピー
  • 失業保険(雇用保険の基本手当)や年金を受給している場合は、受領金額がわかるもののコピー

年金の種類別変更手続き

20〜60歳までの国民は、国民年金の被保険者になります。

在職中は自動的に天引きされていましたが、失業中は国民年金に加入して支払う必要があります。

第2号被保険者(会社在職中)→第1号or第3号被保険者に変更

  • 第1号被保険者:条件は特になし
  • 第3号被保険者:条件あり
    ・配偶者が第2号被保険者である
    ・退職者の収入が年収130万円未満(60歳以上や一定の障害者は180万円未満)である

変更するための提出期間・提出先(場所)・準備するものは以下の通りです。

手続き提出日提出先・場所準備するもの
第1号被保険者に変更退職から14日以内居住地の市町村役場
  • 年金手帳
  • 離職票or退職証明書
  • 身分証明書(運転免許証、マイナンバーカードなど)
  • 印鑑
第3号被保険者に変更できるだけ早く家族の勤務先
  • 国民年金第3号被保険者該当届
  • 世帯全員の住民票(被保険者と別姓の場合)
  • 源泉徴収票
  • 退職証明書or離職票のコピー
  • 失業保険(雇用保険の基本手当)や年金を受給している場合は、受領金額がわかるもののコピー

税金(住民税・所得税)の支払い手続き

税金支払いの手続きには、住民税と所得税のそれぞれの手続きが必要です。

まずは住民税について確認していきます。

■住民税

住民税は「1〜12月までの1年間の所得に対して課された税額」を「翌年の6月〜翌々年5月」までに後払いで納める仕組みです。

在職中は給与から天引きされていますが、退職後は支払い区切りである5月までの残額を自分で納める必要があります。

住民税の納税方法は、退職する月によって以下のように異なります。

退職月住民税支払い方法
6~12月前年の所得に対して課された税額のうち、翌年5月までに納める残額を退職時に一括払いするか分割払いするか選んで退職する会社に伝える
  • 一括:最終月の給与、退職金から住民税の納税額を天引きするかなどを会社と相談
  • 分割:後日役所から送付される納税通知書に従って自分で支払う
1~5月前々年の所得に対して課された住民税の税額のうち、5月までに納めるべき残額を退職時に一括払い
  • 6月1日付で再就職している場合:前年分の住民税は転職先企業での給与から天引きされる
  • それ以外の場合:役所から送られてくる納税通知書にしたがって自分で納税
■所得税

所得税はあらかじめ1年の総収入を想定して、それを月割りして源泉徴収されています。

そのため、退職後に1ヶ月以上給与をもらっていない失業期間がある場合、所得税を多く納めていることになります。

余分に支払った所得税は返してもらえますが、その手続きは年内に再就職したかどうかで異なります。

再就職所得税の支払い方法準備するもの
1年以内に再就職した再就職先の会社で年末調整・生命保険・医療費などの各種控除証明書
・以前の会社の源泉徴収票を提出
2年以内に再就職できなかった翌年の確定申告の時期に居住地管轄の税務署で確定申告・確定申告書
・前の会社の源泉徴収票
・生命保険・医療費などの各種控除証明書
・印鑑
12月に再就職が決まったが年末調整に間に合わなかった

退職の理由

退職理由は以下のような 「前向きな理由」「会社の力では覆せない理由」にすると引き止められにくくなります。

前向きな理由

  • 業務の中で興味を持った分野に特化し、より専門性を高めたい
  • これまでの経験を生かし、新しい環境で自分の力を試したい
  • 学生の頃からの夢だった海外留学を実現したい
  • 個人開業する決意を固めた

会社の力では覆せない理由

  • 親の介護に専念しないといけなくなった
  • 結婚が決まり、相手の転勤先についていくことになった
  • 家業を継ぐことになった
  • 健康状態が悪化して、静養が必要になった

逆に、給料が低い・職場の雰囲気が合わないなど、会社の力でどうにかできる退職理由にしてしまうと、「賃金アップ」や「部署移動」などの条件をつけて引き止められる可能性が高いので注意しましょう。

円満退職をスムーズに進めるなら、転職先は早めに決めておこう

先ほど「退職の理由」でもお伝えしましたが、次の仕事が決まっていれば、円満退職しやすくなります。

会社側はあなたの内定を辞退させてまで、退職を引き止めることはできません。

また、前向きな理由で退職する場合、人間関係を悪化させたり、業界内で悪いうわさを立てられたりする心配もありません。

後ろめたさを残すことなく、真っすぐな気持ちで退職できるので、転職先を予め決めておくことはとても大切です。

ただ、仕事が忙しい上に、退職手続きで時間と気持ちに余裕がない状態で転職活動を進めるのは困難です。

そこで、限られた時間の中で納得のいく転職先を探すために、転職エージェントを活用しましょう。

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早めに求人だけでも確認しておき、転職を有利に進める準備をしておきましょう。

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会社を辞めるときに知っておきたい法律とトラブル対処法

あなたが「会社を辞めたい」と言っても、会社がそれを快く思わないこともあります。

その場合、以下のようなトラブルが起こる可能性があります。

ここからは、以上のトラブルがおきた時にどう対処すればいいのか、詳しく解説していきます。

特定社会保険労務士・キャリアコンサルタント 岡 佳伸さん

社労士 岡さん

退職時のトラブル相談先として、労働局の総合労働相談コーナーがあります。
労働局長の助言、指導等により会社を指導してくれたり、当事者間の話し合いが円滑に進むように「あっせん」という、中立公正な第三者のあっせん委員を交えた話し合いの場も提供してくれます。
他にも、地方公共団体の労働相談窓口や労働組合、さらに弁護士会や社会保険労務士会も相談できる場所を設けています。

会社が退職を認めてくれない

会社側が一方的に「退職は認めない!」と言う場合は、行政機関に助けを求める方法があります。

  • 労働基準監督署(行政)
    会社を指導。困ったら最初に相談
  • 労働局(行政)
    会社を指導、専門家の仲介で労働者と会社が話し合う場を提供(斡旋)
  • 裁判所(司法)
    最終手段

最初に相談すべきは①の「労働基準監督署」です。

あなたの会社を管轄している労働基準監督署に「退職の意思表示をしたけれど、認めてもらえない」ことを話せば会社を指導してくれます。

大抵はここで折り合いがつきますが、それでも効果がない場合は②の「労働局(労働基準監督署の上部機関)」に相談しましょう。

労働局は会社を指導するだけではなく、斡旋(あっせん)という「専門家の仲介によって労働者と会社が話し合って問題解決を図る場所」を提供してくれます。

労働基準監督署や労働局ですら効果がない場合は、最終手段として裁判所の判断を仰ぐこととなります。

なお、今すぐに辞めたいけれど辞められない…と悩んでいる場合は、退職代行サービスを使うのも一つの方法です。

会社の都合で退職日を決められてしまう

法律では、期間の定めのない労働契約の場合、申し出から2週間後に退職できると定められています。(参考元:民法627条|e-Gov法令検索

一方、会社のルールである就業規則は「退職を希望する日の1〜2ヶ月以上前に申し出ること」と定められているケースが多いです。

つまり、法律よりも就業規則の方が厳しいルールになっているケースが多いです。

しかし、法律は就業規則よりも強いので、退職日をいつまでも引き延ばされる場合は「法律に基づき、労働者側の意思表示のみで合法的に雇用関係を終了させる」ことができます。

有給休暇の消化を認めてくれない

この場合は、 就業規則の「年次有給休暇の付与日数」を定めた部分を確認してください。

有給休暇を消化して退職したい場合は、以下のようにすると円満退職しやすいです。

  • 就業規則で有給休暇が何日あるかを確認
  • 引き継ぎと有給休暇が両立できるタイミングで退職日を申し出る

たとえば、2月いっぱいまでに引き継ぎを済ませて、3月は有給休暇して3月31日付で退職するスケジュールを1月時点で申し出ておくということです。

就業規則に有給休暇のルールについて書かれていない場合でも、法律に定められた日数(入社後6ヶ月間以上勤務&全労働日の8割以上の出勤→10日の年休が義務)は休む権利が発生します。

もしあなたが会社を辞める時に会社が「就業規則に書いていないから有給休暇は与えない」と言ったとしたら、それは違法行為です。

認めてもらえない場合は、 社内の相談窓口や労働組合に相談してみましょう。

社内で相談しづらいなら、労働基準監督署に相談するという手段もあります。

有休の買取はNG!?

引き継ぎなどに時間を取られ、有給休暇を使い切ることができなかった場合、会社に買い取ってもらうことはできるのでしょうか?

原則、会社が法定の有給休暇を買い上げることは認められておらず、基本的には会社は法律に定められた有給休暇を社員に与えなければなりません。

ただし、会社によっては買取制度を設けている場合もあるので、就業規則を確認してください。

就業規則に記載が無ければ、一度上司に相談してみましょう。

退職金制度が適用されない

まず、退職金規定(就業規則とは別冊になっている会社もあり)をチェックします。

退職金規定に基づいて自分で退職金額を試算して、金額に間違いがないかどうか、人事担当者などにあらかじめ確認しておきましょう。

退職金規定がない場合でも、これまで辞めた人に退職金が支払われているケースがあれば、法的には自分も同じ条件で退職金を受け取ることが可能です。

辞めると言ったら損害賠償を請求された

「辞めるなら損害賠償を払え!」と言われてしまったと言うケースもあります。

しかし、社員が退職を希望した際に、会社の都合で損害賠償や違約金を求めるのは法律上禁止されています。

仮に請求されたとしても、相当減額されるため多額になるケースはほとんどありません。

また、 もし請求されてしまっても2週間〜1ヶ月を目処に退職届を「配達証明付き内容証明郵便書」で送り、引き継ぎ作業を行えば問題なく退職できます。

電話を使った会社の辞め方

最後に、電話を使った会社の辞め方について解説します。

どうしても上司に直接会って会社を辞めることを伝えるのが難しい際は、これから紹介する内容が参考になるはずです。

特定社会保険労務士・キャリアコンサルタント 岡 佳伸さん

社労士 岡さん

電話などで会社側と直接コミュニケーションを取ることに恐怖感を覚える方も多いと思います。
その場合は郵送等でやり取りをしたり、弁護士などの代理人を立てたりすることも有効な手段です。
また、どうしても顔を合わせたくない場合は、労働局のあっせん等のADR(裁判外紛争解決手続)や裁判所の民事調停などにより、会社側の人と直接顔を合わせることなく、あっせん委員や調停委員等の第三者が話を進めてくれます。

直接会って伝えるのが社会人の常識

「直属の上司にアポを取って、退職の意思を申し出る」のが一般的な辞め方です。

法律で決められているわけではありませんが、慣習的にこれが一般常識になっています。

退職願や退職届などの書類提出や、社内の備品を返却する必要もあります。

また、挨拶や引き継ぎをスムーズに行うために、後任者に業務の引き継ぎも行っておきましょう。

これらを考えると、電話ではなく直接会社に行って伝えた方が円満退職に繋がることは間違いありません。

どうしても無理なら電話で伝える

以下のような場合は、電話で伝えてもOKです。

  • 体調不良(精神的、肉体的)
  • 身内の介護、看護(付きっきりでいなければいけない)
  • 会社がブラック企業で行くとストレスになる(精神的に病んでいる場合)

会社が電話での退職を認めざるを得ない状況なら、出社せずに電話連絡で伝えても問題ありません。

電話で退職を切り出す時の注意点

電話で退職を切り出す時は、以下の2点に注意してください

  • 退職の意思をはっきり伝える
  • 電話で伝えることをお詫びする

退職の意思をはっきり伝える

曖昧な言い方になってしまうと、無断欠勤扱いにされてしまう可能性があるので、上司や人事担当者に電話をかけて、はっきり退職の意思を伝えましょう。

退職理由は、基本的には以下の例文のように「一身上の都合」で構いません。

<例>

(部署名)の(名前)です。お忙しいところ恐縮ですが、一身上の都合で本日をもって退職させていただきます。

本来なら出社してお伝えすべきところを、お電話でのご連絡となり申し訳ございません。

必要な書類につきましては、改めて早急にお送りさせていただきます。 

急なご連絡となり誠に申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

電話で伝えることをお詫びする

どんな理由であっても、会社側からすると電話で退職するのは失礼な態度に見えます。

以下の例文のように、 きちんと現状を説明して、電話で退職を伝えることをお詫びしましょう。

<例>

本来なら直接お伺いして退職を伝えなければならないのに、体調不良のためお電話でお伝えすることになってしまい申し訳ありません。

会社に送付するもの

電話で退職の意思を伝えたら、 書類や返却物は、郵送や後日持参するなどして手続きを行います。

会社に送付するものは、以下の通りです。

  • 退職届(作成日は電話で退職の意思を伝えた日)
  • 健康保険証
  • 身分証明書・IDカード・カードキー
  • 名刺
  • 会社の備品(制服、文具、携帯電話など)
  • 経費の精算(会社に連絡して手続きしてもらう)

会社から送付してもらうもの

自分から会社に送るものとは別に、会社から自分に送ってもらうものもあります。

まとめて送ってもらえることも多いですが、それぞれの書類の担当者が違う場合は別々に送られてくることもあります。

会社から送付してもらう書類は、以下の通りです。

  • 健康保険被保険者資格喪失証明書
  • 厚生年金基金加入証明書
  • 源泉徴収票
  • 退職証明書
  • 年金手帳(会社に預けていた場合のみ)
  • 離職票(退職してから10日前後で渡される)

まとめ

会社の辞め方は、以下の手順で進めましょう。

【会社を辞める手順】

やる事時期
1退職プランを立てる3ヶ月〜半年前
2退職を切り出す1〜2ヶ月前
3 退職交渉1ヶ月半〜1ヶ月前
4退職願・退職届を出す1ヶ月前
5引き継ぎ・有給休暇の消化や挨拶1ヶ月前〜当日

円満退職を目指すなら、退職までのプランをしっかり立てて、会社に迷惑をかけないことが重要です。

後任への引き継ぎやお世話になった上司や同僚への挨拶など、最後まで自分の仕事に責任を持ちましょう。

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