コラム

2021/05/19

【社員インタビュー】ユーザー心理・行動に徹底的に向き合い「引越し侍」を改善。行動分析ツール「USERGRAM」を駆使して1UPのユーザー志向の実現を目指す

【社員インタビュー】ユーザー心理・行動に徹底的に向き合い「引越し侍」を改善。行動分析ツール「USERGRAM」を駆使して1UPのユーザー志向の実現を目指す

「お客様志向」。あらゆるビジネスにおいて重視されており、みなさんもよく耳にする言葉だと思います。今回のインタビューは、ユーザー志向による様々な施策で「引越し侍」の改善を続けるデザイン開発部で部長を務めるS.N.さん。ユーザー志向の重要性と、それを体現した数々の取り組みについてお話を聞きました。

エイチーム引越し侍 デザイン開発部 部長 S.N.さん

2014年にエイチームへ新卒で入社して以来、引越し比較・予約サイト「引越し侍」のエンジニアとして、営業、マーケティング、コールセンターなど様々な部署で開発業務を担当する。2018年、サイトの改善を担うデザイン開発部のマネージャーに就任。2020年、同部長へ昇格。現在は、部署を統率しながらメンバーと共にサイトの改善を行っている。

デザイン開発部で成し遂げたいこと

エンジニアからサイト改善を担う立場にジョブチェンジ

入社してから4年間は、エンジニアとして「引越し侍」のサイト改善などの開発を行っていました。開発の仕事をしながら、次第にサイトの改善に興味を持つようになったんです。仕事内容も少しずつサイト改善へとシフトしていったころ、新たな部署としてデザイン開発部が立ち上がり、そのマネージャーを任されることになりました。

それを機に、サービスの開発ではなく、部門のマネジメントとサイトの改善が自分のメイン業務に変わりました。2020年に部長になってから経営にも携わるようになりましたが、引き続きサイトの改善も行っています。

デザイン開発部のミッション

デザイン開発部はデザイナー、フロントエンドエンジニア、ディレクターなど計20名で構成されています。部署のミッションは大きく分けて2つ。
1つは、サイトのデザイン・制作をすること。もう1つは、サイトのパフォーマンスを上げる=CVRを上げること。CVR改善のために、月間で約40の施策を回しています。最近は施策を生み出す業務は主にメンバーに引き継いでいますが、日々サイトの状況をウォッチし、メンバーとコミュニケーションを取りながら改善を推進しています。

「引越し侍」に感じた伸びしろ

サイトのパフォーマンスを上げるために「ユーザー志向」を大切にしています。そう考えるようになったのは、サイト改善について突きつめて考えていく中で、「引越し侍」には伸びしろがあると感じました。マーケティングやプロモーションについては、会社として確かなノウハウを培ってきたと自負しています。今後もそれを活かすことで、安定的にサービスを継続していけるでしょう。

しかし、ある考え方を導入すれば、「引越し侍」はもっと成長できると考えました。それが、「ユーザー志向」です。この領域については、改善の余地があるかもしれないと感じたんです。

部長としての自身の役割

ユーザーの行動や心理をサイト改善の仮説立てに取り込んでいく。そうした事例を積み重ねて、社内に発信していくことが自分の役割だと考えています。着眼点や発想はどうであれ、どんな施策であっても最終的にビジネスとして成果に結びつくのかもしれません。

そんな中でも「ユーザー体験に着目したからこそ成果をあげた」という事例をつくっていきたい。成功事例と、その理由としてのユーザー志向。セットで実績を重ねていくことで多くの社員がその価値に気づき、同じような発想を持てるようにしたいんです。「引越し侍」にはまだ伸びしろがある。みんながユーザー志向を持てるようになれば、サービスをさらに成長させられると思っています。

ユーザー志向によるサイト改善の実践

デザイナーが持っている強み

幸い、デザイン開発部のデザイナーたちは、部署の発足時からユーザー志向を持っていました。「サイトの見た目を作る」という作業の中で、デザイナーは日々ユーザーと正面から向き合っていて、それゆえにサイト改善の方向性やサービスのあり方に違和感を持つメンバーも少なくなかった。

でも、それをビジネスとして活かす提案ができずにいる人もいました。まずは自分が理解をしたり勉強したりしつつ、デザイナーにはユーザー志向を存分に発揮してもらおうと考えました。

ユーザー行動が把握できるツールを導入

一人ひとりのユーザー行動を観察できるツール「USERGRAM(ユーザグラム)」の導入も、ユーザー志向の体現を大きく後押ししました。導入前は、「平均」や「合計」といった統計データを参考にしたユーザー分析がほぼ全てでした。でも、それではユーザー行動の理解を深めることが難しい。

例えば、あるページの平均滞在時間が60秒だったとします。その場合、60秒にピークがあり、それがユーザーの平均的な行動であると無意識に想定してしまいがちです。しかし、ツールでユーザー行動を見に行くとそんなことはない。実際は10秒以内に1つのヤマがあり、すぐに離脱する人が一定数いることがわかりました。

一方で、3~4分滞在している人もいたんです。60秒はあくまでも平均の数値であり、ユーザーの平均的な行動ではない。統計データを見るだけではこうしたことに気づけません。ツールを導入してから、施策の内容がユーザー行動に着目したものに変わっていきました。

ツールの導入により生じた変化

以前は、たまたま見えている統計データに判断基準が偏っていたように思います。その場合、ユーザー行動は分析者の発想に偏った仮説、ストーリーとして理解されてしまいます。しかし、一人ひとりの行動を見ていくと統計データだけでは見えないことも見えてきます。誰もが、まっすぐ申し込み完了ページへ遷移するわけではない。前のページに戻ってからCVするケースもある。あるいは違うページに移ったり、検索エンジンに戻ることもあるし、その日は1ページ目で離脱したけど翌日にそれ以降のページを閲覧するような人もいる。

そうやって見ていくと「この人は競合のサイトも見ていくかもしれない」といった想定も浮かんできますし、当然、打つべき施策も変わってきます。

ユーザー志向がもたらした大きな改善

実はリリースして4年ほど、サイト内に不便な点があることに気づけなかったんです。それはトップページから申し込み完了ページへの遷移に関すること。

申し込み完了後に内容確認ページへ遷移して、また序盤ページに戻って数ページを経由した後にようやく申し込みを完了する。そのような回遊行動をしているユーザーが全体の20%もいたんです。ユーザー行動に着目するようになってその事実がわかり、サイトの改善につながりました。

メンバーによくこんなたとえ話をします。「リアルな店舗はユーザーの不便に気づきやすい。例えば、最近はコンビニに無人レジが導入されるようになった。使い方に戸惑う人がいたらコンビニの店員はおそらく気づける。なぜならば、一人ひとりのユーザー行動が見えているから」。Webの世界でも同じだと思うんです。良いサービスを提供するためには、一人ひとりのユーザー行動を把握することが必要だと思います。

より一歩先のユーザー志向へ

ユーザー志向が少しずつ社内に浸透

ユーザー志向の大切さを実感してからは、日々、サイト改善の際にユーザー志向の発想を取り入れるようにしています。ユーザー行動をつぶさに見て、どこに不便を感じているかを分析し、その上で施策を打つ。どれだけ改善できたかを振り返ったときに、一人ひとりのユーザー行動まで見に行ったときの施策が良い結果を示すようになってきました。

最近は、社内にもユーザー志向がある程度浸透してきたように感じます。実績の積み重ねに加えて、自分が部長になり、ユーザー志向の重要性について経営陣や他部署に発信をする機会が増えたことも要因の一つだと思います。部内でユーザー行動の分析に使う時間を設けられるようにもなりました。

お客様満足度が一番高い状態

順調に進んでいると思う一方で、まだまだ課題もあると感じています。例えば、そのサービスを他人に薦めたいかどうかを示す指標であるNPS®(ネットプロモータースコア)。個人的に「引越し侍」は決して高くないと思っています。引越し作業自体が好きという人はあまり多くないと思いますし、引越し業者を見つけたり手続きしたり・・・という行動もさほど楽しいものではありません。

それでも、『引越し侍』に便利さを感じて、自然に使ってしまう。そして、人に薦めたくなる。そんな状態を目指したい。それが、最もお客様満足度が高い状態だと思います。最高の満足度を目指すために、普段から世の中のあらゆるサービスにアンテナを張って、人がどんなものを便利に感じて、どんなものに感動して、どんなものなら人に薦めたくなるのかを探るようにしています。

引越しをする人のユーザー体験を理解

「引越し侍」は引越し業者への見積もり依頼をサービスとして提供しています。しかし、ユーザー目線に立って考えると、業者の見積もり以外にも様々な準備をしていることがわかります。

転出・転入届から、運転免許やパスポート、母子手帳などの変更、お子さんの学校の転校手続から引越し作業員へのお礼の仕方や引越し蕎麦の用意にいたるまで多岐にわたります。引越しは多くの検索行動が伴うと言えます。

つまり、たくさん調べ物をする中で頻繁にサイトに訪れてくれるユーザーの方もいるわけです。その方々のユーザー体験を理解して、適切なタイミングでサービスを提供する。それもまた、便利さを感じて人に薦めていただける要因になると思います。

ユーザー志向を意識したコミュニケーション

一本のホームランよりヒットを打ち続けられる体制

メンバーに対しては、ユーザー志向を意識づけるようなコミュニケーションを実践しています。月間で40もの施策を回し続ける中で、「本当にユーザーはそう行動する?」「あなたの主観に片寄っていない?」「ツールでユーザー行動を見た?」と問いかけるようにしています。

また、サイトのパフォーマンスは、思っている以上に水物です。ユーザーが求めていることも刺さる言葉も、めまぐるしく変わっていきます。だからこそ、多くの施策を回して最適化をし続ける必要があります。仮に施策が大きく当たったとしても一本限りのホームランではいけません。それはたまたま勘が当たっただけかもしれない。安定的にヒットを打ち続ける。つまり、しっかりとユーザー行動を分析し、根拠を持って施策を打ち、成果をあげ続ける。それができる体制にしたいと考えています。

様々なシーンで活用できるユーザー志向

ところでユーザー志向は、社内でのコミュニケーションにも役立つと感じています。例えば、企画をプレゼンするときや他部署の人に自分の考えを伝えたいときにユーザー志向を活かすことができます。

あるいは、社内のいろいろな部署で言い分が異なるようなとき。どれも間違った意見ではなく部署ごとに正義があるとも言えるのですが、どうしても衝突してしまうことがあります。

そんなとき「マーケティングや営業の人はなぜそう主張するのか」を深掘りして考え、気持ちを汲んだ上でコミュニケーションを取る。このノウハウは、ユーザー行動・心理を分析して最適な施策を打つことと同じです。ユーザー志向は様々なシーンで活用できるお得なものだと思います。

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