コラム

2022/07/20

【社員インタビュー】新卒入社3年目で「ラルーン」の事業責任者に。その緻密な事業戦略のプロセスを紐解く。

【社員インタビュー】新卒入社3年目で「ラルーン」の事業責任者に。その緻密な事業戦略のプロセスを紐解く。

エイチームのサービスはどのように企画されるのか。そこには、入念な調査や分析をもとにした緻密かつ論理的な戦略があります。今回は、女性向け生理日予測・体調管理アプリ「ラルーン」の事業責任者に新卒入社3年目にして抜擢されたK.C.さんにお話を聞きました。次々と改善施策を打ち出すK.C.さんの思考のプロセスに迫ります。

エイチームウェルネス ラルーン事業部 事業責任者 K.C.さん

2019年、新卒でエイチームに入社する。金融メディア事業のプロモーション担当を経て、ブライダル事業の事業企画担当としてパートナー企業との折衝・交渉、広報、予算管理などに携わる。2021年1月に『ラルーン』の事業責任者の社内公募に応募。事業企画案が採用されて2021年5月より事業責任者となる。現在も事業責任者としてサービスの成長を牽引している。

事業企画立案へ向けた取り組み

事業責任者の公募に立候補!審査会に向けて

入社当初から「事業を成長させたい、そんなポジションで仕事がしたい」と思っていたんです。そんな折、「ラルーン」の事業責任者が社内公募されたんです。「チャンスがきた!」と迷わずに手を挙げました。

審査会までの約2ヵ月。企画立案へ向けての取り組みが始まりました。まずはヘルスケアのプロダクトやサービスを調査することからスタート。綿密に調べて分析をしていくと、事業が大きくスケールしそうなプランは5つくらいのパターンがありそうだと考えました。

それをベースに叩き上げた企画を、取締役や執行役員などの経営陣、部長など、経営のスペシャリストたちに片っ端からぶつけていったんです。「どう思います?」と問いかけて、皆さんから意見やアドバイスをもらいました。30分くらいブレストするようなこともありましたが、優しい方ばかりで足を止めて私の話を聞いてくれました。皆さんの意見を参考に企画をブラッシュアップ。また、自分が考えていたことに皆さんが賛同してくださり自信を持つこともできました。

当時の「ラルーン」が抱えていた課題

2010年7月にサービスを開始した「ラルーン」は累計利用者数830万人を突破し、これまで多くの女性の悩みに寄り添ってきました。

多くのユーザーにご利用いただいている一方で、過去に生理日管理アプリなどのツール系アプリで王道とされてきた広告収益をメインとするマネタイズには課題がありました。

これからも安定的にサービスを提供し続けるためにも、利用者数の拡大を行っていかなくてはいけませんでした。そのためには積極的なプロモーション活動が必要となりますが、そのプロモーションを行うためにも利益体質化を図っていかなくてはいけません。

さらに、「ラルーン」をフェムテック業界の中でさらにもう一段階引き上げていきたいと考えていました。そのため「ラルーン」には、ラルーン利用者とラルーン利用者と接点を持ちたい企業をシームレスにつなぎ、その「つなぐ」仕組みが「三方よし」を実現しつつも、収益をあげるマネタイズが必要でした。

それらの観点から、従来の広告配信に依存したマネタイズから脱却し、新たなマネタイズの検討をはじめました。

フェムテック市場の動向から導き出した市場のニーズ

市場の動向にも目を向けました。今、フェムテックに関心が高まっており、様々な企業がフェムテック市場に参入し始めていて、投資家によるフェムテックの企業への投資も活発になるなど市場にどんどんお金が集まっています。

それに対して、市場規模の伸びがそこまで爆発的ではなく、マクロの視点で見ると昨対比は微増といったところ。「これは、いつか跳ねるだろう」と思っていました。

また、売上が跳ねていないのは、企業がその市場に集まった資金を研究開発費に充てており、これからどんどんプロモーション活動が活発になっていくだろうという仮説がありました。調査を繰り返す中で、プロモーションを積極的に行っている企業においても、商品の機能よりも、その背景にある社会貢献性などをアピールしている傾向が見えたんです。

確かにエシカル消費ともいわれる消費者の行動はありますが、消費者はもっと「サービスの利用を通して得られる体験、実際に使える機能」を知りたいはず。つまり、多くの企業はフェムテック市場が新興市場であるがゆえに、消費者のインサイトをきちんととらえられていないのだろう、と考えました。そうした仮説をもとに、消費者と直接つながれる、消費者の生の声が聞けるサービスがあれば、女性のお客様をターゲットとする企業からの利用が見込めるのではと考えたんです。

内部環境・外部環境の現状とアセットを掛け合わせる

累計利用者数830万人の実績を誇る「ラルーン」の「データ基盤」というアセット、フェムテック市場の成長規模とニーズ、これらを掛け合わせて企画を練り上げていきました。

「ラルーン」は、女性ユーザーの体調に関する膨大なデータを保有しています。たとえば、生理日の入力だけでもその累計回数は膨大なデータ量になります。その他、体重やお子様の年齢や誕生日などデータの項目も多岐にわたります。

こうしたデータは他社では保有していない価値あるもの。このデータをビッグデータとして活用したビジネスモデルが考案できないか、検討を進めていきました。

「ラルーンリサーチ」の企画はこうして生まれた

こうした検討のもと、ビジネスモデルにマーケティングリサーチの観点を導入しました(後に『ラルーンリサーチ』として正式にリリース)。

具体的に言うと、例えば女性のお客様をターゲットとする企業から「○○という商品の認知度を計測したい」とのオーダーをいただく。それに関するアンケートをラルーンユーザーに実施し、回答データを企業にお渡しする。まず、データの収集・分析という点で、マーケティングリサーチ自体で収益が得られます。また、「ラルーン」としてもアンケートのデータが蓄積されます。そのデータを活用してラルーン利用者に適切なコンテンツを出し分けることが可能です。

【発表資料】フェムテックアプリとしては日本初!完全セルフ型のマーケティングリサーチSaaSサービス『ラルーンリサーチ』を生理日・排卵日予測アプリ『ラルーン』がリリース!

多様なソリューションを駆使してビジネスの種を育てる

ミッションは事業のジャンプアップ

2021年3月の審査会で事業企画案が評価され、同年5月から「ラルーン」の事業責任者を任されています。具体的な業務は、メンバーのマネジメント、協業を行うパートナー企業との折衝、事業計画の作成など。

「ラルーン」はサービス開始から10年以上が経過しました。フェムテックアプリとして確かなブランド力を構築しており、多くの女性に利用いただいています。ただ、プラットフォームとして安定的に成長してきたものの、世の中の大半の女性に認知されるような飛躍的に成長を遂げるようなことはありませんでした。

今、自分に求められているのは、新たな事業責任者として事業をジャンプアップさせることだと思っています。そのために、毎日のように事業計画を練りながらジャンプアップに至る種を探しては注力する、上手くいかなければ別の種にトライする、といったことを繰り返しています。

パートナー企業とも協業してユーザーの課題を解決

この1年で、有料会員の料金プランの見直し、新機能の実装、「ラルーンリサーチ」のローンチ、パートナー企業との協業強化、人員構成の再編などを行ってきました。

「ラルーンリサーチ」は今年の3月にリリースしたばかりですが、既に利用企業様は数十社を超えています。パートナーとの協業強化では、ブライダル事業での経験が活きています。

私がブライダル事業を担当していたのは、新型コロナウイルスの影響でサービスが伸び悩んでいた時期。どうやったら収益を上げられるか?という厳しい状況の中「結婚式を挙げられない理由」についてシンプルに考えてみました。

私が思い至ったのは「結婚式を挙げたい。日取りを決めたい。でも、コロナの影響で予定した日に式を挙げられない不安がある。だから日取りが決められない」という心理。挙式が延期になっても延期になった分の費用を支払う必要がなければ不安を解消できるのでは?と考え、外部の保険会社に協力いただき「『ハナユメ』で結婚式を申し込んだらブライダル保険がついてくる」というソリューションを考案しました。このときに、他社と協業することで自社だけではできない課題解決ができることを実感したんです。

お客様への提供価値を考え続け、チームで実践する

ユーザーに喜んでいただくことを追求し続ける

事業責任者になった当時は、自分の考えを日報などにまとめてメンバーに発信していました。事業の方針や戦略、これから取り組みたいことなどを書いていました。常にサービスをご利用いただくユーザーに対する考えや思いを軸にして伝えていました。

今でもその想いは全く変わりません。これも、ブライダル事業部での経験が影響しています。「一組でも多くのカップルに“理想の結婚式”のきっかけを」というサービス理念を、みんなで考え、実践していました。私も広報を担当していたのでこのサービス理念に触れる機会が多かったですし、私以外のメンバーも日常的に口にしていました。

お客様に喜んでいただくことを追い求める日々の中、実際にお客様の笑顔を見たときは幸せを感じました。当時の経験はとても大きく、その後もずっとお客様に喜んでいただくことを追求し続けています。

異業種との連携も視野に

今後は、異なる業界・領域の企業とも連携していきたいです。海外では保険会社がヘルスケアアプリへ参入してくるなど、我々が事業展開しているヘルスケア領域にはIT企業以外にも様々な企業が参入を本格化してきています。

そんな中で生理日管理アプリというのは、女性のヘルスケア管理アプリの中でも最もユーザー数が多く、大量のパーソナルなデータを保有しています。だからこそ「ラルーン」が先陣を切って、異業種と連携をしてより高い価値をユーザーへ提供できるサービスをつくっていきたいです。

もちろん、利用者の数も増やしていきたい。「ラルーン」を使うことで、多くの人々に喜んでいただきたいです。それまでに実現できなかったソリューションを開発して、マーケティング戦略によって利用者数を爆発的に増やしていく。そんなイノベーションも起こしたいですね。

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