コラム

2022/04/12

【社員対談】マネー教育の必修化に向け「ナビナビ資産形成デザインゲーム」をリリース!プロジェクトメンバーの3人が語る開発秘話

【社員対談】マネー教育の必修化に向け「ナビナビ資産形成デザインゲーム」をリリース!プロジェクトメンバーの3人が語る開発秘話

2022年度から高校の家庭科で「資産形成」の内容が必修化されます。エイチームでは、金融教育領域への貢献活動としてオリジナルの講義用教材『ナビナビ資産運用デザインゲーム』を開発しました。本アプリは、すでに大学の講義や高校の授業などで使用されています。今回は開発メンバーの3名による対談をお届けします。当時を振り返り、取り組みの背景や目的、苦労話から工夫したことなどを語ってもらいました。

Y.W.さん エイチームフィナジー デザイン開発部 デザイングループ デザイナー

奈良県出身。自社サービスのWebデザイナーを経験した後、フロントエンジニアとして開発やウェブ解析などを担当。再び自社サービスのデザインに携わりたいと考え、2021年にエイチームへ入社する。現在は、入社前のキャリアを活かして総合保険サイト「ナビナビ保険」のデザインやマークアップを担当している。

Y.S.さん エイチームライフデザイン 金融メディア事業本部 テクニカルソリューション部 ソリッドグループ エンジニア

大阪府出身。4年制の専門学校でITを学び、学んだ知識を活かそうと2019年にエイチームへ新卒入社。現在の担当は、カードローンの比較サイト「ナビナビキャッシング」の運用・保守・機能改修など。自社が展開する複数のサイトを見ながら、他職種・他部署とも連携してサービスの改善を行っている。

R.T.さん エイチームフィナジー デザイン開発部 エンジニアグループ エンジニア

兵庫県川西市出身。大学院で「並列分散処理」を学ぶかたわら、アルバイトでアプリやゲームの開発を経験。その経験を活かそうと、2020年にエイチームへ新卒で入社する。入社後は「ナビナビ保険」のシステム開発に従事。フロントでの仕組みづくりやバックエンドでの保守・実装などを担当している。

『ナビナビ資産運用デザインゲーム』とは?

Y.W.:
ひとことで言うと、学生向けの金融教育用「資産形成」ゲームです。

R.T.:
「ナビナビ証券」の監修もお願いしているコンサルタントの方が、もともとボードゲームの教材を使用されていました。そのオンライン版を創ろうという話から始まりましたね。

Y.S.:
会社員、スポーツ選手、医者、フリーターなど年収が異なる6つの職業から一つを選択して、25歳から資産形成をスタート。それぞれの職業の類似体験を通して、ライフプランに沿ってファイナンシャル・プランニングを考えていき、65歳の時点で2,000万円以上の資産形成を目指します。

Y.W.:
収入や貯蓄、資産運用の割合、保険加入の有無などを検討して、数々のライフイベントやソーシャルイベントも経験しながら、生涯の資産形成を学んでいくシミュレーション型のゲームです。

3人とも自ら立候補してプロジェクトに参加

Y.W.:
プロジェクトは全職種含めて総勢12名が参加。デザイナーは7名が参加。イラスト作成、ウェブ画面デザイン、マークアップと3つのチームに分かれており、私はウェブ画面デザインとマークアップを主に担当しました。

Y.S.:
Wさんはデザインチームのリーダーも務めていましたよね。

Y.W.:
はい、メンバーを統率して全体のデザインをコントロールする立場も任されていました。お二人はエンジニアですが、それぞれ役割は違いましたよね。

Y.S.:
エンジニアは5名。その中で私はバックエンドを担当。ユーザーが登録するデータがフロント側で不整合にならないようにサーバーサイドでプログラムを組むことをメインに行っていました。

R.T.:
私はフロント側です。デザイナーが作成するデザイン、バックエンドのエンジニアからくる値、それらをもとにした画面の描画や転換に関する部分を実装していました。ところで、二人はプロジェクトへの参加は自薦ですか?他薦ですか?

Y.S.:
自薦です。学生の頃、お金に関する知識がありませんでした。それに対してアプローチできる良い機会だと思って参加を決めました。

Y.W.:
私も自ら手を挙げました。以前から企業のXSR活動に興味があって、このプロジェクトはそれを経験できる貴重な機会なのではないか、と。企業として収益を上げながら社会に貢献していくことへチャレンジしたいと思ったんです。Tさんは?

R.T.:
私も自薦です。事業部でファイナンシャルプランナー3級の資格取得が推奨されていました。無事に資格を取得したんですが、勉強をしていたときに「これは学校で学んだほうがいいな」と思ったんです。それで、非常に価値があるプロジェクトだと感じたんですね。また、資格取得によって得た知識を活かせるとも思いました。

まずは、みんなでボードゲームをプレイ

R.T.:
エンジニアとデザイナーとで、ボードゲームの教材をやってみて、そもそもどんなゲームなのかを理解することから始めました。オンライン化することがゴールでしたが、そのまま移植できるものでありません。では、何を追加すべきか、何をそぎ落とすべきか。そんな議論がありましたね。

Y.S.:
なので、まずはやってみて理解しようと。その後、エンジニアみんなでフロントとバックエンドそれぞれの役割分担やインフラについて話し合いました。

Y.W.:
デザイナーのほうは、ゲームの読み解きをやってからメンバーを集めました。その後、要件定義とワイヤーフレームの作成を実施。要件定義では「オンラインでやる以上はオフラインではできなかった機能を追加しよう」といった話も出ましたね。それから、イラスト作成、ウェブ画面デザイン、マークアップそれぞれのチームに分かれて詳細を固めていった流れです。

Y.S.:
エンジニアとデザイナーとの間でも、密にコミュニケーションを取っていました。

Y.W.:
そうですね、実装してみないとわからない部分もありますから。誰か一人が上に立って全体をディレクションする形ではなく、密にコミュニケーションを取りながらチームで進めていきました。

R.T.:
エンジニア、デザイナー全員に「これは授業用の補助教材である」という共通の認識もありました。このアプリは、アプリ単体で完結するものではありません。あくまでも授業で使う教材であるという共通認識のもと、追加する機能なども決めていきました。

助け合いの精神で、ピンチを乗り切る

Y.S.:
怒涛のスケジュールで、開発期間は2ヵ月もなかったですね。すべてを開発した後に、教材を使う方に確認いただくフェーズもあったので、そのフィードバックも想定して早めに進めていたと思います。

Y.W.:
フィードバックをもらったときが大変でしたよね。

Y.S.:
ゲームを進めていくと、「年」がズレてしまうという問題があることがわかりました。一旦、すべての開発を終えた段階で、根本から設計を見直すことになったので本当に苦労しました。

Y.W.:
私たちデザイナーもバックエンドの処理の問題を、なんとか自分たちの領域で解決できないか考えたりしました。急遽、仕様を変更することはありましたよね。

R.T.:
確認をいただいた段階では、ゲームとして楽しんでもらえる最低限の状態に整っていたと思います。でも、「あれを追加したい」「ここをもっとわかりやすくしたい」といったご要望も上がってきました。私は個人的に教材を使うコンサルタントの方とはよく話す機会があったんです。なので、その意図は十分に理解できました。でも、全員が追加で実装することを、すぐには納得できなかったですね。一旦、最低限の開発は終えていましたし、全員、通常の業務を行いながらプロジェクトに参加していましたから。そんな状況でしたが、「学生に届けるためにもやりましょう!」と一致団結をして、追加で実装する意義も理解しながら進めていきました。

Y.S.:
いろいろと大変なことはありましたけど、チーム内で密に連携を取ることで乗り越えていけたと思います。週のアタマには全員で情報共有を行っていましたし、何か問題が発生したときはすぐに共有するようにしていました。エンジニアとデザイナーとの間で、言いづらいこともちゃんと言い合うようにしていましたしね。

Y.W.:
本当に良いチームだったと思います。一人ひとりが個々に力を持っているんだけど、全員に助け合いの精神がある。お互いの弱点を補い合うような関係性で進んでいきました。

R.T.:
スケジュールが厳しくなったときは、プロジェクト外からスポットでサポートをしてくれるエンジニアもいました。それも心強かったですね。

エンジニア、デザイナー、それぞれの苦労話

R.T.:
エンジニアとして苦労したことは、初めてのことばかりで技術的にわからない点が多かったこと。バックエンドのエンジニアが「ステージはこうやって遷移するよ」など技術面でリードしてくれて、そうやって教えてもらったことを一つ一つ理解しながら進めていきました。初めてのことが1個や2個だったら自分だけで何とかできたんでしょうけど、わからないことが多かったので苦労しましたね。

Y.W.:
どうやって対応していったんですか。

R.T.:
自分で調べるだけではなく、いろいろな人から情報を収集するようにしていました。とにかく質問をして「どのような意図でつくっているのか」を確認していきました。また、エイチームには、自分の書いたコードに対してメンバーからレビューをもらえる仕組みがあって、そういったものも活用していましたね。

Y.S.:
私が苦労したのは、6つの職業ごとに仕様が異なっていたこと。スポーツ選手は早めに退職をするなど、それぞれに異なる部分に対して特別な処理を行う必要がありました。自分以外にもう一人バックエンドのエンジニアがいましたが、その方がベテランの方だったんです。わからないことはその方に相談するようにしていました。Wさんは、デザイナーとしてどんな点に苦労しましたか。

Y.W.:
当然、イチからデザインを起こす必要があったわけですが、メンバー間でいろんな意見が飛び交いまして(笑)。それを統率するのが大変でした。ウェブ画面のデザインを先にやるべきか、イラストのイメージを固めてから画面をデザインするべきか。そういった問題もありました。結局、リーダーである私の判断でウェブ画面のデザインを先行させることにしましたが、その分、イラスト作成チームには迷惑をかけたように思います。

Y.S.:
リーダーならではの苦労もあったわけですね。

Y.W.:
私は何でも自分で抱え込んでしまう、自分でやってしまうタイプなんです。ある方から「もっと人にお願いしたほうがいい」とアドバイスをいただいたんですけど、そう言われてもなかなかお願いできなくて・・・。でも「お願いしないと周りも動けないよ」と言われてから少しずつお願いするようにしました。そんな私の性質をデザイナーのみんなはわかってくれていて、リーダーの私にみんなが合わせてくれたように思います。チーム一丸となれたのは、私自身の力ではなくて、みんなのおかげだと思っています。

開発、デザインをするうえで工夫したポイント

Y.S.:
ゲームを進めていくとさまざまなライフイベント、ソーシャルイベントが発生します。その整合性については気を遣いました。例えば、結婚をしていないのに離婚というイベントが発生しないように、ですとか。あとは、ボードゲームとの違いとして、可処分所得や税金の算出などは実際の計算に基づいたものを採用しました。

R.T.:
私が意識していたのは、ユーザーが違和感なくゲームを体験できること。どんな機能が追加されると学生さんが理解しやすいのか考えるようにしていました。例えば、ゲームを進めていく中で資産を支払う場合。最初は、自分がどれくらいお金を所有しているのかわからない仕様だったんです。それを表示させて、どのように分配するのかを視覚的にわかるように変更しました。

Y.W.:
デザイナーのほうも、追加の機能については頭をひねりましたね。最後に表示させる振り返りレポートも、きっと授業で必要になるだろうと思って追加をしました。

遂にアプリが完成!その瞬間に感じたこと

Y.S.:
完成したときは、ただただ嬉しかったです。つくったものが動く瞬間は、やはり達成感がありますね。

R.T.:
そうですね。私も「よかったー、できたー」という感じでした(笑)。ボードゲームという元になるものはあったものの、自分たちでつくり上げたことに喜びを感じました。

Y.W.:
私は達成感よりも「間に合った・・・よかった・・・」という安堵感のほうが大きかったかもしれません。

R.T.:
確かに。安堵感もありましたね。

Y.W.:
実際に大学で使用される場に参加させていただくことができました。使われている場面を見たときに、達成感がじわじわと込み上げてきました。

R.T.:
私も授業に参加させていただきましたが、最初はドキドキしっ放しでした。アプリが落ちないか、エラーは出ないか、って。その点は大丈夫でしたけど、学生さんが想定外の反応をすることもありましたよね。「えっ、そんなにたくさん貯金するんだ」とか。でも、楽しく学んでくれていることは伝わってきたので、そこは本当に良かったと思います。

Y.S.:
私は授業の現場には立ち会わず、サーバーの負荷を確認していました。授業開始の時刻になったときに、どんどんアクセス数が増えていったんです。自分たちが開発したものを誰かが使ってくれている。それをリアルタイムで実感することができました。

2021年12月に実施した明治大学国際日本学部でのオンライン授業の様子

プロジェクトで得られた知識や気づき

Y.S.:
大変でしたけど、終始、楽しむことができたと思います。日常の業務では経験できないことをたくさん経験することができました。関わる機会がない人たちと関わることができたのも楽しかった。

R.T.:
同じエンジニアでもSさんは金融、私は保険の事業を担当。普段はなかなか接点がなかったですよね。

Y.S.:
仕事でゲームに関わることもありませんでした。新たな領域に触れたことで多くの学びを得られたように思います。普段自分が使っている技術が、ゲームの分野では全く違う活かし方になったり。

R.T.:
フロントの技術については、普段、保険事業で行っているやり方と大きな相違はなかったように思います。でも、バックエンドのほうは新しい技術に触れる機会は多かったですよね。

Y.W.:
私は、授業で学生さんと触れ合えたことも印象に残っています。投資額や貯金額の配分を見ていて、「自分が学生でも同じような金額にするだろうな」と思ったんです。今の学生さんの感覚は、自分が学生だった頃とそんなに変わらない。そんな発見もありました。

これからの目標

R.T.:
今後、仕事でゲームに関わる機会はないかもしれません。でも、プロジェクトにおけるスケジュールや必要な人員、意識して行うべきことなど、様々な知見を得ることができました。その経験を活かしていきたいと思います。

Y.S.:
初めてゲームの開発に携わり、いつもとは違うプログラムの使い方など新たな発見がありました。改めて、技術について基礎的なところから見つめ直してみたいと考えています。

Y.W.:
教育の現場で『ナビナビ資産運用デザインゲーム』がたくさん使われて、資産形成に関する正しい知識が広がっていくことを期待しています。そのためには、これで終わりではなく、このアプリをブラッシュアップしていく必要があると思っています。

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