コラム

2021/12/02

【社員インタビュー】企業法務は事業の成長をサポートする参謀役!法律の専門家としてビジネス展開力を推進

【社員インタビュー】企業法務は事業の成長をサポートする参謀役!法律の専門家としてビジネス展開力を推進

法律の専門家・専門職として経営や事業運営の助言やサポートが求められる法務部門は、ビジネスを展開する上で重要な役割を担います。「守りの法務」と「攻めの法務」のバランスを実現させながらビジネスの成長を支える管理部 法務・コンプライアンスグループT.M.さんにインタビューしました。ビジネスにとって「法律」とはどのような役割なのか。弁護士として多様なキャリアを持つT.M.さんの考えを聞きました。

エイチーム 管理部 法務・コンプライアンスグループ T.M.さん

愛知県出身。明治大学法学部卒業後、音響エンジニアを目指し放送関連の専門学校へ進学、映像制作などを手掛ける会社で営業職に従事。その後、再び法曹の世界を目指すため法科大学院に進み、司法試験合格後、司法修習を経て、大手法律事務所に就職。東日本大震災の復興に関わる原子力損害賠償紛争解決センターで調査官として執務。2017年11月にエイチームに入社。現在は、法務・コンプライアンスグループで企業法務全般に従事。

専門性を発揮できる弁護士の道へ

映像制作の世界へ飛び込んだファーストキャリア

法学部に進学するものの、アニメや映像などのコンテンツ業界への憧れが忘れられず、音響エンジニアを目指して放送関連の専門学校に進学しました。音響エンジニアへの道は狭き門で、どうにか映像コンテンツを手掛けるポストプロダクションに就職が決まり、晴れて営業職として社会人生活がスタートしました。

憧れの業界ということもあり、苦労はありましたが、2年間ほど働きました。ただ、営業職という役割や立場が限定的な働き方に物足りなさを感じるようになりました。もっと広く、専門的に、深く関われる仕事がしたい。そんな時、今後の仕事について、落ち着いてゆっくり考える機会があり、見直すことにしたのです。

再び法曹の世界を目指すべくロースクールへ進学

高校時代の友人がロースクールに進学して弁護士を目指していると知ったとき、弁護士であれば、今より専門的で、深く、様々なことに関われるのではないか、そう考えました。

その時は26歳、まだやり直せる。手に職をつけ、働き方の選択肢が幅広い弁護士を目指すことを決意しました。ロースクールへ進学、司法試験合格後に司法修習を経て、弁護士となりました。その後、大手法律事務所に就職し、2年ほど働き弁護士として経験を積みました。

東日本大震災の経験から新しい仕事へ

法律事務所を退所後、2015年より原子力損害賠償紛争解決センター(文部科学省)で非常勤の調査官として執務しました。

2011年3月11日に起きた東日本大震災は、司法試験受験の直前の出来事でした。震災の様子、福島第一原子力発電所の爆発映像などに強い衝撃を受けたことを今でも鮮明に覚えています。そのような大きな災害で被害を受けた人たちを、中立的な立場とはいえ、サポートし、金銭的な解決に導ける仕事に使命感を感じて、働くことを決めました。

非常勤とはいえ、平日は毎日ほぼフルタイムで執務。東日本大震災時の東京電力の原子力災害における被害者からの損賠償請求の調整役のような仕事です。被害者の主張を聴取し、証拠を整理し、和解案を作成、和解成立に向けて尽力していました。

この仕事は、私の弁護士人生においても非常に記憶に残るものとなりました。

弁護士事務所を設立して独立

2016年には、弁護士となって最初に勤めた法律事務所時代の同期の弁護士と共同で新たに法律事務所を設立。事務所としてのビジョンや方向性、取り扱う案件、仕事の進め方や働き方など、自由度高く取り組みたかったので、独立を決めました。自分たちの城をつくるようなものなので、当時は夢と希望に溢れて、純粋に楽しかったですね。

ただ、「自由」による「不自由さ」とも言うべきでしょうか、その全ての決定権が自分にあることは責任を伴うもので、とても緊張感があるものでした。弁護士としてのキャリアを積みながら、新たに「経営」という側面もトータル的に経験できたと思います。

コンテンツ業界×法律の専門家としての独自性

IT業界の将来性を感じ、地元愛知にUターン転職

様々な仕事を経験してきて、やはり映像などのコンテンツに関する仕事への思いも忘れられませんでした。コンテンツ業界で法律の専門知識を生かした仕事はないか、仕事を続けながらも模索を続けていました。

また、当時、漠然とではありますが、先端技術やIT業界に将来性を感じていました。そんな時にエイチームに出会いました。地元愛知県のIT企業で、ゲームコンテンツやWebサービスなど様々な事業を展開している。

将来、地元に戻ってくる選択肢も検討していたこと、自分が希望する業界と共通点が多いこと、さらに、社長インタビューなどで経営や社員に対する考えや社風が伝わってきて、働いてみたいと考えるようになりました。

エイチームの法務の仕事を一挙にご紹介

2017年11月に晴れてエイチームの一員となり、全社の法務案件を担当する管理部 法務・コンプライアンスグループに配属になりました。
ここで、エイチームの法務の仕事を簡単にご紹介します。

(1)契約書審査

  • 他社ひな形の契約書(申込書・利用規約を含む、以下同じ)の確認・修正、調整
  • 当社ひな形の契約書の作成、及び取引先からの修正依頼の検討、調整
  • その他各種契約の調整・交渉サポート全般

(2)各部署との法律相談

  • 各事業部からサービスの運営に関わる法律相談の対応
  • キャンペーンや広告に関する相談(景品表示法など)
  • サービスを利用するユーザーの個人情報の取扱い(個人情報保護法など)

「〇〇法」について聞きたいと相談を受けることはまずありません。「このような施策を検討していますが、何か懸念はありますか?」と聞かれることの方が圧倒的に多いです。法律の専門部署として、事業部が実現したいことに寄り添いながらサポートしていくことも企業法務の役割です。

(3)法律の知識に関する社内研修の開催
不定期ではありますが、契約の基本、景品表示法や個人情報保護法など、事業運営において必要な法律の知識を勉強する社内研修も開催しています。

(4)トラブル対応
企業経営や事業運営で発生し得る様々な社内外のトラブルに対応します。未然にトラブルを防ぐ予防法務をはじめ、訴訟などの係争やクレームなど、トラブルに関する対応を行います。

(5)社内体制構築に関わる様々な社内規程の策定
企業活動のルールなどを定める社内規程を検討・策定するのも法務の役割のひとつです。経営や組織、経理や人事関連の業務管理に関する規程、実に様々な規程に関わります。ただ、全ての社内規程を法務だけで対応しているわけではなく、人事や総務、経理などの部署と連携しながら進めることが多いです。

(6)株主総会や取締役会など会社組織運営に関わるもの
株主総会や取締役会の運営は総務グループが担当しますが、法務はこれらを法的側面からサポートします。

(7)コンプライアンス業務
自社のコンプライアンス意識を高め、コンプライアンス遵守のサポートを行い、社内外で起こりうるリスクに適切に対処しつつ、社員に対するコンプライアンスに関する教育や啓蒙を実施します。

私は、他の法務メンバーと比べると、(4)トラブル対応、(5)社内規程、(6)会社組織運営に関わる業務が多いです。

企業法務に求められる役割と使命

法務は事業の成長をサポートする参謀役

法律の専門家・専門職として経営や事業運営の助言やサポートが求められる役割です。近年、企業法務の担当領域が広がっているように感じます。法務部門は会社にとってリスクマネジメントが最も求められる部署です。法令遵守・コンプライアンスの最後の砦でありながら、事業の成長をサポートする参謀役でもあります。攻守は表裏一体でバランスが大切。

持続的な企業の成長を目指し、そして良いサービスを世の中に提供していくためにも、「法律が…」だけではなく、ユーザーが安心してサービスを利用できるか。その観点で法的側面から事業をサポートしていきたいです。

総合IT企業ならではの法務の役割

エイチームはビジネスを創出するプラットフォーマーとして、どんどん新しい事業やサービスを生み出しています。新規事業の展開は、法務部門にとっても重要な役割を担います。

例えば、葉酸サプリの「minorie」や化粧品ブランド「lujo」では、薬機法の検討が必要でした。初参入の事業領域です。このように、事業の展開領域が増えていくと、法務部門も新たな知識が必要とされますので、日々勉強しながら、事業のサポートをします。

常に新しい領域に挑戦できるやりがいがありますが、一方で常にスピードを求められる点は大変です。日々の変化を楽しみながら事業部と伴走していきたいですね。

全社の法務リテラシー向上

ビジネスと企業法務は切り離せない関係です。そのため、法務部門は法律の専門家として専門性を高めていきながらも、企業経営やビジネス全般への関心を高めていきます。一方で事業部担当者もビジネスにおける法務リテラシーを高めていかなければいけないと思っています。

ビジネスにおいて、契約書や利用規約など、サービスの契約に関わる各種書類はとても重要です。取引を進める上での約束事について最も基本的かつ最終的な判断対象となるものです。具体的な取引内容は事業を推進する現場担当者が最も把握しています。法律は小難しくてわからない…という気持ちは捨ててもらい、ビジネスパーソンとしてビジネスに関わる法務知識やリテラシーを高めていけるように働きかけていきたいです。

私たち法務部門は、法律というルールを前提とした上で、事業の成長に向けて、最大限サポートしていきます。

「コンプライアンス」というと、何を思い浮かべますか?

法的側面から「三方よし」を実現するサービスを

「コンプライアンス」と聞くと、何を思い浮かべますか?「法令遵守」と回答する方が多いでしょう。ですが、今では法令遵守は当たり前のことと考えられています。単に法令を守ればよいというわけにはいきません。

企業に求められるコンプライアンスとは、「法令遵守」だけでなく、倫理観、公序良俗などの社会的な規範に従い、公正・公平に業務をおこなうことを意味しています。世の中の一般的な考え方や反応など、もっと広く考えるべきことなのです。

そして、私の持論ではありますが、この考え方は、エイチームの各サービスが掲げる理念「三方よし」を体現していると思います。リスクを最小限に抑え、ユーザーにとって「丁寧」「安心」「わかりやすい」サービスを提供し続けることが、巡り巡って、良いサービスになり、企業イメージを向上させ、ブランドをつくっていきます。

相手の立場になって考える

法令・法律は、ルールの「基本」を定めているに過ぎません。基本を押さえた上で、「このサービスを利用するユーザーはどう感じるだろうか」と相手の立場に立って考えることが大切なのです。

逆に言えば、「これをしたら相手はどう考えるだろうか?」と考えていけば、自ずと法令遵守にもつながりますし、そこからさらに一歩も二歩も進むことができるようになります。

私は法律の専門家として、エイチームが展開する様々なサービスを世の中の多くの人たちに利用してもらい、素晴らしい価値を提供するためのサポートをしていきます。そして、「エイチームのサービスはすごいよね」と言われるように、そして、誇りに思えるように、これからも励んでいきます。

これからの目標・ビジョン

ビジネスにおいて法務部門が果たす役割は大きいです。さらなる企業の成長に向けて、既存事業の拡大や新規事業の参入も増えていくでしょう。今後のエイチームのビジネス展開に対応すべく、法務部門として対応領域を広げていきたいと思います。そのために、日々の自己研鑽を怠らず、新しいインプットを増やし、実務で経験を重ね、一人の専門家としても、法務・コンプライアンスグループとしてもレベルアップしていきたいと考えています。

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