コラム
2021/10/21
【社員インタビュー】AIの研究・開発プロジェクト「AI WORKING GROUP」とエイチームの全社員「AI基礎研修」の全容
エイチームでは、AIの研究開発や事業での活用、AI人材の育成に取り組んでいます。2018年6月にAIを研究開発する全社横断プロジェクト「AI WORKING GROUP(以下、AIWG)」を立ち上げ、現在は様々な事業でAIを活用しています。また、2020年8月に全社員「AI基礎研修」を導入し、AI人材の育成にも力を入れています。
今回は、AIWGのリーダーとして数多くのAI施策を推進し、全社AI基礎研修をけん引したS.F.さんをインタビューしました。
全社横断のAI研究・開発プロジェクト「AI WORKING GROUP」リーダー S.F.さん
2016年4月、エイチームへ新卒入社、ゲームプランナー。学生時代に学んだAIプログラミングの知見を活かしてプロジェクトの施策にAIを導入。また、社内で広くAI活用を促進するため、AIWGを発足し、リーダーとして社内の様々なAIプロジェクトを推進している。
「今後AIの活用は当たり前になっていく」AI投資への意欲
AIの導入に向けた取り組みがスタートした経緯
時は私の学生時代にまで遡ります。AIブームが到来する直前に大学でAIに関する研究をしていました。「近い将来、AIを利用したビジネスは当たり前になる」と考えていましたが、2016年4月に新卒で入社した当時のエイチームではまだまだAIの導入が進んでいませんでした。
変化の激しいインターネット市場で戦うIT企業でありながら、まだAIが浸透しきっていない。その状況に危機感を持ちながらも、潜在的なチャンスを同時に感じました。社内で一人くらいAIを研究・開発する社員がいてもいいだろう。そう考えて、全社的なAIの導入に向けて私の取り組みは始まりました。
エンタメ事業で始めたAI施策
入社後はエンターテインメント事業本部に配属され、入社以来ずっとゲームプランナーとして働いています。まだ社内ではAIの導入実績はありませんでしたが、まずはプランナーとしてゲーム内で活用するAI施策を企画しました。
学生時代の知見を生かして、AIを自ら構築し、リリース後も精度を改善していきました。このような活動を通して、一緒に働く周りのメンバーに少しずつAIの必要性を伝えていきました。
事業本部長へのAI施策の提案
社内勉強会などの活動を行う中、チャンスがやってきました。部内のミーティングで、エンターテインメント事業本部長がAIに関心があるという話を聞いて、「このチャンスを逃すまい!」と思いました。
本部長と飲みに行く機会をつくり、そこでAIを活用した施策を15分でプレゼン、後日企画書を提出しました。新卒の勢い半分のプレゼンでしたが、本部長は丁寧に耳を傾けて聞いてくれて、アドバイスも数点もらいました。そして、トライアルで開発をスタートできることになったのです。
いよいよAIWGの発足へ、AIへの関心度の高まり
エンタメでのデータ活用が進み、AIWG発足へ
プレゼンした企画を持ち帰り、エンタメで初の機械学習を使った施策導入を行った結果、KPIが改善しました。その後も改良を積み重ね、施策の提案の数も増やしていくうちに、少しずつ社内のAI施策数は増えていきました。現在ではエンタメだけでも10本を超えるAI施策が開発・導入されています。
こうした活動が認められ、2018年8月にAI研究・開発プロジェクトのAIWGの発足に至りました。
経営陣のAIへの関心の高まり
代表取締役社長の林が外部のAI講座を受講したことがきっかけで、全社のAIプロジェクトは大きく前進します。その後、経営陣や事業責任者など、事業の重要な意思決定を担う20名もAI研修を受講することに。こうした取り組みを経て、全社的にAI研修の気運が高まり、2020年8月に全社「AI基礎研修」を実施することになりました。
AIの脱ブラックボックス化を目指す
多くの社員にとって、AIとは、言葉自体は知っているけれど、具体的な仕組みは理解できておらず、なんでもできてしまう魔法の「ブラックボックス」だったのではないかと思います。
この状態のままでは、AIの適切な導入は進まず、エイチームのAI導入は後れを取ってしまいます。しかしこの状態を脱するには、数学や統計の知識が必要で、「手を出しにくい小難しさ」を乗り越える必要があります。
ビジネスへのAI活用をさらに推し進めるためには、この小難しい勉強をAIの専門家に限らず多くの社員、特に事業の経営判断を行う立場の人たちに行ってもらいたいと考えました。
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研修後の社内の変化
社内からのAIWGへのAI施策の相談数も増加しましたし、事業部横断でAIに詳しいエンジニアを派遣しあうようにもなりました。エンジニア以外の営業やマーケター、デザイナーなどもAI施策について積極的に議論している様子も見かけるようになりました。このようにAI研修により社内にAIが浸透し、企画立案や施策の改善スピードも加速化したこともとてもうれしい成果です。
社内初のAI導入の苦労
一方で、社内初のAI導入は苦労も多かったです。社内にノウハウや事例、技術を持つ社員も当時はとても少なかった。しかも、AI施策は成果までに時間がかかる上、臨床実験段階のものも多く、根気強く長期にわたりPDCAをまわす必要がありました。常に「AI施策の意義」を考えながらも、「AI需要が高まるなか、将来への投資だと考え、推進する役割が必要」と考えて取り組みをつづけました。
ビジネスの現場における研究・開発プロジェクトに必要とされる人材とは
成果が約束されていない先端技術を会社の横断組織で扱う以上、経営戦略においてそれがなぜ必要なのか、経営理念の実現に向けて必要なものなのか、エイチームが社会で担う役割は何かなど巨視的な視点でものごとを考えることが必要だと考えています。
目先の評価だけを気にしていては、長期化する新規の取り組みはできません。将来、大きなインパクトを出す可能性への時間投資であり、その役割を担える遣り甲斐を感じて取り組みたいです。
AIWGのメンバー、各部署でAI施策を推進するエンジニアなどのこの数年を振り返ってみました。誰もが「今後のエイチームをもっと成長させるために必要なものはなにか」「ビジネスの展開に向けてこうしたほうがいいのでは」と自身の意見を持ち、その実現に向けて行動が伴っている共通点があると感じます。改めて、「会社目線」「経営視点」を意識して仕事に取り組むことが大切だと実感しました。
また、社内で活躍する人の共通点には、会社や事業への貢献は軸足に置きつつも、社内での評価ではなく、業界全体の基準で自身の人材価値を高めようとしている点だと感じます。業界動向や海外の最新論文などを素早くキャッチし、実際に取り組んでいる様子が印象的です。私自身、これからも「学び続ける姿勢」を大切にしながら、会社や事業に貢献していきたいと思います。