コラム
2025/12/02
【社員インタビュー】「良い人の集まり」であるエイチームで、内部統制の「型」を盤石に。エイチームに今、求められる内部統制とは
エイチームホールディングス(以下、エイチーム)は、東証プライム上場企業として社会やステークホルダーの皆さまに認められる企業基盤を構築しなければなりません。今回は、内部統制を担当するM.T.さんに、内部統制の目的、機能・役割、上場会社であるエイチームが求められる内部統制のあり方、そして、エイチームの内部統制の構築や運用など具体的な取り組みについてお話を聞きました。
エイチームホールディングス 管理部 開示・ガバナンスグループ M.T.さん
大学時代に公認会計士試験に合格し、新卒で大手監査法人に入社。その後、複数社でIPO準備をはじめとする様々な業務を経験。2024年12月にエイチームホールディングスに入社。現在は管理部 開示・ガバナンスグループにおいてエイチームグループの内部統制を担当する。プライベートでは、お迎えして7年になる愛猫と共に生活している。
自分にマッチしていたエイチームで、内部統制の仕組みづくりを進めたい
エイチームは内部統制が発展途上だからこそ面白いと感じた
私がエイチームに入社を決めた理由は、「自分にマッチしていたから」です。今まで複数の会社で様々な仕事を経験し、自分にマッチする会社は建前ではなく、率直なコミュニケーションをしてくれる会社というのがわかってきました。仕事内容に関しても、上場企業として内部統制をより強固にしていくという段階であり、成熟しきっていないところに面白さを感じました。
入社して感じたギャップ
入社して感じた良いギャップは、「ウェット加減がちょうどいい」というところです。私は数年前に結婚して、今は家庭での時間も大切にしたいと考えています。職場の皆さんは快く理解を示してくれて、受け入れ、サポートしてくれます。前職では考えられない職場環境で、良い意味でカルチャーショックでした。
当初の想定以上に整備が必要であると感じたことは、社内規程やルールが整っているものの、まだまだ属人化している部分も多い印象ということでした。それでも、上手く業務プロセスが回っているのは、エイチームの企業カルチャーの賜物だと思います。内部統制の実務的な活動を「統制活動」というのですが、その土台となる「統制環境(=企業風土)」が、エイチームは優れているのだと思います。その環境は活かしつつ、内部統制の担当者として、整備・改善が求められる領域で挑戦していきたいと思います。

内部統制とは何であるか。そして、その担当者として持つ展望とは
そもそも、内部統制とは何なのか
内部統制とは「仕組み」のことです。例えば、「有給休暇を取得する場合、勤怠システムで申請し、承認を得る」、「リモートワークを円滑にするため、随時オンラインで集まれる場所を開放する」、「社食の費用が給与から天引きされ、当日の精算が不要」など、これら全ての仕組みを「内部統制」と言います。企業活動における潜在的なリスクを評価し、必要な仕組みを考え、仕組みの利用状況を確認するのが内部統制業務の役割です。
内部統制はなぜ必要なのか
エイチームは上場企業として、多くの株主や投資家の皆さまにご支援いただいています。全ての投資家の皆さまの投資判断に資するため、適正な財務報告を行う必要があります。内部統制と法律を掛け合わせた観点で「J-SOX」(金融商品取引法に基づく内部統制報告制度 )という制度があり、上場会社であるエイチームは本制度の適用の対象となり、高水準での内部統制システムの構築や運用、その開示が求められています。
内部統制の担当者として、私なりの理想もあります。今後の展望は「実務方面」と「上流方面」の二つの方向性で持っています。内部統制は、制度として型にはめると「建前」になりますが、逆に本質的に会社の足腰を強くできる側面があります。
まず、「実務方面」についてお話しすると、「内部統制」の反対の言葉を「属人」だと考えています。しかし「属人」を明確に定義した上で言語化し、組織に共有して浸透を図ることができれば、それは「内部統制」に昇華します。そして、往々にして既存の「内部統制」よりも長年の経験値を持っている「属人」的な手法の方が優れている場合があります。「属人」的な手法も細かい粒度で内部統制に切り込めば、仕組みを効率化できる部分は多いのではないでしょうか。
次に「上流方面」ですが、「内部統制」の上流は例えば「コーポレート・ガバナンス」があるかもしれません。「内部統制」は「担当者が作成した仕訳伝票を権限者が承認する」、「全社が集まるミーティングで業績を共有し、社内の理解レベルを揃える」などの直接業務に貢献する実務的な仕組みです。一方、コーポレート・ガバナンスは、「社外取締役比率を高め取締役会の構成を適正化する」「女性取締役比率を上昇させてボードダイバーシティを推進する」などより大きな仕組みであると捉えています。一部の企業ではこういった取り組みによって業績や株価が上がる例もあるようですが、実務とかけ離れた意思決定機関の仕組みによって会社が好転するイメージが持ちにくいとも思っています。

複合事業の集合体であるコングロマリットを強みとするエイチームでは、事業ごとに異なるリスクに直面しています。現場からリスクを吸い上げても、全社的な視点に直すことやリスクの優劣をつけることがとても難しいです。金銭的なインパクトだけでなく、ブランド毀損リスクや法規制も絡んでくるでしょう。内部統制担当者として、リスク対策について一本筋が通ったロジックを探し出し、内部統制(=実務)からコーポレート・ガバナンス(=上流)に引き上げられれば。そう思っています。
実務と上流、二つの方向で展望を持っていますが、エイチームが成長戦略である「売上向上支援カンパニー」の変革を図る上で鍵となるのはM&Aであり、内部統制業務としても重要な位置づけです。M&Aの実行によって会社の状況がめまぐるしく変わる中、どこまで内部統制が貢献できるのか未知数です。仕組みよりも、想いや熱量、直感が案外ものをいうのではないかと思っています。
エイチームの内部統制について
今のフェーズは「型」をつくること
良くも悪くも…、いいえ、良くも良くも、エイチームの内部統制は発展途上です。個人的には、実質的には整っていても形式的には改善の余地があるという印象です。上場企業である以上、対外的な説明責任(開示)があります。そのために形式も整っていることが求められます。しかし、形式で満点を取ることができたとすると、それは逆にとても無駄を含んだものになるでしょう。「非の打ちどころのない内部統制」の会社が膨大な事務作業に追われているという姿は、よく見かけるものです。
その点、エイチームは内部統制の形式面を整えていく最中で、何が必要なのか、どこを削れるのか、考える余地があります。すでに事務作業が山積みの会社であればひたすらルーティンをこなすことになりますが、エイチームでは「型」をつくるところから取り掛かることになります。事業の展開も速く変化の多い会社なので、取り組むことも多いです。
エイチームは「良い人の集まり」である
繰り返しになりますが、内部統制は実務です。その「統制活動」の土台が「統制環境(=企業風土)」となるわけです。仕組みを完全に整えたとしても内部統制は不完全です。共謀・改ざんすれば不正の抜け道はあり、悪人の集まりであれば会社は成り立ちません。
エイチームは、良い人が集まっている会社だと思います。エイチームに入社したてのころ、みんなが自由に有給休暇を取得したり、各自が裁量と責任の下、フレキシブルに働いていることに驚かされました。冷や汗もののミスをしたことも度々ありますが、「責める」という概念が無いかのような寛容さを感じます。ミスしたことを責めるのではなく、なぜそれが発生したのか、次に同じことを起こさない対策を考えるという社風の中で助け合う組織、素晴らしいと思います。
そんな性善説が染み渡ったような会社では大きな問題は起きないように感じてしまいますが、内部統制は性悪説を前提にしたものでなくてはなりません。エイチームの内部統制はまだまだ発展途上ですが、「良い人の集まりである」ということは大きなアドバンテージであると思っています。
内部統制のキャリアの開き方

内部統制という仕事は、スペシャリストにもゼネラリストにもなれる
エイチームでは内部統制専任者を募集していたので、私は「内部統制の専門家です」と選考でお伝えし、入社することになりました。しかし、今まで経験してきたベンチャー企業に応募する際には、「内部統制もかじったことがある何でも屋さんです」と自己紹介していました。
内部統制には「実施基準」と呼ばれる、実務に落とし込むと膨大な業務量になるルールがありますが、根本的な考え方は単純で普遍的なものです。また、内部統制業務に求める内容は企業ごとに異なりますが、全社横断的なプロジェクトであるという部分は共通しています。つまり、内部統制とは、「基本的な考え方を身につければ大局的な視点を獲得できる領域」であると考えています。そのため、内部統制というスペシャリストとして、または全社横断的なプロジェクト遂行というゼネラリストとして、いずれも名乗ることができるんです。会社のフェーズや規模、働き方や担当領域などで、さまざまなキャリアが開ける仕事です。