住宅ローン、金利上昇局面にどう対応すればよいか?
男性26歳自営業・自由業未婚/子供なし
相談内容:借り換え
去年の8月に住宅ローンを組みましたが、昨今のニュースを見ると金利上昇局面とよく聞きます。 金利変動型のローンは今後不利になっていくのでしょうか? また金利が上がってしまうようなら借り換えをしてでも固定金利に組み替えたほうがよいでしょうか? ▽現在の状況 ・昨年8月に某メガバンクで3500万円を0.35%程で借入しました。 ・年収は大体700万円ほど。 ・結婚の予定はしばらくありません。
回答一覧
- 張替 愛
2024-05-17
フィリップさん、ご質問ありがとうございます。 金利変動型の住宅ローンを借り入れた後に金利上昇のニュースをお聞きになり、さぞご不安に感じていることと思います。 金利上昇への備え方をご紹介しますので、フィリップさんに合った方法で備えておくように心がけてみてください。 ■固定金利型住宅ローンの借り換え まずひとつは、フィリップさんも考えている、固定金利型住宅ローンへの借り換えです。 メリットは金利が固定化できるため、借り換え後は金利の上昇に怯える必要がなくなります。 一方で、大きなデメリットが2つ挙げられます。「現在の金利より高くなる金利で固定化されること」「借り換えによる諸費用が合計100円万近くかかること」です。 例えば金利0.35%と金利2.0%の住宅ローン(借入額3500万円・返済期間35年・元利均等・ボーナス払いなし)を比べてみると、総返済額は約1,150万円も変わります。 今後の金利がどこまで上がるかは誰にもわかりませんので、借り換えしたほうが良いか決まった正解はありません。ただ少なくとも、固定金利に借り換えた後の返済に無理があるようであれば、急いで借り換えをするのは避けたほうが良いかと思います。 ■金利上昇に備えて貯蓄を貯めておく 金利が上昇した時に有効な手段として、「繰り上げ返済」があります。 金利が上昇してしまった際、手元の貯金を住宅ローンの繰り上げ返済(返済額軽減型)を行えば、毎月の返済額の上昇を抑えることができます。 ひとつのざっくりした目安としては、金利が0.5%上がったら300万円前後くらい繰り上げ返済に回せると、返済額の上昇を抑えることができます。 そのため、金利が上がるまでの時間を有効活用して、手元の貯蓄を増やしておくのはひとつの手と言えます。すぐに金利が上がっていない状況なら、NISAなどで資産運用し、様子を見ながら適宜繰り上げ返済を行うのも選択肢のひとつといえます。 ■返済額が上がっても大丈夫な家計状況を作っておく 金利が上昇して住宅ローンの毎月の返済額が増えても、毎月無理なく返済を続けられるのであれば問題ありません。 多くの住宅ローンは、「5年ルール・125%ルール」というものが適用されます。これは、「金利が上昇しても5年間は毎月の返済額が変わらない」「6年目以降も返済額があがるのは125%まで」というルールです。 このルールが適用されている住宅ローンなら、金利が急上昇しても、とりあえず毎月の返済額は6年目に125%になるのですみます。 つまり、今の住宅ローンの返済額が25%増しになっても無理なく返済できそうであれば、ひとまず返済が滞るような事態にはならないということです。 フィリップさんはお若いので、これから収入も挙げていきやすいと思いますし、シングルなので支出も抑えやすいと思います。住宅ローンの金利上昇に備えて、住宅ローンの借入額が5年後に25%増えても大丈夫なように、常に家計の収支を良くすることを意識するというのも有効な対策です。 今後の金利がどのくらいあがるか分からないため、どの方法が一番お得なのかはわかりません。フィリップさんが取り組みやすくて良さそうだと思う方法で備えておいてください。 少しでもご参考になれば幸いです。
- 大竹 麻佐子
2024-03-15
こんにちは。ご質問ありがとうございます。 たしかに、今後、日本の金利は上昇していくことが予測されます。 変動金利での住宅ローン借入れがある方にとっては、ニュースを見て不安になるかもしれません。 こうした不安からの解放という点では、固定金利への組み替えも選択肢となることは確かです。 ただ、変動金利を選んだのは、こうしたリスクをふまえたうえで、少しでも低い金利で総支払額を抑えたいというのが理由だったのではないでしょうか。 今すぐに何かアクションを起こすというより、少しずつ情報を集め、ご自身にとって最適なタイミングを考えたいです。そのためには、資産状況と経済的状況を見極めることが大切かと思います。 まず知っておきたいのは、固定金利と変動金利の基準の違いについてです。 日銀の政策金利が変動すると、変動金利にも影響が及びます。 少し詳しく説明すると、住宅ローンの変動金利は、「短期プライムレート」をもとに決められます。「短期プライムレート」とは、日銀の政策金利をもとに、銀行が優良企業に短期(1年未満)で融資を行う際に適用する金利です。 景気が良くなると金利は上がり、後退すると金利は下がります。 つまり、10年国債の利回りをもとに金利が決まる固定金利とは、基準が異なるのです。 変動金利が上昇するタイミングは、固定金利よりも後になることが通常です。 また、多くの場合、変動金利では、金利は半年ごとに見直されますが、返済額が見直されるのは5年ごとです。また、それまでの返済額の1.25倍を上限とするルールがあるため、返済額が急に増えることはありません。これは、住宅ローン負担が家計に及ぼす影響を配慮するためです。 (金融機関によっては、適用しないという場合もありますので、念のため、契約書類を確認しておくことをおすすめします。) ただし、返済額に大きな変動はないものの、実際には、金利の上昇にともない利息部分は増えていきます。5年ルールや125%ルールによって発生した返済していない利息のことを「未払い利息」と言います。当初35年での借入れ期間が予定よりも長引くこともあります。 そのため、半年ごとの実際の金利はチェックしておきたいですね。 基本的に、変動金利よりも固定金利の方が金利は高くなります。 低い金利でのメリットを享受できるうちに、少しでも借入額を減らすことで将来的に総支払額を減らすことが可能です。と同時に、短期的(ここ1年くらい)、中期的(この先10年くらい)のご自身の生活に無理のない範囲で、繰り上げ返済の計画が立てられると理想的です。 あえて繰り上げ返済をするよりも、NISAなど投資に回して資産形成するという選択肢もあります。住宅ローンの借入金利よりも高い利回りでの運用が実現すれば、その分資産は増えます。 現在の借入れ利率をふまえると、おそらく、それほど難しいことではないかと思われます。 変動金利の金利上昇が現実となった際には、生活に影響のない範囲でまとまったお金を返済し、残債分を固定金利で組み替えれば、借入額が少なくなるため、ローン事務手数料の負担も削減できます。 長くなり恐縮です。ニュースの情報に振り回されることなく、住宅ローンの特性を知ったうえで、ご自身の性格や生活にあった戦略を考えたいですね。
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