住宅ローンの繰り上げ返済はやらないほうがいい？？

千日 太郎

2024-01-21

ゆりあんさん、ご相談をありがとうございます。公認会計士の千日太郎です。 住宅ローン控除の仕組みをもう一度おさらいしておきましょう。 住宅ローン控除は年末の住宅ローン残高に一定率を乗じた額がその年の所得税と翌年の住民税から控除される減税制度です。 つまり、ローン残高に比例して減税額も多くなるという仕組みなのですね。そのためハウスメーカーの営業担当者は一般論として、「繰り上げ返済は住宅ローン控除が終わってからの方が良いですよ」と言っているのでしょう。繰り上げ返済するとローン残高が減り、住宅ローン控除による減税の恩恵が減ってしまうからです。 しかし上記はあくまで一般論であるというのがミソです。減税される額よりも払う利息の方が多いのであれば、少しでも繰り上げ返済した方が得ということになりますね。 住宅を購入されたのが２年前とのことですが、控除率は2021年までは1%、 2022年以降は0.7% です。 住宅ローンの金利と比較してみてください。 ここからさらに深く考えてみましょう。住宅ローン控除の控除率よりも金利の方が高ければ、（つまり繰り上げ返済が経済的に得ならば）繰り上げ返済した方が良いのか？というと、必ずしもそうとは言い切れないのですよ。 現時点の所有資金は200万円であり、不測のアクシデントが発生した場合に余裕をもって対応できるとはいえない額です。住宅購入直後には頭金や手数料、引っ越し代や家具家電でかなりのお金を使うことになりますので、一時的に貯金が少なくなってしまい、家計の防御力が下がる時期なのです。 住宅を購入する直前くらいまで貯金額が回復し、かつ、繰り上げ返済が経済的に得になっている状態であれば繰り上げ返済を検討するのが良いと思います。

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