コラム

2021/09/15

【1on1特集 #2】1on1は「未来の話」を対話する時間!想像力が豊かになると仕事はもっと楽しい

【1on1特集 #2】1on1は「未来の話」を対話する時間!想像力が豊かになると仕事はもっと楽しい

エイチームでは、お互いを認め合う文化のもと、「信頼関係の構築」と「成長支援」を目的とした1on1ミーティングを通した交流が活発です。今回は、上司の立場で数多くの1on1ミーティングを実施してきたM.F.さんです。上司としての心得に始まり、目的や成果、具体的な内容から歴史にいたるまで「エイチームにおける1on1ミーティング」について幅広くお話を聞きました。今回は上司編の「前半」をご紹介します。

M.F.さん
エイチームコマーステック 取締役 テクニカルソリューション部 部長
エイチームライフスタイル 取締役 CTO室

大学在学中に個人事業主としてWebサービス開発、サーバーホスティング事業を経験し、2007年にエイチームへ入社。ラルーン事業、エンターテインメント事業本部のメディアサービス事業を経て、2017年にエイチームライフスタイルの執行役員に就任。エイチームライフスタイルにおけるエンジニアの組織作り、デザイン組織の立ち上げやマネジメントに加え、エイチームEC事業本部のエンジニア組織のマネジメントを担うなど活躍は多岐にわたる。現在は、エイチームコマーステックおよびエイチームライフスタイルの取締役としてエンジニアの採用や技術全般の統括を行っている。

1on1ミーティングを実施する目的

グループ内の多くのメンバーとコミュニケーション

現在はエイチームコマーステックとエイチームライフスタイルの取締役を兼任しており、両社のメンバーからマネージャー、部長や執行役員にいたるまで幅広い階層のマネジメントを担当しています。加えて、他のエイチームグループのメンバーと接する機会も多く、エイチームグループ内の様々なメンバーとコミュニケーションを取っています。当然、役職によって関わり方や話す内容は違ってきます。部長以上とは事業戦略や組織戦略に関する話になりますが、メンバーとは目標設定の仕方から「今のシステムのあり方についてどう思う?」という話までします。それぞれの組織の成熟度を見ながら、どの組織の誰とコミュニケーションを取るべきか、どの程度関わるべきかを判断して接点を持つようにしています。

1on1は「自己成長のきっかけづくり」

多くのメンバーと接する機会として30分の1on1ミーティングを精力的に行っています。直属のメンバーと接するときは、1on1が彼らの「自己成長のきっかけづくり」になることを意識しています。例えば、部長以上との1on1では、彼らが考えるべき事業や組織の戦略について私からどんどん深掘りをしていくようにしています。

現場を知る貴重な機会

また、1on1を「自分自身の気づき、新しい情報の発見」の機会とも捉えています。以前は、現場の状況を知るために、メンバーから現場のことを教えてもらう「リバースメンター」というものを実施していました。現場から離れている状況で、現場のことをわかったような気になるのが怖いと思ったんです。

普段はあまり現場を見ずに、自分の経験だけをもとに物事を判断するとうまくいかないことがあります。今、現場はどんなことをしているのか。何に困っているのか。どんな創意工夫をしているのか。1on1は、そういったことを知るための機会でもあります。直属のメンバーではないエンジニアやデザイナーへ向けても「1on1募集」を自ら発信して、現場を知る機会を積極的に設けるようにしています。

1on1があるからこそ生まれるアクション

1on1を行う中で、メンバー自身が感じている課題の大きさと、その課題に対して私が感じる大きさとの間にギャップが生じることがあります。例えば「こんなことをやってみたいんですけどコストの面を考えると…」というメンバーの声。「コスト以上のものが得られるのであればやればいい」と思う内容だったら、メンバーにその旨を伝え、私のほうで動いて実現をサポートします。

メンバーの心の奥に潜んでいる意見を引き出し、具体的にアクションにつなげていく。1on1にはそんな効果もあると思っています。それを念頭に、できるだけ答えを持たずに接するようにしています。

ヨコのつながりをフォローする機能

メンバーからの意見は、部下から上司へというタテのレポートラインで上がっていくのが理想的かもしれません。しかし、複数の子会社が存在するエイチームグループでは、ヨコのラインも必要だと私は思っています。

ある子会社において「自社ではメリットが小さく感じる」ことが、エイチームグループ全体では大きなメリットになるケースがあります。あるいは、ある子会社で抱えている課題を別の子会社でも抱えている場合、グループ内で連携を取ることで効率よくコストを抑えて進められることもあります。しかし、このような気づきは子会社単位の視点ではなかなか得られません。

タテのレポートラインではなく、部門をまたいだ横串の視点が必要になります。複数の子会社を兼務している私だからこそ見える視界があるはずです。グループ内のヨコのつながりをフォローすることも、自分の役割の一つだと思っています。

未来の話をするのが1on1ミーティング

Face to Faceで話すべきは未来の話

1on1では、未来の話をすることがほとんどです。Face to Faceで話をするのは未来の話をするときである、というのが私の考えです。報連相における『連絡』は「今」起きている話、『報告』は「過去」に起こった話、『相談』はこれからどうしていくかという「未来」の話。そのように位置づけています。

連絡や報告はメールやチャットツールでも問題ありません。でも、相談は、Face to Faceでやったほうが効果的だと思うのです。メンバーにも連絡や報告はチャットツールで構わないと伝えています。1on1では、業務報告や業務連絡ではなく、これから事業をどう伸ばしていくかという話がしたいと考えています。未来の話をすることはメンバーの成長にも関わってくると思います。例えば、今日明日何をしたいかではなく1ヵ月先何をしたいかを話すと、メンバー自身がこの先1ヵ月の時間の使い方も考えるようになります。

スパンや事業によって異なる未来の話

未来の話と言ってもスパンは様々です。短いと3ヵ月から半年先くらいですが、3年後や5年後の話をすることもあります。例えば、新しい技術にチャレンジしているメンバーとの1on1。日本のみならず世界のマーケットの動向やトレンドなどにも触れながら、その技術の未来やエイチームの事業との親和性などについて比較的長いスパンで話をします。

エイチームコマーステックのメンバーとの1on1では、エイチームコマーステックならではの未来の話をすることもあります。他の事業とは違いリアルな商品を扱っているので「商品の管理の仕方や棚卸しを人の手ではなくカメラやIoTのデバイスを駆使してできないか?」ですとか、新たなサービスであるドッグフードEC「Obremo(オブレモ)」については「グラム数の変化を自動で把握できるようなデバイスはないか?」など独自の話が展開されます。

1on1ミーティングに対する向き合い方の変化

目的を言語化できなかった導入期

エイチームが最初に1on1ミーティングを実施したのは、今から10年以上前だったと思います。「30分、何話す?」というレベルからのスタートでした。「特に話すことはないです」「じゃあ、今日はやめておこうか」といったこともあったかもしれません。私自身も1on1に対する理解が浅く、当時は1on1を実施する目的も自分の言葉で表現できませんでした。

「信頼関係を築くため」程度のことは言っていたと思いますが、なぜ信頼関係を築く必要があるのか、そのために30分をどう使うのかについては言語化できなかったのです。内容も自分が言いたいことを言うだけだったり、業務連絡だけだったり、今のように有効な時間ではありませんでした。

向き合い方を変えるきっかけになったメンバーの声

メンバーから「1on1の時間が憂鬱です」「何を話せばいいのかわからない」といった不満の声が上がっていることも間接的に聞きました。エンジニアの視点で言うと、開発の時間を削って効果的ではない1on1を行うことは生産性を下げる行為であるとも言えます。生産性を下げる行為を毎週のように行っていることが事実となってしまうとメンバーも嬉しくないですし、私自身も嬉しくありません。

そうならないためにも、1on1ミーティングのあり方を根本から捉え直してみようと考えたのです。その決意をきっかけに、1on1との向き合い方が変わっていきました。

1on1は日常ではない特別な時間

その当時、私はマネージャーだったのですが、まずは自分がなぜマネジメントをしているのか、マネージャーとは何なのかというところまで立ち返りました。考えた末にたどり着いた結論が「企業は成長していかなくてはならない。企業の成長のためには、事業が成長しなくてはならない。事業が成長するためには、人が成長しなくてはならない。人が成長するためには、組織、メンバーが成長し続けることが必要だ」というもの。それを踏まえて、自分がマネージャーとしてどんな立ち居振る舞いをしていくべきか、1on1ミーティングをどう捉えるべきかを考えていきました。

1on1もマネジメントの一つですが、何よりも大事なのは日常です。メンバー、チームの日常をマネージャーとして見ていることが大前提。その中で1on1は、日常ではない特別な時間です。故に、スペシャルティがあるものにしたいと考えたのです。

「1on1特集」のシリーズはこちらからご確認ください

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