コラム

2025/06/19

【社員インタビュー】リスクを抑え、チャンスを逃さない。絶妙な“攻守バランス”でビジネスの成長を支える法務・コンプライアンスG

【社員インタビュー】リスクを抑え、チャンスを逃さない。絶妙な“攻守バランス”でビジネスの成長を支える法務・コンプライアンスG

エイチームグループは多様な事業を展開するIT企業として、世の中に様々なサービスを創出しています。企業の持続的な価値向上に加え、各事業の成長に向け、企業法務の役割は非常に重要です。また、近年は企業活動におけるリスク管理の重要性が増しています。今回は、管理部 法務・コンプライアンスグループの皆さんを取材しました。グループの役割やミッションに加えて、エイチームの法務ならではの特徴や魅力、エイチームの法務が求める人物像などについて聞きました。

エイチーム 管理部 法務・コンプライアンスグループ 橘田 拓也さん

関西出身。これまでに自営業、公務員、企業法務など様々な業種・職種を経験。管理部の統括など、主にバックオフィスの業務を担当してきた。エイチームには、2022年に入社し、当社で企業法務全般を担当。1年ほど離職を経て復帰(アルムナイ)。現在は法務・コンプライアンスグループに所属し、法律の専門職としてエイチームのビジネスを支えている。
※本インタビューは、グループを代表して橘田さんにお話を聞きました。

法務・コンプライアンスグループの役割とミッション

法務の力で事業を前進させる

私たち法務・コンプライアンスグループの役割は、法務のサイドからエイチームの事業活動を支えることです。具体的には、事業がスマートに進むように未然にトラブルを防ぐ「予防法務」、会社法などを遵守して円滑な組織運営を実現する「組織法務」、トラブルが生じたときに的確かつ迅速に解決する「臨床法務」、企業の戦略を推進して会社の成長を実現する「戦略法務」、以上の4つに分かれます。

リスクを防ぎ、ビジネスの可能性を広げる

ミッションは、大きく2つの機能に整理できます。一つは「ガーディアン機能」です。これはとてもクリティカルなものであり、取引内容や規制などに関わる法的リスクを洗い出し、特定・明確化し、そして適切な対策を講じることで、トラブルを未然に防ぐ重要な役割を果たします。

もう一つは「パートナー機能」。法的リスクの把握にとどまらず、法律の専門家として「何ができるのか」「どうすれば実現できるのか」といった打開策や代替策を社内に提案し、ときには事業の可能性を広げるための戦略的なナビゲートや助言を行う機能です。

これら2つの機能を、どちらかに偏ることなくバランスよく発揮していくことが大切です。

コンプライアンスの強化に向けた取り組み

また、コンプライアンスの強化や啓蒙に向けた取り組みも当グループで積極的に推進しています。「コンプライアンス」とは、平たく言うと、単なる法令遵守にとどまらず、事業活動を進めるうえで“悪いことをしない”という姿勢全体を指しています。つまり、マナーやモラルといった部分も、当然ながら大切にしなければならないということです。

そのためには、まず「何が良くないことなのか」を正しく理解し、認識することが重要です。私たちのグループでは、社員一人ひとりの意識を高めるために、定期的な社内研修などを通じた教育・啓蒙活動を行っています。

コンプライアンスを考えるうえで重要なものは、経営理念や企業文化・風土です。エイチームの経営理念にある「幸せ」の体現に向けて「真面目で誠実な対応」「正しい行いをする」という価値観が浸透しているようにも感じます。そして、エイチームのカルチャーとして、風通しの良い職場環境と社風が実現できているからこそ、「隠す」「言い訳する」「自分ひとりで抱え込む」といったことが少なく、報告・連絡・相談を行いやすいという心理的安全性が確保できているのだと感じます。これは、コンプライアンスの大きな礎となっているように思います。

定期ミーティングでチームビルディングを強化

現在、法務・コンプライアンスグループはマネージャー1名、メンバー3名(うち弁護士1名)の計4名で構成されています。マネージャーのもと、各法務メンバーはエイチームグループの各事業を役割分担して担当しています。エイチームグループは多角的な事業を展開しており、法務メンバーそれぞれに得意領域が異なります。そのため、密に情報を共有し合ったり、相談し合ったり、ディスカッションしたりする定期的なミーティングの場を設けるようにしています。

そうした定期ミーティングには、法務メンバーひとり一人のスピーディなスキル向上や、単独で解決が難しい問題への早期対応を促進する目的もあります。また、その実施は、チームビルディングの強化にもつながっています。

多岐にわたる法務業務で会社の成長戦略をサポート

トラブルを未然に防ぎ、事業環境を整える

私たちが対応する業務の中でも「予防法務」における「契約法務」は、主たる業務の一つです。具体的には、取り決めた実取引の内容が正しく反映されているか、不適切に反映されていないか、また、取り決めるべき内容が漏れていないか、これらを確認する契約レビューを中心に行います。加えて、契約ドラフトの作成、契約を効率的に進めるための契約スキームの検討、契約交渉、締結済みの契約データベース管理、取引相手に関する反社会的勢力に関する調査、適正かつ確実に契約業務を進めるための稟議システムや電子契約システムの管理・運用業務など、業務範囲は多岐にわたります。いずれもトラブルを未然に防ぎ、事業を円滑に進められる環境を整えることが目的です。

また、個人情報保護法、景品表示法、フリーランス新法、消費者関連法などの各種法令に対して「こうしたらいけないよ」「こうしたらいいよ」と事業部のメンバーなどにアドバイスすることも大切な業務です。その他、インシデント・アクシデント対応、知的財産権の一括管理業務、M&A業務対応などを実施しています。

法務を通じて「売上向上支援カンパニー」への変革を推進

エイチームグループは、新たな成長戦略として「売上向上支援カンパニー」への変革を掲げています。最近は、M&Aなどの経営戦略的なコーポレートアクション推進に関わる業務を担当する機会も増えています。4つの役割で言うと「戦略法務」の領域になりますが、新規事業の開拓やM&A・業務提携による成長、知的財産戦略など、あらゆる成長戦略を法務面からサポートしています。

また、エイチームグループは“Ateam Purpose”として「Creativity × Techで、世の中をもっと便利に、もっと楽しくすること」のもと複数の事業を展開しており、各事業のシナジーを生みやすい環境にあるといえます。その中で最適なシナジー効果を追求し、M&Aをベースに様々な成長戦略の検討が進んでいます。私たち法務・コンプライアンスグループは、関連契約の交渉や法務デューデリジェンスの実施などを通じて、確実かつ円滑な成長を支えていると自負しています。

リスク管理への対応も実施

様々な情報を有効活用して事業活動しているエイチームグループにとって、主要なリスクといえるのが情報セキュリティリスク、とりわけ「顧客情報」の取扱いに関するリスクです。また、インターネットビジネスが中心なので、デジタル広告を配信する際の「表示」関連の法規制リスクも意識しなければいけません。

そうした法的リスクをはじめ、エイチームグループが直面すると思われる法的リスクに対して、全社員向けの勉強会を実施したり、業務マニュアルを策定・公表したりしています。さらには、法的リスクのみならず、より確実で実効的なリスク管理を実現するために、リスク管理委員会の設置などリスクマネジメントの仕組み化を進めています。

事業部とリレーションを構築するために必要なこと

法務は、事業活動を進めるうえでの役割の一つ

エイチームのコーポレート部門の中で、法務・コンプライアンスグループはビジネスモデルやマネタイズのスキームといった事業の中核に直接関与できる唯一の部署だと言えます。法務面から、事業の成長や新規プロジェクトの推進、適切なサービス提供に「確実性」を持たせること、「安定」させて「効率化」を実現すること、そして「加速」させることが私たちの価値です。法務は独立した専門的な領域というよりも、みんなで効率的に事業活動を進めていくための役割の一つだと考えています。

「信頼に足る人間性、安心感」があるかどうか

一般的に、法務という部署や職種に対して「堅苦しい」「近づきづらい」といったイメージがあるかもしれません。「法務は、みんなで効率的に事業活動を進めていくための役割の一つに過ぎない」と考えると、法務メンバーが「堅苦しい」「近づきづらい」存在ではなく、いつでも気軽に依頼や相談してもらえるパートナーになることが重要です。

肝心なのは、私たち自身に「信頼に足る人間性」や「安心感」があること。当然、法務の知識や信頼できる言動、正確なアドバイスなどは必要ですが、それ以上に、チャーミングであり、ユーモラスであり、オープンマインダーといった魅力的な人間性を備えているべきだと思っています。

そのために、些細なことですが、テキストでのコミュニケーションでは文末に「。」ではなく「!」を使ったり、意識的に顔文字を使ったりしています。また、事業の感想を会話に入れるなど「自分たちの事業に興味・関心があるんだ」と思ってもらえるコミュニケーションを行うようにもしています。その他、テキストでのコミュニケーションが長引きそうなときは対面に切り替えるなど、「堅苦しい」「近づきづらい」イメージを払拭することを心がけています。目指しているのは「いつでも身近にいて、安心して相談でき、頼りにできる」と思ってもらえること。そんな「かかりつけの医者」のような存在になりたいと考えています。

事業担当制だから、事業を深く理解できる

事業部とリレーションを構築するためには、事業の理解も必要です。時間が限られている中、自分たちが効率的かつ的確に理解を深める、また事業部のメンバーが工数少なく効率的に相談や依頼ができるようにするために、事業に関してまとめてほしい情報を5w1hで提供してもらうようにしています。また、お伝えした通り、組織は事業ごとの担当制で、一人の法務メンバーが一つの事業に対して一気通貫して対応するようにしています。

新しい施策を検討する際も、既存の取引先と契約更新する際も、同じ法務メンバーが担当します。事業担当制にすることで事業の理解も深まりますし、事業部との連携もスムーズに進めることができます。

エイチームの法務ならではの特徴と魅力

事業部や経営者と近しい関係性で仕事を進める

様々な事業に触れられることは、エイチームの法務ならではの特徴だと思います。法務の従事者として取得すべき知見やスキルを、早期に、かつ、広く深く習得できる環境があります。また、事業部のメンバーや経営者とも距離が近く、自分事化しやすい環境にあり、「事業を一緒にやっている」という感覚を常に持てる点も特徴の一つだと言えます。プライム上場企業という社会的な責任と役割を追う組織体ではありますが、何か問題が発生しても、近しい関係性の中で仕事をしているので、スピード感を持って、実効的に対応することができます。

法務メンバー全員の高いパフォーマンスと当事者意識

少数精鋭の法務メンバーで運営しているところは、私たち法務・コンプライアンスグループの魅力だと思っています。一人ひとりのパフォーマンスが高く、お互いに刺激を受けられるとともに、相談し合える、共に解決に向かえる環境があります。また、全員が自分事化を当然とし、当事者意識を持って、事業部に寄り添う姿勢がある点も魅力に感じています。冒頭で2つの機能の話をしましたが、実は意外と忘れられがちな「パートナー機能」もしっかり果たそうとする法務メンバーばかりで、そんな仲間たちと働けることに日々喜びを感じています。

エイチームの法務が求める人材とは

当事者意識が持てる人、相手に興味が持てる人

エイチームの法務・コンプライアンスグループに向いている人は、当事者意識が持てる人です。私たちの仕事では、相談をされるケースが多いです。そのときに肝心なのは、相談相手の疑問や不安を自分事として捉えられること。他人から相談された、他人のことを解決しよう・・・ではなくて「自分だったらどうするか?」と考える。誰でも、自分のことなら一生懸命になると思います。相手の相談を自分事と捉えて、一緒に解決しようする姿勢が大切です。そういう意味では、相手に興味が持てる人が向いているとも言えます。

事業運営への想像力があると嬉しい

法務を担当するので法律の知識があることは大前提ですが、加えて、事業を知っている人、事業について想像できる人を求めます。私たちは法的リスクのプロです。たとえ自分が経験していない事業領域でも、どんな法的リスクがあり得るのかを想像できる想像力や、想像しようとする姿勢がある人が理想です。事業を経験している人、想像力がある人が仲間として加わると嬉しいです。

自ら行動できる「セルフスターター」

また、一定レベルの「セルフスターター」であること、つまり、指示を待たずに自ら行動できる人であってほしいです。もちろん、法務・コンプライアンスグループの法務メンバーに、いつでも気軽に相談できる環境はあります。しかし、事業の展開・成長スピードが早いエイチームグループにおいて、事あるごとに相談するスタンスでは、相談するほうも相談されるほうも困ってしまいます。

一定レベルの「セルフスターター」になるためには、3つのスキルが必要だと考えています。一つは、先ほど少し触れた法的リスクや検討漏れなどに敏感に反応できる「豊かなイマジネーション力」。もう一つは、やろうとしていることなどを可視化し、明確にできる「ドキュメント作成力」。そして、最後は繰り返しになりますが、ユーモラスでチャーミングな魅力があり、この人になら相談したい、任せたいと思わせる「人間力」と、法律や契約、世の中、人の行動特性などに関する「豊かな知識や経験」です。以上のスキルを持っており、それらを活かして自ら行動できる人が望ましいです。

グループの今後のミッションと目標

リスク対応を強化して成長戦略をサポート

先ほども少し触れましたが、エイチームグループでは新たな成長戦略である「売上向上支援カンパニー」への変革を進めており、その一環としてM&Aを精力的に実施しています。エイチームグループにジョインいただく企業が増えることで既存事業とのシナジー効果や、新たな企業文化との融合により成長戦略を推進していく一方、コントロールすべきリスクの量と種類も増えています。暗号資産、生成AIなど様々なジャンルがありますが、関係法令を熟知して、うまくリスクと付き合いながら、エイチームグループの成長戦略をサポートしていくことが、今後の大きなミッションであると考えています。

法務メンバーのレベルアップと社内への教育

グループとして、法務メンバーひとり一人のさらなるレベルアップを図りたいと考えています。しかし、法務メンバーのレベルアップだけでは、企業活動において、法的リスクを完全に洗い出し、予防するには限界があります。

マネタイズの第一線にいる事業部のメンバーの方々に、ある程度の法務リテラシーを身につけてもらうことも必要になってきます。法務教育や勉強会の開催など、そのために法務メンバーが事業部のメンバーに対してできることは山のようにあると思います。そうした取り組みが、結果的に都度の迷いや相談といったムダ・ムリ・ムラを減らし、事業を確実に、安定かつスピーディに進められることにつながると信じています。これらの取り組みも同時に進めていきたいと考えています。

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