コラム
2026/04/09
【対談インタビュー】『PUSH ONE』を展開するシグニティ社がエイチームグループにジョイン!社長と創業メンバーが見据える今後の事業成長と展望。
2025年11月20日、プッシュ通知サービス『PUSH ONE』、プッシュ型広告サービス『スマホロック画面広告』を展開する株式会社シグニティがエイチームグループにジョインしました。エイチームが成長戦略として掲げる「売上向上支援カンパニー」への変革へ向けて、共に歩んでいきます。
WEBマーケティング領域で強みを持つシグニティ。そして、デジタルマーケティング領域を中心に成長戦略を推進するエイチーム。共にビジネスをスケールさせていくにあたり、これまでの経緯や今後へ向けた想いなどについて、シグニティの代表取締役社長・柴田健介さんと創業メンバーである笠原俊さんにお話を聞きます。
【プレスリリース】エイチームHD、プッシュ通知サービス「PUSH ONE」を運営する株式会社シグニティを完全子会社化
柴田 健介さん 株式会社シグニティ 代表取締役社長
2009年、新卒でエイチームに入社。エンターテインメント事業 マーケティンググループに所属し、自社サービスのプロモーションに従事。2012年には自ら企画した「ZeroApp」のプロジェクトリーダーとして新規サービスの立ち上げを行う。その後、メディアサービス部の部長、マーケティンググループのマネージャーなどを歴任し、2019年にIncrements株式会社(現Qiita株式会社)の社長に就任(現任)。2025年11月には、エイチームグループにジョインした株式会社シグニティの代表取締役に就任。(写真:左)
笠原 俊さん 株式会社シグニティ 取締役
大学で情報工学を学んだ後、大手電気通信会社でネットワークエンジニアとして経験を積む。その後、NPO法人を立ち上げるなど様々なキャリアを経て、ベンチャー企業で『PUSH ONE』の前身サービスを立ち上げ。2018年、株式会社シグニティを共同設立する。現在は、取締役として、同社の経営の他、マーケティングソリューション部を所管。(写真:右)
『PUSH ONE』が生まれるまで
Q:シグニティを創業するまでの笠原さんの経歴を教えてください。
キャリアのスタートは、学費を稼ぐためのネットワークエンジニア

笠原:
高校まで本格的にサッカーに打ち込み、ガンバ大阪ユースにも在籍していました。プロを目指していたのですが、周りの実力に圧倒されプロを諦めて大学へ進む道を選びました。大学へ進学してサッカー以外の道をじっくり考えようと思ったのですが、ちょうどその頃、阪神淡路大震災を経験して「人の助けになりたい」という想いが芽生えたんです。そのとき同志社大学に知識工学科という学科が新設されて、人の助けになるかもしれないと考えて進学を決めました。
当時は、大学で学びながらスポーツに関わりたいとも思って、一時はスポーツトレーナーを目指そうと考えていました。その学費を稼ごうと就職し、入社した会社でネットワークエンジニアとして働き始めたんです。7年ほどガラケーのネットワーク構築を担当しました。その後、転籍の話をきっかけに改めて今後のキャリアについて考えたときに、「今からスポーツトレーナーを目指すのは現実的ではないかもしれない」と感じました。そこで、引き続きエンジニアとしてキャリアを積んでいく道を選びました。
新規サービスの立ち上げで、ユーザーへの提供価値を考えるように

笠原:
その後、携帯電話でアプリを実行するためのプラットフォームの立ち上げに携わりました。技術だけではなくて、「お客さんにどのように価値を伝えていくのか?」などサービスのブランディングにも関わる中で「お客さんに近いサービスに携わりたい」と考えるようになりました。それでベンチャー企業に転職し、ユーザー向けサービスのネットワーク構築に携わることになったんです。
その会社は、優秀な人や驚くような経歴を持っている人たちが集まっていて、そんな刺激的な環境で仕事ができたことも良い経験になりました。ただ、ITバブルが崩壊して、その会社の経営も厳しくなった時に「会社に所属するのではなく、自分でどこまでできるのか勝負してみよう」と思い立ったんです。

自分の限界突破への挑戦、再びベンチャーへ、そして「PUSH ONE」の誕生

笠原:
新たな勝負の場として選んだのが、子どもの成長をサポートするNPO法人の立ち上げでした。これまでの経験を活かしてサッカースクールの運営などを行ったのですが、思うように進まないこともあって法人を離れて、もう一度ベンチャーの会社にジョインしました。
そのベンチャー企業は、海外ソフトを日本向けに展開し、メーカーへプリインストールの提案・販売するライセンス事業を展開していました。事業が成長していき、他社と合併して上場も果たす中で、私を含めた一部の人たちで「新しい挑戦をしたい」という機運が高まりました。そのメンバーで新たな会社を立ち上げて、そこで『PUSH ONE』の原型となるサービスを始めたんです。
サービスを伸ばしていくために会社を設立しました。サービスのリリースは2015年。当時は「プッシュ通知」の機能自体あまり知られていませんでした。それが何たるかを説明する必要もあってスタートの時期は苦労しました。
Q:『PUSH ONE』を展開していくにあたり、どこに勝ち筋を見出したのでしょうか。

笠原:
世の中に知られていないサービスを始めるときは、大手企業との取引実績をつくることが重要です。その点、私たちはコネクションを活用できたこともあって、大手の新聞メディアにサービスを利用いただくことができました。最初は、当該メディアのWEBサイトに動画の広告を掲載する形で始まりました。その後に通知の機能を加えたんです。
大手企業との実績が作れたことで、その後はスムーズに取引を拡大することができました。世の中のプッシュ通知に対する認知も進み、サービスの説明がしやすい状況にもなっていきました。そんな流れもあって、大手だけではなく中規模のメディアや地方の新聞社などメディアを中心に取引先が順調に増えていきました。

柴田:
当時は、ウェブマーケティングの分野も競争が激しかったと思います。どのような戦略で進めていったのでしょうか。

笠原:
WEB接客系のサービスも競合として登場していましたが、市場はすでにレッドオーシャン化しており、自社の規模では戦いにくいと感じました。ここは、プッシュ機能のサービスに特化しようと。プッシュ機能に特化しながら、大手企業とも協業できるところは少なく、その点も競合優位性につながったと考えています。
他社との連携による事業成長の歩み
Q:2022年、シグニティはM&AによりRoad社にジョインしました。その経緯を教えてください。

笠原:
プッシュ通知サービスの「PUSH ONE」は、会社として売上目標は達成していました。大手との実績も増え、次は「スマホロック画面広告」を広げていこうと考えたんです。しかし、それを実施していくには営業強化に向けたビジネス領域の人材が不足していました。そこで、営業力の強いRoad社と連携し、「スマホロック画面広告」をより広く展開していこうと考えたんです。
「スマホロック画面広告」とは、スマートフォンのロック画面上に広告を表示させ、ユーザーに向けて1to1でプロアクティブに広告配信ができるプラットフォームです。


柴田:
「スマホロック画面広告」は、「PUSH ONE」を活用して新たなビジネスを展開できないかと考えて立ち上げたサービスですよね。

笠原:
はい。検討を重ねたうえで立ち上げたのですが、新しい商材だったため、どのような影響が出るのか手探りの状態でした。プラットフォームとして、広告枠を提供するメディア、広告主、そしてユーザーにとって、最適なスキームにするために熟考の末、広告配信の仕組みに関して特許を取得しました。その他にも、様々な試行錯誤のうえ、「スマホロック画面広告」のプロダクト改善や営業強化に向け、取り組みを進めていきました。
Q:エイチームにジョインすることが決まったとき、どんなことに期待をしましたか。

笠原:
エイチームグループは多様なサービスを展開しており、グループ内でさまざまな連携ができそうだと感じました。シグニティのサービスはブラウザベースで提供しているため、エイチームのように大規模なサイトを運営している企業のノウハウや、サイト収益化のスキル、さらにはお客様目線の知見をサービスに反映できるのではないかと考えていました。
また、Qiitaには以前から当社のサービスを継続的に利用していただいていたため、今後はさらに一緒に取り組めることを見つけて、進めていけたらと感じていました。以上は、ジョイン前に抱いていた印象です。

柴田:
Qiitaのサービス特性上、やはり継続的なユーザーが多くご利用いただいていることもあって、「PUSH ONE」のようなサービスとの相性は非常の良いと感じています。笠原さん、実際にジョインしてみて、どんな印象を持ちましたか。

笠原:
現在、『引越し侍』『ナビクル』『ハナユメ』でシグニティのサービスを使い始めてもらっています。グループ内で実際に使ってもらい、検証できるのは非常に良い流れだと感じています。
また、実は、エイチームのことはよく知りませんでした(笑)。サービスは知っていたので「ああ、あのサービスを運営している会社なんだ」というのが最初の印象です。現在の印象としては、とても働きやすい環境だと感じています。エイチームはしっかりした方が多く、さまざまなメンバーと関わる中でもそれを強く実感しています。それに比べると、シグニティはまだまだベンチャーらしいところが多いなぁと感じます。

“テック企業”へ向けて、さらなる進化を
Q:シグニティがエイチームグループに入ったことで、どのようなシナジーを期待しますか。今後の計画や具体的な取り組みがあれば教えてください。

柴田:
既に『引越し侍』『ナビクル』『ハナユメ』で導入し始めていますが、シグニティはエイチームグループが展開する事業にとってプラスになる施策を提供できると考えています。たとえば、エイチームが展開する比較サイトでユーザーの再訪率を高めたり、既に「PUSH ONE」を導入しているQiitaにおいて、お互いの連携をさらに強化することも可能だと思います。一方で、エイチームの既存事業を活用してシグニティの販路も拡大できる。双方にメリットがある連携がしやすいと感じています。

笠原:
シグニティのサービスは、基本的にサイト内にタグを埋め込むだけで活用できます。サイトさえあれば利用できるため、今後はさまざまな形での連携が考えられると思います。また、今後取り組んでいきたいこととして、エイチームグループが展開するサイトにおける「コンバージョン成果をより明確にする」仕組みを検討しています。シグニティとしては、タグを設置してプッシュ配信を行い、ユーザーを再びサイトへ誘導することは可能ですが、現状では成果を保証するのが難しいという課題があります。エイチームグループが展開するサイト上でのユーザー行動データをシグニティ側にも共有してもらえれば、成果が出しやすいユーザー特性を把握し、最適なタイミングでアプローチすることが可能になると思います。同じグループ会社だからこそ、外部サイトでは実現が難しいこうした連携ができると思っています。

柴田:
新しい機能の開発や、より高い成果を生み出せるプッシュ通知の仕組みづくりについては、同じグループ内に既存のメディアがあることで検証しやすいですね。

笠原:
D2Cのサービスでも連携ができると思います。たとえば、「そろそろリピート購入のタイミング」といった成果につながりやすいポイントがあると思います。通知を送る際には「自社ユーザーの中で、今どのユーザーに送るのが成果につながりやすいのか」というポイントを見極められるといいですよね。現在、AIを活用した機械学習によって、そうした最適なタイミングやユーザーを特定できる仕組みの実現を検討しています。これが可能になれば、ECサイトに対して成果を保証できるような形でサービスを提供することもできるようになります。また、『スマホロック画面広告』については、広告主を増やしていくことをKGIとして掲げています。その実現に向けて現在は営業体制の強化に取り組んでいます。
Q:これからシグニティを成長させていくにあたり、現在の想いや今後へ向けた抱負を聞かせてださい。

笠原:
今のプロダクトにとどまらず、新しいことにも挑戦していきたいと考えています。テクノロジーを核に据えた真の“テック企業”へと進化し、優れた技術とプロダクトを生み出す会社になっていきたいです。「PUSH ONE」も「スマホロック画面広告」も自身が立ち上げから関わっているサービスです。もっと育てていきたいという想いは強いですし、そうしなければならないという使命感もあります。


柴田:
シグニティに関わって最初に感じたのは、「本当に良い人が多いな」ということでした。エイチームも人を大切にする会社なので、まったく違和感なくグループに加わってもらえたと思います。これからお互いに良いビジネスをつくっていける、前向きなコミュニケーションが取れると感じています。
シグニティは事業シナジーという点でも非常に相性が良く、展開のバリエーションを広げられる可能性を持ったプロダクトを持っています。エイチームグループ全体の成長をけん引する存在として発展していけたら理想的ですし、シグニティ単体としてもまだまだ伸びしろがあると思っています。せっかくジョインしてもらったこの機会を生かして、力を合わせてさらに成長していければと考えています。