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米景気後退懸念で変動金利は上がらないのか?2022年7月住宅ローン金利動向

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2022年7月の金利予想
住宅ローン金利
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こんにちは公認会計士ブロガーの千日太郎です。

前月までは米FRBの利上げが波及して長期金利が上昇し、これを日銀が指し値オペで抑え込むという状況でした。

しかし直近では米新築住宅販売件数が市場予想を大きく下回るなど米景気への警戒感が再燃し始め、米金利上昇は落ち着いてきています。

この記事では、執筆時点で公開されている「金融市場の動向」と千日太郎が公認会計士として培ってきた金融ビジネスに対する知見をもって推理する「銀行の営業方針」から2022年7月の住宅ローン金利動向を金利タイプごとに予想します。

※当記事の金利や情報は2022年6月4日時点のものを記載しております。
最新の金利情報は、必ず金融機関等の公式サイトをご確認ください。

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米国の景気後退懸念と長期金利の動向

こちらは2022年1月4日~2022年6月3日までのダウ平均株価と米長期金利の推移をグラフにしたものです。

2022年7月住宅ローンの金利予想(ダウ平均株価と米国の長期金利)

2月にはロシアがウクライナに侵攻したことで、金利と株価が一時下がりましたが、すぐに急上昇しています。

これは、米国の急激なインフレ対策として米FRBが0.25%の利上げを実施し、さらに5月には0.5%の利上げが濃厚となったためです。

しかし、5月利上げの前から株価は明らかに下がり始め、金利も一時は節目である3%を超えたものの、すぐに下がって横ばいで推移しています。

金利上昇が止まった決定的な要因としては、各種の経済統計数値が目に見えて下がってきており、金融市場ではFRBが金融引き締めペースを下げるのではないか?という観測が拡大してきているためだと言われています。

特に4月の住宅販売件数が前月比16.6%減と激減しており、2020年4月のコロナショック以来となる低水準であったことが挙げられています。

長期金利の決まり方と米国景気の関係

長期金利とは一般的に10年国債の利回りを言います。利回りとは、投資元本に対する1年あたりの利益の割合です。

例えば額面100円で表面利率1%の10年国債を100円で購入したら1年に1円の利息が貰えて、10年後には額面の100円が返ってくるので、

1年あたりの利回りは1÷100=1%

です。

この10年国債の市場価格が下がって80円のときに購入したら1年に1円の利息が貰えて10年後には額面の100円が返ってきますので、利息に加えて

10年で20円(1年あたり2円)

のキャピタルゲインが得られます。

キャピタルゲインとは

保有している株式や債券などを売却することによって得られる売買差益のこと

1年あたりの利回りは
(1+2)÷80=3.75%

となります。

つまり、

債券の価格が下がると利回り(金利)が上がる関係

にあります。

別の言い方をすると国債の価格と長期金利の関係は負の相関関係にあるのです。

米国の景気への警戒感が強まるとリスク資産とされる株式が売られ安全資産とされる米国債に買いが入ります。

こうして債券価格が上がるため、金利は下がるということですね。

ダウ平均株価が下がっている理由は、米国債を買うために株式が売られているためだと考えればつじつまが合います。

日米長期金利の比較:円安が続く懸念

米FRBの利上げに対して日本では日銀が金融緩和政策を継続しており、長期金利が0.25%よりも高くなりそうになったら(=国債の価格が下がりすぎたら)日銀が国債を買い支えて国債の価格を上げて金利を下げるということをしています。

これを「指し値オペ」といいます。そのため、日本の長期金利は0.25%より上には上がらない状態が続いていました。

こちらは同じ期間の2022年1月4日~2022年6月3日の日本の長期金利の推移をグラフにしたものです。

2022年7月住宅ローンの金利予想(日本長期金利の上限は0.25%)

日銀が金利を上げないようにしているのに対して、米FRBは利上げしているのですから、日米の金利差はドンドン開いていきました。

しかし、前述したように米国の景気後退懸念によって米金利上昇が止まったため、金利差の拡大は止まっています。

こちらは同じ期間の2022年1月4日~2022年6月3日の日本と米国の長期金利の推移をグラフにしたものです。

2022年7月住宅ローンの金利予想(日米金利差の拡大は止まったが…)

ここ最近の円安はこの日米の金利差が主な原因です。

利回りに差が生じると、投資家としては日本円よりも米ドルをもっている方が得だということになり、円を売ってドルを買う動きが活発となります。

これによって最も金利差の広がっていた5月の上旬では1ドル130円台にまで円安となっていましたが、最近は129円以下の水準に落ち着いてきています。

円安は輸入企業にとって経費増となり、わたしたち一般消費者も輸入品の価格が上がることで家計が圧迫されます。

日米の金利差の開きが止まり、急激な円安の進行が止まったことは朗報なのですが、問題はこの円安水準が今後も長く続きそうだということです。

帝国データバンクの調査によると年内に値上げされる品目数は1万品目を超えるそうですが、これは円安が一時的なものではなく今と同水準の円安がこれからしばらくは続くだろうという観測によるものです。

米欧が利上げするなかで日本だけが利下げを続けるという状況が変わらない限り、今の円安傾向が長く続くとすれば、国内景気のさらなる悪化をまねく懸念もあります。

国内景気と為替の状況によっては円安の原因となっている金融緩和政策を転換する可能性もくすぶっています。

一方で日銀には米国のように思い切って利上げできない現実もあります。

米国でさえ、利上げによる住宅ローンの金利の上昇で新築住宅販売件数が大幅に下がり景気後退懸念につながったのです。

未だ景気の上昇局面に入ってもいない日本で同じ方法はとれません。来年は黒田総裁の任期満了となりますが、市場からはそこで何等かの政策転換が期待されています。

次期総裁が政策を転換する、又は政策を転換しうる人が次期総裁に指名される可能性があると思います。

銀行の営業方針:米国の景気後退懸念で変動金利は上がらないのか?

民間銀行の住宅ローン(長期の固定金利)は2022年2月から2022年5月にかけて連続して上昇を続けましたが6月には5カ月ぶりに下がりました。

さらに変動金利については、期間限定のキャンペーンで金利を引き下げる銀行も出てきています。

日本の長期金利は前月からほぼ横ばいです。長期の固定金利が下がった要因は米国の景気後退懸念から米長期金利が下がり始めた影響が大きいと見ています。

この米国利上げによる景気後退と住宅販売数の減少を引き合いに出して変動金利が上がらないと考える人もいるかもしれませんが、この予想の賞味期限はギリギリ年内までだと思います。

わたしがこのように考える理由は10年固定金利がまだ高い水準を維持しているためです。

銀行は現時点で数年先の利上げシナリオを捨てていません。

固定金利はその固定期間にわたって金利を固定するため、将来金利が上昇するという観測下では高めに金利を設定しておかなければ、将来銀行が損をしてしまうということになります。

10年以内の短期間金利を固定するタイプはそうした銀行のホンネが金利に現れやすい金利タイプです。

なお、変動金利は6か月ごとに金利を上昇させることができる金利タイプであるため、実際に日銀が利上げをしてから上昇させれば良いのです。

金利タイプ別2022年6月の金利予想

では、金利タイプ別に2022年7月の金利がどうなっていくのか予想していきます。

6月4日までの公開情報を前提とした予想になります。

【金利タイプ別】
2022年7月の金利予想

公的融資フラット35の金利動向

こちらは、公的融資で30年超の超長期固定金利であるフラット35(買取型)の金利と長期金の推移を2022年4月から2022年6月までとったものです。

日銀の指し値オペによって長期金利は0.25%以上にはならないため、フラット35の金利も頭打ちになっています。

2022年7月住宅ローンの金利予想(フラット35(買取型)と長期金利)

フラット35の金利は前月の中旬に決まります。その時点に青い棒グラフのフラット35(買取型)金利を立てています。

(機構債発表日)4月金利
(2022年2月17日)
5月金利
(2022年4月20日)
6月金利
(2022年5月20日)
長期金利0.20%0.24%0.20%
機構債の
表面利率
0.46%0.50%0.50%
フラット351.44%1.48%1.49%

フラット35は、下図のように住宅金融支援機構が民間金融機関から債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて機構債という形で販売するという仕組みになっています。

フラット35の仕組み

この機構債は毎月20日前後に表面利率を発表し募集します。

投資家たちは機構債を安全資産という考えで購入しますので、その表面利率は10年国債の利回り(長期金利)に連動する傾向があるのです。

2022年5月から6月にかけては長期金利が横ばいで機構債の表面利率も横ばいでしたが、フラット35の金利は0.01ポイントの上昇となりました。

住宅金融支援機構は独立行政法人であり、営利を目的としておらず、独立採算制の前提を取っていません。

儲けのために金利を上げるということはありませんので、5月の金利上昇の背景には明確に金利を上げるという意思があると見ています。

だとするならば、長期金利が0.25%で横ばいであってもまだ上がり代があるでしょう。

フラット35(買取型)の金利は横ばい又は1.5%まで上がる可能性があると予想しています。

民間の超長期固定金利の動向

民間住宅ローンの30年以上の超長期固定金利については、過去からみずほ銀行が低金利でしたが4月から三菱UFJ銀行が35年固定を目玉商品として金利を下げてきており、6月にはりそな銀行が1.195%という驚きの低金利商品を出してきました。

さらにauじぶん銀行が期間限定キャンペーンで35年固定金利を引き下げるなど、超長期固定金利をステージとして主要銀行が低金利競争を開始しています。

これらの民間銀行の超長期固定金利は今後の低金利競争によって下がる可能性があります

20年前後の長期固定金利の動向

20年固定は去年までは複数の主要銀行で低金利競争が行われていたのですが、米利上げに伴って長期金利が上昇すると、20年固定から撤退する銀行が相次ぎました。今は事実上auじぶん銀行だけとなっています。

そのため、長期金利が下がることによって下がる可能性が無いわけではありませんが、他行との競争が乏しいなかであえて金利を下げるインセンティブは少ないだろうと見ています。

10年前後の中期固定金利の動向

ここ数年の10年固定金利は概ね下がり続けてきたものの、2022年5月は大幅上昇となり、6月は0.8%から0.9%あたりの水準になっています。

日銀の利上げの可能性は五分五分であっても、いざ金利が上がった場合も10年は金利を固定しなければならないということもあり、金融機関としてはあまり低金利の設定ができない金利タイプになっています。

そのため、今後一時的に長期金利が下がったとしても金利が下がりにくいだろうと見ています。

変動金利の動向

変動金利は、長期金利ではなく中央銀行の政策金利に影響を受けます。政策金利とは、中央銀行が民間銀行に融資するときの金利です。

景気後退時には政策金利を下げ、好景気時には政策金利を上げます。

前述したように日銀は金融緩和政策の継続を表明しており、米国も景気後退懸念が出てきているなかで日銀が政策金利を上げる可能性は無いと思います。

2022年7月の主要銀行の変動金利は横ばいで推移するでしょう。

まとめ~先行きの不透明な局面では無理のない返済計画を

円安の影響もあって6月からは多数の生活必需品の価格が上昇しています。

一般の人の家計にとっては逆風が吹いています。金利の動向については、さまざまな憶測がインターネットに流れていますが、基本的に金融市場の金利動向は誰にもコントロールできませんし、それによって決まるとされる住宅ローンの金利は債権者である金融機関が決めるものです。

変動金利は来月に上がるという可能性はありませんが、数年というスパンでは上がる可能性のあるものですし、固定金利で考えている人は、住宅ローンの実行時点では、今よりも金利が上がっている可能性があります。

金利が想定外に上昇したとしてもある程度吸収できる、無理のない資金計画を立て、実行していく必要があります。

住宅ローンの返済計画は無理せず、出来るだけゆとりのあるものにするようにしてください。

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