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安倍元総理の死去に影響とは?円安と日銀の政策にかかってくる2022年8月住宅ローン金利動向

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2022年8月の金利予想
住宅ローン金利
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こんにちは公認会計士ブロガーの千日太郎です。

8日の金曜日に起きた安倍元総理の銃撃と死去は大きな衝撃でした。ご冥福をお祈りします。

週を明けての国内金利は変わらない一方で、ドル円相場は137円と急激に円安が進んでしています。

この円安の主因となっているのは安倍元総理の名前を冠したアベノミクス3本の矢の一つである金融緩和政策です。

特に住宅ローンの変動金利は日銀の政策金利の影響を強く受けるため、これから変動金利を選ぶ人、既に変動金利で借りている人にとっても目が離せません。

この記事では、執筆時点で公開されている「金融市場の動向」と千日太郎が公認会計士として培ってきた金融ビジネスに対する知見をもって推理する「銀行の営業方針」から2022年8月の住宅ローン金利動向を金利タイプごとに予想します。

※当記事の金利や情報は2022年7月12日時点のものを記載しております。
最新の金利情報は、必ず金融機関等の公式サイトをご確認ください。

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円安をめぐる日銀VS世界の投資家の行方

世界の中央銀行は政策金利を急速に引き上げています。

インフレが広範囲かつ持続的なものとなったためです。これとは対照的に日銀の黒田総裁は政策金利を低く据え置く緩和政策を堅持しています。

世界の投資家は利回りの低い円を売り、利回りの高いドルやユーロを買う動きに出ました。現在の円安水準は日銀が世界の中央銀行とは真逆の金融緩和政策を維持していることから生じています。

円安によって輸出産業の為替差益が増加します。特に輸出を収益の柱とする大企業の業績回復を背景として、2021年度の国の税収は67兆円と2年連続で過去最高額を更新したそうです。

こうした事実を見ると円安はトータルでは日本経済にプラスの影響を与えていると考えられます。

しかし円安のプラス効果が少ない個人や輸入産業にとっては、ドル建ての食料・エネルギー価格の上昇による悪影響を受け続けることになります。

円安がマズイからと言って、日銀が利上げを行い円安にブレーキをかけようとすれば、金利と為替の両面から景気を悪化させてしまうことは明白です。

もし利上げするのであれば政府の補助金などで中小企業や低所得層への支援とセットで行うこととなるでしょう。

また、円安進行の先にある日銀の利上げを見越した投資家による投機にも注目が必要です。

6月半ばには、米FOMCの0.75%という通常の3倍となる大幅利上げを見て、日銀の金利引き上げが近いのではないかと考えた海外投資家によって大量の日本国債売りが行われました。

これによって長期金利は日銀が設定した上限の0.25%を超えることとなり、私も長期金利のグラフを二度見するほど驚きました。

2022年8月住宅ローンの金利予想(日本長期金利の上限は0.25%)

これに対しては日銀が7.5兆円もの国債を0.25%の指し値オペで購入したことで、収まっています。

日銀の黒田総裁は2023年4月に任期満了となりますが、今のところ世界との金利差の拡大を容認していますので、さらに円安が進むことになるでしょう。

しかし、いずれ円安に耐えられずブレーキをかけるための利上げに踏み切る可能性も無いわけではありません。

今後も日銀の利上げ可能性を強く示唆するような事象が発生すれば、このような投機がより大規模に発生することが予想されます。

日銀の出口戦略を阻む世界経済の減速懸念

いずれにしても、日銀は金融緩和政策の出口に向けた戦略を立てておく必要があるのですが、日本では未だ米国などにみられるような需要の強さを背景とするインフレは発生していません。

日本の物価が上がっている主な要因は原油高などの供給面のショックによるものだからです。

今後は、コロナ禍からの経済活動再開に伴う需要刺激効果も期待される一方で世界的にはインフレ率の低下、経済の減速が予想されています。

こちらは2022年4月1日~2022年7月11日までの日経平均株価と長期金利の推移をグラフにしたものです。

2022年8月住宅ローンの金利予想(日経と平均と日本の長期金利)

青い折れ線の長期金利は指し値オペによって概ね0.25%を少し下回る水準で推移しています。

これに対してオレンジの折れ線の日経平均株価は6月のなかばまでは上昇しましたが、6月のFOMCで0.75%の利上げが決まってからは、米国の積極的な金融引き締めを背景に世界景気後退の懸念が広がり、株価は大きく下がってその後も右肩下がりとなっています。

さらに米債券市場では景気後退の予兆とされる逆イールドが発生しており、世界景気の後退懸念はさらに色濃くなってきています。

このまま日本が利上げのタイミングを計っているうちに、世界経済が後退フェーズに入り、あるいは不況入りになってしまうと日銀の利上げはいよいよオアズケとなってしまうでしょう。

住宅ローンを借りる我々の立場からすると利上げが先送りになる方が良いのですが、日銀としてはできれば、いったん利上げをやってマイナス金利を脱出しておきたいのです。

そうすれば今後何らかの理由で一時的に景気が悪化し、インフレ率が低下したときに金利を下げる(金融緩和)余地が生まれるからです。

そのため、比較的近い将来に日銀が利上げに踏み切る可能性もゼロではないのです。日銀が近い将来に利上げする方にBETしている(賭けている)のが民間銀行です。

銀行の営業方針:安倍元総理の死去が民間銀行の金利方針に与える影響

民間銀行の住宅ローン(長期の固定金利)は2022年6月から2022年7月にかけて大幅に上昇しました。

これに対して変動金利については、期間限定のキャンペーンで金利を引き下げる銀行も出てきています。

つまり、変動金利に集めようとしているのですね。

わたしは安倍元総理の死去によって、この、民間銀行が変動金利にシフトしていく傾向がさらに加速していくものと予想しています。

アベノミクスによって黒田総裁とともに今の金融緩和政策をすすめてきた安倍元総理は、総理引退後も強い影響力を持っており、このことも日銀が政策転換するにあたっての重しとなっていた面があります。

2023年4月に黒田総裁が任期満了で退任すれば、日銀が政策金利へ舵を切る転換点としてまたとないタイミングとなるでしょう。

民間銀行としては変動金利を上げる大義名分を得られるということになります。

日銀の政策のもと、全ての銀行が横並びで一斉に変動金利を上げるので、銀行からすると他行に逃げられるという心配はありません。

また、変動金利を上げるのと同時に固定金利も上げるようにします。

固定金利は金利を一定期間固定する分だけ変動金利よりも高い金利設定にすることが出来るのです。

金利タイプ別2022年8月の金利予想

では、金利タイプ別に2022年8月の金利がどうなっていくのか予想していきます。

7月12日までの公開情報を前提とした予想になります。

【金利タイプ別】
2022年8月の金利予想

公的融資フラット35の金利動向

こちらは、公的融資で30年超の超長期固定金利であるフラット35(買取型)の金利と長期金の推移を2022年5月から2022年7月までとったものです。

7月には長期金利が下がったにもかかわらずフラット35の金利は上昇しました。

 2022年8月住宅ローンの金利予想(フラット35(買取型)と長期金利

フラット35の金利は前月の中旬に決まります。その時点に青い棒グラフのフラット35(買取型)金利を立てています。

(機構債発表日)5月金利
(2022年4月20日)
6月金利
(2022年5月20日)
7月金利
(2022年6月22日)
長期金利0.24%0.20%0.23%
機構債の
表面利率
0.50%0.50%0.50%
フラット351.48%1.49%1.51%

フラット35は、下図のように住宅金融支援機構が民間金融機関から債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて機構債という形で販売するという仕組みになっています。

フラット35の仕組み

この機構債は毎月20日前後に表面利率を発表し募集します。投資家たちは機構債を安全資産という考えで購入しますので、その表面利率は10年国債の利回り(長期金利)に連動する傾向があるのです。

5月から7月にかけてのフラット35の金利上昇は、長期金利が下がっているにもかかわらず反対に上がっているため、このスキームから外れた動きなのです。

住宅金融支援機構は独立行政法人であり、営利を目的としておらず、独立採算制の前提を取っていません。

儲けのために金利を上げるということはありませんので、フラット35金利上昇の背景には政策として金利を上げるという意思があるのです。

8月にかけても上がり代があると考えていますが、横ばいか0.01ポイントの上昇に抑えられ、急激な上昇は無いと予想します。

民間の超長期固定金利の動向

民間住宅ローンの30年以上の超長期固定金利については、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、りそな銀行の3行が低金利商品を出しています。

6月まではauじぶん銀行が期間限定キャンペーンで35年固定金利を引き下げるなど、超長期固定金利をステージとして主要銀行が低金利競争となっていました。

しかし、前述の民間銀行の金利方針を加味するならば、固定金利よりは変動金利に利用者を集めたいと考えるでしょうから、超長期固定金利は今後上昇していく可能性があると見ています。

20年前後の長期固定金利の動向

20年固定は去年までは複数の主要銀行で低金利競争が行われていたのですが、米利上げに伴って長期金利が上昇すると、20年固定から撤退する銀行が相次ぎました。

今は事実上auじぶん銀行だけとなっています。

民間銀行の主力商品が変動金利に傾いてきていることと、他行との競争が乏しいことから、20年固定金利は今後上がっていく可能性が高いと見ています。

10年前後の中期固定金利の動向

ここ数年の10年固定金利は主力商品として概ね下がり続けてきたものの、2022年5月に大幅上昇となり、6月から7月にかけても上昇が続いています。

10年固定金利は、日銀が政策金利を上げても10年は金利を固定しなければならないため、日銀の利上げが近いとするならば、主力商品であっても低金利の設定ができなくなっています。

そのため、今後は横ばい又は日銀の金融政策の動向に反応して少しずつ上昇するだろうと見ています。

変動金利の動向

変動金利は、長期金利ではなく中央銀行の政策金利に影響を受けます。

政策金利とは、中央銀行が民間銀行に融資するときの金利です。景気後退時には政策金利を下げ、好景気時には政策金利を上げます。

前述したように、日銀の利上げ可能性は上がっていますが、現時点では金融緩和政策の継続を表明しており、少なくとも年内は日銀が政策金利を上げる可能性は低いと思います。

変動金利はおおむね横ばいで推移しつつ、変動金利に利用者を集めるために期間限定キャンペーンをスタートする銀行が出てくる可能性があります。

まとめ~先行きの不透明な局面では無理のない返済計画を

わたしの読みが正しければ、民間銀行が変動金利を下げるということは、民間銀行の考える変動金利の上昇可能性が上がってきているということを意味します。単に金利が安いというだけで、変動金利を選ぶのは危険です。

安倍元総理の死去によって、アベノミクスの延長戦として続いてきた経済政策の転換点となるのではないかと思います。

ただし、基本的に金融市場の金利動向は誰にもコントロールできませんし、それによって決まるとされる住宅ローンの金利は債権者である金融機関が決めるものです。

千日太郎の予想が外れる可能性は大いにあり得ます。

金利が想定外に上昇したとしてもある程度吸収できる、無理のない資金計画を立て、実行していく必要があります。住宅ローンの返済計画は無理せず、出来るだけゆとりのあるものにするようにしてください。

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